見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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四二四

「ブラッドサファイアを求めているこの俺が、ワーウルフなんぞ知る訳ねえだろ」

 言われてみればその通りかもしれない。
いや、だがそれとこれとは関係無いと言う場合だって無くは無い。

「まあいい。それより俺がお前の命を救ったら、お前の組織は俺たちの下に付いてもらおうか」

 マイヤードは小さな目を、最大限に見開いた。

「なんだとぉ!?」

「死ぬよりマシだろ?」

 マイヤードが歯軋りする。

「な……それだけは出来ん!俺が組織をここまで育てるのにどれだけ血を流したと思ってやがる!」

 そんな事は知らんし、悪党の苦労話などまともに聞いてどうする。
どれだけ血を流そうが、それ以上の庶民の血が流れている事は想像に難くない。

「そうか。じゃあ勝手にしろ。スラッグ亡き今、お前がどうやって銀猫と対峙するのか見物だな」

 マイヤードの拳は怒りに震えている。
ただの怒りだけでは無いだろうが。

「……テメエの組織に付いて何の得があるんだ。テメエの組織は俺に何をさせようと言うんだ」

「判らん」

「なんだと?」

「俺にも判らん。が、ウチのボスは特に何かしろとは言わないだろうよ。ま、約束は出来んがな」

 そう。
約束は出来ない。
なにせ相手はオオムカデンダルだ。
何を考えているのか、何をしでかすのか、俺にもサッパリ判らないのだ。
ただ彼は、何もしないとも言っている。
自由にさせるのだと。
何らかのルールは作るだろうが、自分の意のままに指揮したり、組織を利用するなんて事はない筈だ。
たぶん。

「まあ、見てろ。事の顛末次第では、お前の気も変わるかもしれんぞ」

「……」

 俺はそう言い残すと踵を返して、その場を後にした。
マイヤードの話が本当かどうか。
虫に何か記録が残っているかもしれない。
俺は銀猫の店へと足を運んだ。
相変わらず盛況のようだ。
俺は足早に入口を入って二階へ上がった。
近くに居たウェイトレスに声をかける。

「銀猫は居るか?」

「え?あ、いえ。銀猫様は夜しかお見えになりませんよ」

 マイヤードの言った通りか。

「どこに居る?」

「さあ。私たちにも判らないんです。ご自宅も知りませんからねえ、誰も」

 徹底してるな。
さて、どうしたものか。
俺は考え込んだ。

 そうだ!
虫は銀猫に張り付いている。
虫を介して場所が判れば。

「管理人居るかい?」

「はい。レオさん、どうしましたか」

 俺の問いかけに、『管理人』はすぐに反応する。

「銀猫に放った虫の事は判るかい?」

「判ります」

 さすがだ。

「場所を知りたいんだが」

「レオさんのすぐ近くですね。おそらくその位置の地下だと思われますが」

 地下か。
ますますモンスターっぽいじゃないか。
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