見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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四四八

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 外にはたくさん野次馬が集まっていた。
炎の中から現れたオニヤンマイザーと俺の姿を見て、野次馬たちは動揺した。

「ば、化け物だ……!」

「化け物が帝国内に!」

「モンスターが攻めて来たのかっ!?」

 人々は口々に叫んだ。
無理もない。
俺たちの今の姿は、グロテスクな化け物に違いなかった。

「ふん」

 蜻蛉洲は野次馬たちを一瞥すると、無視して建物を振り返った。
轟々と音を発てて建物は燃えていた。
あっという間に火が周り、隣の家にまで炎は及ぼうとしていた。

 俺とヴァンパイアが戦った結果とは言え、関係の無い人たちの家が失われていく。

「レオ、あの火を消してみろ」

 蜻蛉洲が言った。

「え、」

「消してみろ。どうやっても構わん、やってみろ」

 蜻蛉洲は嫌がらせを言う性格ではない。
その辺はオオムカデンダルとは違った。

「ど、どうやって消せば良いんだ。こんな大きな火を消せるだけの水は無い、俺に何か消火のできる能力が備わっているのか」

「消火能力など俺にもない。だが、改造人間の力を以てすれば、火を消すなど造作も無いことだ。やってみろ」

 オニヤンマイザーは冷静な声でそう言った。
だがそんな事を言われても、俺にはどうすれば良いのか皆目検討もつかなかった。

 冒険者ならまず水をかける。
それから布で押さえる。
パーティー内に魔法使いが居れば、水の魔法や氷の魔法を使ってもらう。
そのくらいだ。

「判らない……」

 俺は呟いた。
いったいどうすれば消せるのか。
改造人間の力を以てすれば。
オニヤンマイザーはそう言った。

「管理人教えてくれ、俺に消火能力は備わっているのか?」

「残念ながら消火の為の装備や能力はありません」

 管理人は嘘は言わない。
無いと言うからには無いのだろう。
しかし、オニヤンマイザーも嘘や冗談の類いは言わない。

「建物が燃えている。もう延焼しはじめているんだ。なんとか方法は無いのか」

 俺は食い下がった。

「単純に延焼を防ぎたいのであれば、建物自体を破壊してしまうと言う方法があります。これはかつて江戸で用いられた火消しによる消化作業ですが、建築物が木造であったのでこのような方法が有効でした。ですが……」

 なるほど。
建物を壊して周りの建物を守るのか。
首にまだダメージが残っているが、この程度なら問題ない。
俺は全身に力を込めた。
フルパワーだ。

「たあっ!」

 全力で跳躍する。
二階建ての石造りの家を破壊する。
改造人間の力を以てすれば可能な筈だ。

 ドカアッ!

 落下しながらパンチを繰り出す。
屋根を破壊して屋内へと入った。

「うおおおっ!」

 俺は手当たり次第に建物を破壊する。
壁を破壊し、柱を粉砕する。
瞬く間に建物は瓦解していった。
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