見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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二七四

「あのアザは『タレント』の力を持つ証しであり、その特別な力を持つ者を、更に欲する者たちがおる」

 どう言う事だ。
タレント?
初めて耳にする。

「タレントは特別な力を持つ。魔法とは全く別の根源を持つ力じゃ。だが、問題はそこではない」

 魔法とは別の特別な力。
ある意味ネオジョルトも、魔法とは全く別の根源を持つ力の所持者だ。

「タレントはのう。餌なのじゃ」

 餌?
何の餌だ。

「人ならざる者……モンスターではない。モンスターはタレントの別なく何でも食う。ソレはタレントしか食わぬのじゃ」

 ソレとは。

「邪神じゃ」

 まさかここで繋がるとは。
驚きもある。
だが、俺はそれよりも運命を感じた。
やはり邪神とはぶつかる宿命なのだ。

「ふふふ。可笑しな奴じゃ、そんなに嬉しい話かの」

 ソル殿下が俺を見て笑った。
嬉しい?
俺は自分の顔を触ってみた。

 笑っている。

 俺は無意識に笑っていたのか。
だが、嬉しい気持ちは確かにある。

「あれは邪神を呼び寄せる。捨てても無駄なのじゃ。殺さなくては、一度関わったら必ず邪神との因縁を強制されるのじゃ。そのタレントが死ぬまでの」

 知らなかった。
だがその話は今、信憑性を帯びている。
少なくとも俺はそう感じる。
ナイーダと関わった時点で、俺は既に邪神との因縁に巻き込まれていたのか。

 好都合だ。
それこそ望むところである。
この話、もはや俺には断る事など出来ない物となっていた。

「タレントの持つ不思議な力は、人ならざる者が持つ力。邪神がソレを食べたがると言う事は、本来は邪神の力なのかもしれぬ」

 その話を俺は複雑な気持ちで聞いた。
ナイーダが邪神の餌だと。
彼女が何をしたと言うのか。
両親を石にされ、人々に白眼視される言われなど、彼女には髪の毛ほども無い。

 あの赤子だって、ただ生まれてきただけだ。
まだ何もしていない内から、なぜ忌み嫌われ、命を狙われなければならないのか。

 納得がいかない。
彼女らの理不尽な運命に、俺は他人事ながら義憤を抱いた。

「兄上の子がアザを持って生まれてきた時点で、帝国は邪神との因縁を持ってしまった。あの怪しい魔導士連中も赤子を探している。それをお前たちが連れ去った事も恐らく知ったであろうな」

 だから俺たちの討伐軍に入り込んだと言う訳か。
帝国の後ろ楯を正式に得て、堂々と取り返せる訳だ。
しかも手勢まで貸してくれるのだから、願ったり叶ったりだ。
後は、赤子は処分したと言えば良い。

 そうは行くか。
ミーアを……妹を取り返す。
奴らの好きになどさせん。
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