見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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三一七

「でもなあ。人間を辞めるのはちょっとなあ」

 カルタスが腕組みをする。
誰が人間を辞めたんだ。
俺は辞めたつもりはない。
体だけ新しくなったのだ。

 俺はカルタスとトラゴスを残してオオムカデンダルの所へ向かった。
彼の居るところは判っている。
幹部はそれぞれ自分のラボを持っている。
オオムカデンダルもそこに居る筈だ。

 俺はオオムカデンダルのラボを訪れた。

「オオムカデンダル、ちょっといいか」

 俺はラボに足を踏み入れながら言った。

「おお、構わんぞ」

 オオムカデンダルがレイスを寝台に寝かせて、作業の準備をしていた。

「……何をしているんだ?」

「何って、お前……決まってるだろ。実験だよ実験」

 実験?
何の?

「この世界のモンスター連中は俺たちの世界には存在さえしていない。つまり生き物の範疇に無いんだよ。それがこうやって喋ったり歩いたりしてるんだぜ?調べたくもなるってもんよ」

 そんなもんかね。
俺には良く判らんが、俺たちに取ってもレイスのような上級レアモンスターは珍しい。
知らない事ばかりだから調べたいってのは理解できるが。

「じ、実験だと!?やめろ!ふざけるな!」

 レイスがオオムカデンダルの言葉を聞いて騒ぎ出す。

「やかましい!大人しく切り刻まれろ!」

 そう言ってオオムカデンダルがレイスを殴った。

「ぐあっ!」

 ハッキリ言って酷い光景だ。
拷問と変わらないように見える。
だが相手がレイスのせいか、あるいは妹の仇と言う気持ちのせいか、全く可哀想だとは思えなかった。

「それは良いんだが、先に妹の情報を聞かせてくれないか」

 俺はレイスが切り刻まれる前にと、慌ててオオムカデンダルに頼んだ。

「判ってるよ。だがな、コイツが尋ねて大人しく口を割ると思うか?」

 それは……思わない。

「だろ?だから並行して行う。むしろ記憶だけ吸い出して直接自分で見る方が良いかもな」

「な……!?」

 レイスが青ざめた。
いや、もともとレイスに顔はない。
今も見えないレイスの顔だが、恐らく青ざめているに違いなかった。

「でもどうやって?」

「そうさなあ。直接脳を取り出してみるとか?」

 脳を?
なぜ?

「何故ってお前……そりゃ脳に記憶が詰まってるからだろ」

 脳に記憶が詰まってる?
そうなのか?
胸に、つまりハート(心臓)に心や記憶は宿るのではないのか?

「はあ……これだからファンタジーの住人は。いいか、その心は脳が作り出してるんだよ」

 知らなかった。
なんかショックだ。

「心臓はただの心臓だ。大事な部分には違いないが、心臓で物を考える事は出来んよ」

 オオムカデンダルはそう言ってレイスの頭を掴まえた。
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