見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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四一九

「は?欲しいなら買えば良いだろ?売るかどうかは俺の判断だ」

「あまり調子に乗るなよ」

「はっ!ほらな?どうせ最後は力ずくだ」

「……お前は何も判っていない。あまり怒らせるなと言っているんだ。この男は世界で一番怒らせてはいけない男なんだ!」

 俺は柄にも無く、つい強い口調でキロの姉に迫った。

「おいおい、止せよ。俺がいつ怒ったよ。お前の前でも怒った事なんかないだろ?」

 オオムカデンダルが間延びしたような口調で言った。
そうだったか?
意外と怒ってたような気もするが。
怒りのポイントが俺達とは違うのかもしれない。

「……で?二百枚なら譲ってくれるのか?」

 黒猫はたいした事ないと言うように、あっけらかんと尋ねた。

「ああ、譲ってやるよ」

「そうか。だが、あいにく手持ちはさっきの五十枚しか無いんだ。そこでだ、お前こっちまで取りに来い。もう少し色付けて渡してやるからよ」

 馬鹿も大概にしろ。
これ以上余計に金をやると言うのか。

「まじか!?」

「ああ、大マジだ」

「よし判った!行こうじゃねえか!」

 キロの姉は即決すると、自らの膝を叩いた。
確かに決断も早い、肝も座っている。
だがコイツは危なっかしい。
いつかきっと命を落とす。
俺はそんな気がした。

「おい、カルタス。その小僧連れてこい。一人じゃ死んじまうぞ」

 確かに。
ミスリル銀山を女が一人で登れはしまい。
ナイーダは特別だ。
そう言えば最近顔を見ないな。
元気にしてるんだろうか。

「あの、この子たちも一緒で宜しいでしょうか?カルタスに懐いてしまって……」

 オレコが言う側で、弟たちはカルタスの肩や頭によじ登っている。

「好きにしろ」

 オオムカデンダルは適当に返事をする。
秘密結社に人を入れ過ぎじゃないのか?
ま、幹部が良いって言うなら俺は構わんが。

「レオはどうするの?」

 オレコが尋ねた。

「この前放った虫を回収する。その前に行く所もあるが」

「マイヤードの所ね?」

「ああ、何故ブラッドサファイアを欲しがるのか問い詰めよう」

「潰さないの?」

「例のワーウルフの件次第だな。過ぎた真似をしているようなら潰すか」

「あら恐い」

「ただのチンピラなら好きにさせるさ。毒になるようなら排除する。そんだけだ」

 俺はそう言うと立ち上がった。

「じゃあ、そっちは頼んだ。俺はちょっと行ってくる」

「レオさま、お気を付けて」

 キロが心配そうに俺を見た。

「大丈夫だ。じゃあな」

 俺はそのまま宿を後にした。
マイヤードの屋敷はもう判っている。
押し入って質問するだけだ。
すぐ終わる。
帰りに銀猫に放った虫を回収して、それからどうするか。
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