見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

文字の大きさ
310 / 826

三一〇

「そんな事は決まっている」

 オオムカデンダルが胸を張る。

「なんだ、言ってみろ」

 カルタスが挑むように問い詰めた。

「何もしない」

「はあ?何だと?」

 オオムカデンダルの言葉にカルタスがつんのめる。
いや、俺でさえもズッコケそうになったのだから、他は推して知るべしだ。

「ふざけているのか!?」

「いいや、俺は本気だ。民衆に対しては特に何もしない。今まで通り好きにさせるさ」

 オオムカデンダルは少しも悪びれる事無くそう言った。

「なら、征服などしなくて良いではないか。散々今の世界を否定するような事を言っておきながら、何もしないなどと……」

 カルタスは憤慨した。
無理もない。
いや、当然だ。

「お前が最初に口にした、人は自由であるべきと言うのは賛成だ。俺も同じ考えだからな。支配などクソ食らえと言うのも同意する。だがそれは小さな市井の民に対してだ。それを食い物にする奴らや化け物に対しても、自由にせよと言うつもりは一ミリも無い」

 つまりどう言う事だ?
俺たちはオオムカデンダルの次の言葉を待った。

「判るか?支配なんて面倒臭いこと、誰もやりたくないんだよ。文句を言われこそすれ、感謝される事などほとんど無い。それをしたいと言う奴らには下心があるってこった」

「お前の言うことはちっとも判らん。俺はもともと賢くは無いが、それでもちっとも判らんぞ」

 カルタスが頭を掻きながらボヤいた。

「ふふ、正直な男だ。気に入った。もう少し話してやる」

 オオムカデンダルが楽しそうに話を続けた。

「つまりだ、支配と言うから判らなくなるんだ。言い方を変えよう。管理するだ」

「判らん。どう違う?」

「管理する。つまり把握するって事だ。人々は自由に暮らせば良い。だが、ルールは必要だ。それに抵触する者は取り除く」

 オオムカデンダルはいつもの口調で言ったが、俺は取り除くと言う言葉に少し不安を覚えた。

「人が生きていく為にはルールが必要なんだ。それぞれが自分勝手にしていては世の中に争いが絶えないだろ?人々は守らなければならないんだよ」

「……アンタは何故そこまでして人を守ろうと言うのか」

 カルタスは判らないと言う顔で尋ねた。

「……この星と言う物にとって、人類が必要不可欠な存在だからさ。長い年月を掛けて星は人類と言う答えに辿り着いた。そして俺たちはこの星に産み出された。必要だからだ。だが、人類は矮小で、不安定で、か弱い存在だ。守らなければならない理由はそこにある」

 星?
この大地の事を言っているのか?

「今は判らなくても良い。いずれ俺たちといれば少しずつ理解できるだろうさ。だから俺たちと来い」

 オオムカデンダルはそう言って、カルタスとオレコを見渡した。
感想 238

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~【長編】

暖夢 由
恋愛
「サリー・ナシェルカ伯爵令嬢、あなたの婚約は破棄いたします!」 高らかに宣言された婚約破棄の言葉。 ドルマン侯爵主催のガーデンパーティーの庭にその声は響き渡った。 でもその婚約破棄、どうしてあなたが言うのですか? ********* 以前投稿した小説を長編版にリメイクして投稿しております。 内容も少し変わっておりますので、お楽し頂ければ嬉しいです。

完璧な政略結婚のはずでしたが、宰相閣下の“私の妻”扱いが甘すぎます

星乃和花
恋愛
政略結婚のはずでした。 家同士の利も、立場の釣り合いも、全部きちんと整った、完璧に合理的な結婚。 ……なのに、夫となった冷徹宰相は、なぜか人前で私を「最高の妻」と紹介し、暮らしを完璧に整え、他人に近づかれると不機嫌になってしまいます。 “天使”と噂される穏やかな令嬢フィオナもまた、 そんな不器用な優しさに少しずつ心をほどかれて――。 これは、条件で選ばれたはずの夫婦が、 いつの間にかお互いを“ただ一人”として欲しくなるまでの、甘くてやさしい政略結婚物語。 (毎日21:50更新ー全8話)

【完結】瑠璃色の薬草師

シマセイ
恋愛
瑠璃色の瞳を持つ公爵夫人アリアドネは、信じていた夫と親友の裏切りによって全てを奪われ、雨の夜に屋敷を追放される。 絶望の淵で彼女が見出したのは、忘れかけていた薬草への深い知識と、薬師としての秘めたる才能だった。 持ち前の気丈さと聡明さで困難を乗り越え、新たな街で薬草師として人々の信頼を得ていくアリアドネ。 しかし、胸に刻まれた裏切りの傷と復讐の誓いは消えない。 これは、偽りの愛に裁きを下し、真実の幸福と自らの手で築き上げる未来を掴むため、一人の女性が力強く再生していく物語。

【完結】1王妃は、幸せになれる?

華蓮
恋愛
サウジランド王国のルーセント王太子とクレスタ王太子妃が政略結婚だった。 側妃は、学生の頃の付き合いのマリーン。 ルーセントとマリーンは、仲が良い。ひとりぼっちのクレスタ。 そこへ、隣国の皇太子が、視察にきた。 王太子妃の進み道は、王妃?それとも、、、、?

異世界に降り立った刀匠の孫─真打─

リゥル
ファンタジー
 異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!  主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。  亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。  召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。  そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。  それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。  過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。 ――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。  カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。