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二八四
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だが逃げようとする意思は二人からは感じられない。
この状況でもやる気だ。
後の連中が手出ししなければ、何とかやれると考えていているようだ。
「そっちこそ遠慮はいらん。掛かってこい!」
将軍が叫んだ。
立場が上の者が受けて立つ立場だと言いたいのだろう。
あくまでも俺に掛かってこいと言っている。
「良いだろう。いくぞ!」
俺は間合いを詰めるべく、一気に駆け出した。
素手の分リーチはない。
このくらいのハンデはあっても良いだろう。
「速い!」
将軍がハッとした顔になる。
一瞬で懐へ入った。
「くっ!」
将軍がとっさに剣でガードする。
俺は構わずそのままパンチを打ち込んだ。
ガインッ!
将軍の体はゆっくりと宙を舞った。
そして着地と同時に後ろへ滑る。
今のは良いパンチだった。
それをガードするとは、さすがは将軍なだけはある。
「……驚いた。なんてパンチだ」
将軍の表情は未だに驚きを隠せずにいる。
「仕方がない……悪く思うなよ。どうやら手加減して良いような相手では無さそうだからな」
将軍の顔から余裕が消えた。
もう本気を出すのか。
判断が的確で早い。
プライドが邪魔して本気を出せない、なんてミスはしなさそうだ。
相手が無名の冒険者でも出し惜しみしない。
「見たか……今のパンチ」
後ろでカルタスが呟いた。
「……ええ。えげつないわね」
オレコもそれに応じる。
そんな二人をよそに、将軍は剣を構えた。
将軍が構えるなどあまり聞かない。
いつも一方的に蹂躙した話しか聞こえてこないからだ。
「はあっ!」
今度は将軍が飛び掛かってきた。
逆立った髪の毛が、風になびいて余計に逆立つ。
まるで炎が燃え上がっているようだ。
大上段から一気に兜割りで真っ二つにするつもりか。
飛び上がるとは迂闊だが、相討ちでも絶対に仕留めると言う覚悟が伝わってくる。
藍眼鉱の鎧を着ているからこそ可能な攻撃だ。
いや、この身体能力も不可欠か。
そして速く高い。
振り上げたロングソードに、全体重を乗せて一気に振り下ろした。
ビョオッ!
剣圧が頬に伝わる。
俺はこれを紙一重でかわした。
しかしこれは、万が一が無いとは言えないスピードだ。
少し見切りが甘ければ、クリーンヒットもあり得る。
生身の体でここまで出来るのか。
俺は素直に将軍と言う存在に驚嘆した。
「やるな……これをかわすのか」
将軍は不敵に笑みを浮かべていたが、明らかに動揺している。
おそらく初見必殺の一撃だったに違いない。
初めて見た者は、あっと驚いた瞬間に絶命している筈だ。
馬鹿馬鹿しい程にシンプルな技だ。
それ故、小細工は通用するまい。
実力が無ければそのまま斬られるしかない。
「俺も油断は出来んな」
俺は再び構えた。
この状況でもやる気だ。
後の連中が手出ししなければ、何とかやれると考えていているようだ。
「そっちこそ遠慮はいらん。掛かってこい!」
将軍が叫んだ。
立場が上の者が受けて立つ立場だと言いたいのだろう。
あくまでも俺に掛かってこいと言っている。
「良いだろう。いくぞ!」
俺は間合いを詰めるべく、一気に駆け出した。
素手の分リーチはない。
このくらいのハンデはあっても良いだろう。
「速い!」
将軍がハッとした顔になる。
一瞬で懐へ入った。
「くっ!」
将軍がとっさに剣でガードする。
俺は構わずそのままパンチを打ち込んだ。
ガインッ!
将軍の体はゆっくりと宙を舞った。
そして着地と同時に後ろへ滑る。
今のは良いパンチだった。
それをガードするとは、さすがは将軍なだけはある。
「……驚いた。なんてパンチだ」
将軍の表情は未だに驚きを隠せずにいる。
「仕方がない……悪く思うなよ。どうやら手加減して良いような相手では無さそうだからな」
将軍の顔から余裕が消えた。
もう本気を出すのか。
判断が的確で早い。
プライドが邪魔して本気を出せない、なんてミスはしなさそうだ。
相手が無名の冒険者でも出し惜しみしない。
「見たか……今のパンチ」
後ろでカルタスが呟いた。
「……ええ。えげつないわね」
オレコもそれに応じる。
そんな二人をよそに、将軍は剣を構えた。
将軍が構えるなどあまり聞かない。
いつも一方的に蹂躙した話しか聞こえてこないからだ。
「はあっ!」
今度は将軍が飛び掛かってきた。
逆立った髪の毛が、風になびいて余計に逆立つ。
まるで炎が燃え上がっているようだ。
大上段から一気に兜割りで真っ二つにするつもりか。
飛び上がるとは迂闊だが、相討ちでも絶対に仕留めると言う覚悟が伝わってくる。
藍眼鉱の鎧を着ているからこそ可能な攻撃だ。
いや、この身体能力も不可欠か。
そして速く高い。
振り上げたロングソードに、全体重を乗せて一気に振り下ろした。
ビョオッ!
剣圧が頬に伝わる。
俺はこれを紙一重でかわした。
しかしこれは、万が一が無いとは言えないスピードだ。
少し見切りが甘ければ、クリーンヒットもあり得る。
生身の体でここまで出来るのか。
俺は素直に将軍と言う存在に驚嘆した。
「やるな……これをかわすのか」
将軍は不敵に笑みを浮かべていたが、明らかに動揺している。
おそらく初見必殺の一撃だったに違いない。
初めて見た者は、あっと驚いた瞬間に絶命している筈だ。
馬鹿馬鹿しい程にシンプルな技だ。
それ故、小細工は通用するまい。
実力が無ければそのまま斬られるしかない。
「俺も油断は出来んな」
俺は再び構えた。
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