見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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二七五

「殿下、そのお話、お引き受け致します」

 殿下の表情がぱっと明るくなった。

「おお、引き受けてくれるか。ありがたい」

「さしあたって、何をすればよろしいでしょうか?」

 俺は殿下に尋ねた。

「やり方は任せようぞ。目的は奴らを帝国から排除する事よ。それが出来れば手段は問わぬ」

 なるほど。
条件がないのはやり易い。
最悪、大暴れしても良いと言うことだ。
勿論それは最後の手段だが。

「よく引き受けてくれた。礼を言う。断られはしまいかと心配しておった」

 そんな風には見えなかったが。
どこか、必ず引き受けると信じていたようにさえ思える。

「私にも理由がありますから。私は『タレント』とやらを殺すつもりはありません。だとしたら問題を解決するには邪神の方を討つしかありません。私にとってはついでのような物です」

 俺は必要以上に帝国と繋がるつもりはない。
借りも貸しもいらないのだ。
だから、殿下に貸しを作る気も借りを作る気もない。
あくまでも、俺の目的と合致するからついでなのだ。

「邪神を討つ……とな?」

 殿下が驚いた顔を見せる。
まあ、普通の反応だ。
しかし唯一の肉親を奪われれば誰でもそうする筈だ。
その相手が例え邪神でも帝国でも。

「な、お……おい、邪神を討つって……」

 カルタスが動揺している。

「呆れた……殿下の御膳よ。そんな大それた事を言うなんて」

 オレコも同様だ。
だがこちらは、大風呂敷を広げなさんな、と言う意味っぽい。

「何を勘違いしているか知らんが、俺は俺の目的で行動している。お前たちを巻き込もうとか、手伝わせようとか一切考えていない。信じるも信じないも勝手だが、口出しは止めてもらおう」

 俺はピシャリと釘を刺した。
出来れば放っておいてもらいたい。

「なるほどのう。何か譲れない大きな事情があるのであろう。余は笑ったりせん。任せると言ったのじゃ。全て任せよう」

「お気遣い感謝します」

 俺は殿下に頭を下げた。

「では早速、敵の顔を見て参ります」

「おお、もう行くのか。さすがだの」

「ええ、宣戦布告は早い方が良いでしょう」

 殿下は目を細めてうなずいた。

「では、これにて」

 俺はもう一度頭を下げて部屋を出た。
後ろから慌てて三人が付いてくる。

「なぜ付いてくる」

「なぜって……お前」

 カルタスが言葉に詰まる。

「ちょっとどう言う事か説明してちょうだい」

 オレコが後ろから声をかける。

「なぜ説明する必要があるのだ」

 俺は足を止めずに言った。

「さっきも言った筈だ。邪魔は遠慮してもらおう」

「邪魔って……別に邪魔しようだなんて思ってないわよ」

 俺はそこで足を止めて振り返った。
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