376 / 826
三七六
どうも素直すぎるな。
俺は銀猫の対応にどこか釈然としなかった。
仮にも犯罪組織の頭を務める者が、部外者に内情をこうもあっさり晒すだろうか。
まあ、いい。
俺にも俺の都合があるのだ。
相手の都合など構っていられない。
どんな思惑があろうとやる事にそう変わりはないのだ。
『レオさまー!』
ん?
『助けて下さい!レオさまー!』
遠くでキロの声がする。
助けを呼んでいる。
ちっ!コイツらやはり。
ガタッ!
俺は席を立った。
「ど、どうした!?」
銀猫が身構える。
「後で話を聞かせてもらおうか。返答次第では、最初に潰れるのは貴様の組織となる」
「なんだと!?」
慌てる銀猫を無視して俺は部屋を飛び出した。
階段など悠長に降りていられるか。
俺は近場の窓から飛び降りた。
「な!窓から!?」
背後に銀猫の声を置き去りにして、俺は夜の街を疾走した。
『れおさまー!』
『助けて!れおさまー!』
ピコとナノの声も聞こえる。
俺は全力で走った。
人の流れを避けながら、風のように走る。
辺りの景色は光の線になって視界を後ろへと流れていった。
この辺りの筈だ。
三分少々で辿り着いたが、キロたちの姿が見えない。
くそっ!どこだ?
もう一度声を発してくれたら判るのに。
「……レオ殿」
かすれる声で俺の名を呼ぶ声が聞こえる。
辺りを見回すと建物の陰に倒れている人影があった。
「レオ殿……すまない」
コイツは、キロを預かっていった女だ。
「何があった」
「突然十数人に囲まれて、キロたちを拐われてしまった……」
なんだと。
「何者だ」
「おそらくスラッグの所の若い奴らだ。何名か見覚えがあった……」
スラッグだと。
まだ顔も見てないのにか。
「アンタ、ファズとやり合っただろ。たぶん意趣返しだ」
なるほどな。
だが、あの変態野郎の事だ。
ただの意趣返しって訳では無いだろう。
単純にキロが目当ての筈だ。
当然、このままにはしない。
「場所は判るか?」
「あ、ああ」
俺の問に女は面食らったように返事をした。
「案内しろ」
「え?アンタまさか……」
「早くしろ!時間がない!」
女は慌てて立ち上がると、こっちだと歩き出した。
だが、こんな調子では時間が掛かり過ぎる。
「おい、乗れ」
俺は背中に乗るように言った。
「いや、大丈……」
「良いから早くしろ!」
気圧されて、女は大人しく背中に乗った。
「行くぞ!ちゃんと掴まってろよ!」
俺はそのまま全速力で駆け出した。
「案内しろ、どっちだ?」
「あ、ああ。真っ直ぐ行って、突き当たりの建物の脇をそのまま入ってくれ」
俺は言われた通りに道を進んだ。
視界の端に人を示す光点が幾つか見える。
くそ!どいつだ。
俺は銀猫の対応にどこか釈然としなかった。
仮にも犯罪組織の頭を務める者が、部外者に内情をこうもあっさり晒すだろうか。
まあ、いい。
俺にも俺の都合があるのだ。
相手の都合など構っていられない。
どんな思惑があろうとやる事にそう変わりはないのだ。
『レオさまー!』
ん?
『助けて下さい!レオさまー!』
遠くでキロの声がする。
助けを呼んでいる。
ちっ!コイツらやはり。
ガタッ!
俺は席を立った。
「ど、どうした!?」
銀猫が身構える。
「後で話を聞かせてもらおうか。返答次第では、最初に潰れるのは貴様の組織となる」
「なんだと!?」
慌てる銀猫を無視して俺は部屋を飛び出した。
階段など悠長に降りていられるか。
俺は近場の窓から飛び降りた。
「な!窓から!?」
背後に銀猫の声を置き去りにして、俺は夜の街を疾走した。
『れおさまー!』
『助けて!れおさまー!』
ピコとナノの声も聞こえる。
俺は全力で走った。
人の流れを避けながら、風のように走る。
辺りの景色は光の線になって視界を後ろへと流れていった。
この辺りの筈だ。
三分少々で辿り着いたが、キロたちの姿が見えない。
くそっ!どこだ?
もう一度声を発してくれたら判るのに。
「……レオ殿」
かすれる声で俺の名を呼ぶ声が聞こえる。
辺りを見回すと建物の陰に倒れている人影があった。
「レオ殿……すまない」
コイツは、キロを預かっていった女だ。
「何があった」
「突然十数人に囲まれて、キロたちを拐われてしまった……」
なんだと。
「何者だ」
「おそらくスラッグの所の若い奴らだ。何名か見覚えがあった……」
スラッグだと。
まだ顔も見てないのにか。
「アンタ、ファズとやり合っただろ。たぶん意趣返しだ」
なるほどな。
だが、あの変態野郎の事だ。
ただの意趣返しって訳では無いだろう。
単純にキロが目当ての筈だ。
当然、このままにはしない。
「場所は判るか?」
「あ、ああ」
俺の問に女は面食らったように返事をした。
「案内しろ」
「え?アンタまさか……」
「早くしろ!時間がない!」
女は慌てて立ち上がると、こっちだと歩き出した。
だが、こんな調子では時間が掛かり過ぎる。
「おい、乗れ」
俺は背中に乗るように言った。
「いや、大丈……」
「良いから早くしろ!」
気圧されて、女は大人しく背中に乗った。
「行くぞ!ちゃんと掴まってろよ!」
俺はそのまま全速力で駆け出した。
「案内しろ、どっちだ?」
「あ、ああ。真っ直ぐ行って、突き当たりの建物の脇をそのまま入ってくれ」
俺は言われた通りに道を進んだ。
視界の端に人を示す光点が幾つか見える。
くそ!どいつだ。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
女性が少ない世界に転生した控えめ伯爵令嬢、なぜか五人の婚約候補に選ばれて少しずつ恋を知っていきます
ノッポ
恋愛
女性が極端に少ない異世界に転生した私は、気づけば伯爵令嬢になっていた。
前世は日本で普通に生きていたせいか、貴族令嬢らしい強気な振る舞いがどうしても苦手。
社交界デビューを迎えても、「どうして私が選ばれるの?」と戸惑うばかりだった。
けれど今年デビューする高位令嬢はわずか三人。
家同士の思惑も重なり、騎士団長家の息子、宰相子息、魔術師団長の息子、幼なじみの侯爵子息、そして英雄騎士――
五人の若きエリートとのお見合いが次々と始まってしまう。
遠慮がちで控えめな性格は、この世界では珍しく、気づけば少しずつ距離を縮めていく彼ら。
異世界での恋愛に戸惑う日々。けれど出会いを重ねるたびに、私は少しずつ変わっていく――。
女性希少世界で、自分の幸せを選べるようになるまでの逆ハーレム恋愛ファンタジー。
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
居酒屋の看板娘でしたが、歌の治癒魔法が覚醒して王女に戻されました〜幼い頃に出会った側近様と紡ぐ恋〜
丸顔ちゃん。
恋愛
生まれてすぐに誘拐され、死んだとされた王女──
その赤子は、実は平民街にひっそりと置き去りにされていた。
病弱な父に拾われ、居酒屋の看板娘として育ったミリア。
白い小花を髪に挿し、歌うことが大好きな少女。
自分の歌に“治癒の力”が宿っていることなど知らずに、
父と平民仲間に囲まれ、穏やかな日々を送っていた。
ある日、市場にお忍びで来ていた皇太子とその側近が、ミリアの歌声を耳にする。
皇太子は“王族にしかない魔力の波動”を感じ、
側近は幼い頃の祭りで出会った白い小花の少女を思い出し、胸がざわつく。
その直後、父が危篤に。
泣きながら歌ったミリアの声は奇跡を起こし、治癒魔法が覚醒する。
「どうして平民の私に魔力が……?」
やがて明かされる真実──
ミリアこそ、行方不明になっていた王女その人だった。
王宮に迎えられ、王女としての生活が始まる。
不安と戸惑いの中、そばにいてくれるのは、
幼い頃に一目惚れし、今も変わらず彼女を見つめる皇太子の側近。
「今度こそ、君を見失わない」
歌姫王女として成長していくミリアと、
彼女を支え続ける側近の、優しくて温かい恋の物語。
【完結】瑠璃色の薬草師
シマセイ
恋愛
瑠璃色の瞳を持つ公爵夫人アリアドネは、信じていた夫と親友の裏切りによって全てを奪われ、雨の夜に屋敷を追放される。
絶望の淵で彼女が見出したのは、忘れかけていた薬草への深い知識と、薬師としての秘めたる才能だった。
持ち前の気丈さと聡明さで困難を乗り越え、新たな街で薬草師として人々の信頼を得ていくアリアドネ。
しかし、胸に刻まれた裏切りの傷と復讐の誓いは消えない。
これは、偽りの愛に裁きを下し、真実の幸福と自らの手で築き上げる未来を掴むため、一人の女性が力強く再生していく物語。