見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

文字の大きさ
302 / 826

三〇二

「相手が霊体ならやれることはあるわよ」

 オレコがそう言って、ポーチから何やら取り出した。

「じゃーん」

 そう言って取り出したのはスクロールだった。
オレコはスクロールを両手に持つと、こちらへ向けて一気に広げた。

 ショオアアアア…… 

 スクロールから光が放たれる。
いったい何のスクロールか。

「霊を実体化させるエクソシスト用のスクロールよ」

 オレコがそう言うと、今度はレイスが声を上げた。

「む……なんだこれは……!?」

 レイスは自分の体の異変に気付いた。
自らの両手を見ている。

「これで直接殴れるわよ」

 あらゆる敵を想定して準備しているのか。
さすがはブラックナイト級のレンジャー、いやソルジャーだ。

「よおし!だったら俺が!」

 カルタスが腕をグルグル回して前に出る。

「ちょっと!アンタの為にやったんじゃないのよ!」

「うるせえな。良いじゃねえか誰がやってもよ!」

 オレコのブーイングをカルタスは受け流す。

「いくぜ!」

 カルタスが剣を横薙ぎに払う。
レイスはそれをヒラリとかわした。

実体化したとは言え、レイスのモンスターレベルはかなり高い筈だ。
ブラックナイトクラスの腕を持つカルタスの剣であっても、そう簡単に勝てる相手でもない。

「ちっ!ちょこまかと!」

 カルタスが更に踏み込んで剣を振るう。
レイスはその全てを巧みにかわした。

「ふふふふ。当たらんな」

 レイスが不敵に笑った。

 「どうか……なッ!」

 カルタスは突然ケープをはだけると、左腕を延ばす。

「!?」

 レイスが一瞬動揺した。

 ドシュッ!

 腕から小型の矢が発射された。
それがレイスの胸に突き刺さる。

 隠しボウガン。
腕に取り付けられた小型のボウガンだ。
射程もたいして長くないし、矢も一発しか放てないが、至近距離から突然不意を突くのには最適だ。
しかも剣の届かない微妙な距離なら尚更である。

「グッ……!貴様ッ!」

 レイスが自分の胸に刺さった矢を見た。

「今だ!」

 カルタスはレイスに突進すると肩からぶつかっていく。

 どかっ!

 そしてそのままレイスの体を押していった。

「ぐぬ……ッ!ぬうッ!」

「くたばれ!」

 うめくレイスを突き放すと、カルタスはそのまま剣を振り下ろす。

「ぐぅ……うう」

 レイスの断末魔のような声が漏れ聞こえた。

「へっ!どんなもんよ」

 カルタスが余裕でレイスを圧倒した。
さすがにやるな。

「どれ、ツラを拝んでやる。誰も見たことのないレイスのご尊顔をな」

 そう言ってカルタスはレイスの顔を自分に向けた。

「!?」

 カルタスが言葉に詰まった。

「どうした?」

 俺はカルタスに歩み寄って、背後からレイスの顔を覗きこんだ。

「こ……これは」

 そこにはもう一人のカルタスがいた。
感想 238

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

はらぺこ令嬢は侯爵様を満たしたい

有栖
ファンタジー
エルヴィラはいつもお腹を空かせている子供だった。あまりに大食いするので心配した両親が医者に連れていくと、それは彼女が持つ魔力量のせいだとわかる。彼女は多すぎる魔力を維持するため、いつも疲れるほど食べ続けていなければならなかった。しかしひとつだけ、有り余る魔力を放出する方法があった。料理だ。彼女が作る料理には、魔力がたっぷりこめられているのである。そんな彼女の元へある日、知らせが訪れる。 ※食事の描写は普通の日本のお料理になっています

完璧な政略結婚のはずでしたが、宰相閣下の“私の妻”扱いが甘すぎます

星乃和花
恋愛
政略結婚のはずでした。 家同士の利も、立場の釣り合いも、全部きちんと整った、完璧に合理的な結婚。 ……なのに、夫となった冷徹宰相は、なぜか人前で私を「最高の妻」と紹介し、暮らしを完璧に整え、他人に近づかれると不機嫌になってしまいます。 “天使”と噂される穏やかな令嬢フィオナもまた、 そんな不器用な優しさに少しずつ心をほどかれて――。 これは、条件で選ばれたはずの夫婦が、 いつの間にかお互いを“ただ一人”として欲しくなるまでの、甘くてやさしい政略結婚物語。 (毎日21:50更新ー全8話)

『異界酒場 ルーナ』

みぎみみ
ファンタジー
東京・渋谷から少し外れた路地の奥、築五十年のビルの地下一階。看板は小さく、知っている人しか辿り着けない。  カウンター八席、テーブル二卓。深夜零時から夜明けまでの営業。 ルーカス(本名:ルカシュ・ヴァルド)  異世界の小さな王国の第三王子として生まれたが、王位継承争いに巻き込まれ、魔法陣の暴走によって現代日本に転移してきた。外見は三十代前半の白人男性。銀灰色の髪と、光の加減で金色にも見える瞳を持つ。日本語は「声の魔法」で習得した。  他人の「最も深い渇望」が視える力を持つ——それは意識的な欲求ではなく、本人すら気づいていない魂の底の叫び。酒や料理を通じてその渇望に応える。  自分の力を「呪い」だと思っていた時期もある。今はただ、使い道を見つけた、という感覚でいる。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

最後に笑うのは

りのりん
恋愛
『だって、姉妹でしょ お姉様〰︎』 ずるい 私の方が可愛いでしょ 性格も良いし 高貴だし お姉様に負ける所なんて ありませんわ 『妹?私に妹なんていませんよ』

「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。

しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。