見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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三八四

「どうした?」

 銀猫が怪訝そうな顔で俺を見ている。

「いや。ただの考え事だ」

 俺はあまり嘘をつくのが上手くない。
余計なことは言わない方がいい。

「それで、例の件はどうだ?」

「例の件?」

 俺は何の事かと思わず聞き返した。

「おい、ウチと協定を結ぶ話をしていただろ」

 ああ、そう言えばそんな話だったか。

「別に協定を結ぶとは言ってないと思うが」

 銀猫がキッと俺を見据える。

「なんだ?値踏みしてるのか?」

「そんな事してなんの意味があるんだ」

「じゃあなぜ拒む。ウチと協定を結ばないと言うのは、ウチと事を構えると言っているのと同義だぞ。我々は何もしていないのに、なぜウチと揉めようとする?」

 そう言われると一番困るのは実は俺だ。
俺には、どことも揉める理由など一つもない。

「お前が本当の事を話していないように感じるからだ。そんな奴は信用できんし、信用できん奴とは約定も結べん」

 これは本心だ。
まあ、嘘をつく必要など無いだろう。
俺がつくと、どうせバレそうだし。

 しかし、当の銀猫は言葉に詰まった。
コイツは組織のリーダーとしては素直すぎやしないか。
態度に出てしまっているぞ。

「別に隠し事など……」

「無理に言わなくて良い。俺は聞かせろなんて言っていない。ただ、信用できん奴と協定を結べんと言っているだけだ」

 我ながら意地悪な言い方だとは思うが、実際そうなのだから仕方あるまい。
結局、言えと言っているのと同じ事なのだ。
俺個人は、全く聞きたくもないが。

 ……オオムカデンダルはそうもいかないんだろうが。

「キロ。行くぞ」

 俺は席を立った。

「え?」

 キロが不思議そうに俺を見上げた。

「このまま家に帰すと、また拐われかねんからな。俺の宿に来い」

「ちょっと待て!まだ話は終わ……」

「終わってるだろ。協定は結ばない。俺は自由にやる」

 銀猫が拳を握りしめた。

「止めておけ。お前じゃどうにもならん」

 俺はそう言うとキロたちを連れて店を出た。

「レオさま。本当によろしいんでしょうか?」

「構わんさ。数日中に安全に家に帰れるようにしてやる」

 俺はそう言って宿に向かって歩いた。
その為には何としてもスラッグを見つけ出す。
そしてバッケスの奴にも消えてもらう。
奴が居る限り、キロは安全に暮らせまい。

 簡単だと思っていたんだが、意外と面倒くさい事になったな。
明日はスラッグとバッケスの捜索だ。
さて、どうやって見付けるか。

「れおさま……ねむい」

 ピコが歩きながら、よたよたと揺れた。
俺は弟たち2人を肩に担いで、宿まで歩いた。
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