見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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二九九

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「将軍たちよ。何をしておる、そやつらを早く討ち果たせ。帝国に仇なす奴らぞ」

 レイスの言葉にメルドルムは頭を掻いた。

「まあ……そうなんだが、アンタらも相当怪しいけどな」

「何をそんな些末な事を。我らが手を貸さねば、とてもこやつらは倒せんぞ。我らはお前たちに協力してやっているのを忘れるな」

 なるほどね。
そう言う建前になっている訳か。
ソル皇子の言っていた事は本当だった。
しかし、そんな禍々しい姿でよくそんなセリフが吐けるな。
説得力ゼロだろうに。

「ユピテル殿下は何故このような輩を……」

 マザが呟いた。

「しかし……まあ、将軍は政には口を出さん。やれと言われればやらん訳にはいかんか……」

 メルドルムはそう言って俺たちに剣を向けた。

「お互い、命令には逆らえんらしい。部下は辛いな」

 俺はメルドルムに言った。

「そうだなッ!」

 言い終わると同時にメルドルムが斬りかかる。

「無駄だ。もう見切った」

 俺はその剣を軽くかわした。

「クソッ!」

 メルドルムが歯ぎしりする。

「そっちの将軍のフォローがなければ、俺と互角にはならん」

「チッ……!マザ、何をしている。手を貸してくれ!」

 メルドルムがマザに言った。
だが、マザは動かなかった。

「どうした!」

 メルドルムが催促する。

「メルドルム。今はそんな場合じゃないんじゃないかな」

 マザは迷いを見せている。

「そんな事は判っているよ。だが、それとこれとは関係ない。俺たちは帝国の軍人だ」

 メルドルムは見事に割り切っている。
武人として国に仕える責任感が漂う。
俺はしがない、ただの一冒険者だ。
俺には無い重い責任が、このメルドルムにはあった。

「お前が出来ないなら仕方がない。俺がやる」

 メルドルムが再び剣を構える。

「心配するな。我らが付いておる」

 メイスが言った。
こんな化け物に言われても嬉しく無いだろう。

「貴様らなのだろう。赤子を持っているのは?返してもらおうか」

 メイスが言った。

「物みたいに言うな。お前らなんかに渡す訳無いだろう」

「ふん、予想はしていたが生意気な奴よ。痛い目に合わんと判らんか」

 メイスとワイトは同時に構えを見せた。

「お前らこそ、ネオジョルトの科学力を思い知れ!」

 俺はそれを迎え撃つ。

「ヒヒヒヒヒッ!」

 ワイトが地面を滑るように迫る。
白骨の手が俺に延びる。
俺はそれをかわした。

「ワイトに触られては駄目だ!生気を吸われるぞ!」

 マザが叫んだ。

「マザ!どっちの味方なんだ!」

 メルドルムが叫ぶ。

「けど……!」

「良いから黙ってろ。戦えないならせめて邪魔はするな」

 メルドルムはそう言ってワイトに加勢した。
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