見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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四五六

 蜻蛉洲を先頭に歩く俺たち一行に、街の人々が気づき始めた。
ザワザワとざわつきながら、次第に野次馬の数が増えていく。

 目的の新築一軒家に辿り着く頃には、結構な数の街の人間が集まっていた。

「ふん、頃合いか」

 蜻蛉洲はそう言うと、民衆に向かって声をあげた。

「諸君、約束通り一ヶ月が経った。そして我々は戻ってきた」

 これだけの数の野次馬が、しんと静まり返る。
全員が蜻蛉洲の話を聞いていた。

「宣言通り、今日を以てこのエリアは我々の管轄下だ。代表はここに居る銀猫に勤めてもらう。特に今までと違う事は無い。全てこれまで通りだが、面倒事や揉め事は全て銀猫の裁量に委ねる。文句のある者は前に出ろ。話は聞いてやる」

 蜻蛉洲がそう言った途端、群衆の中から数名の男が前に出た。
反論か。
勇気があるな。

「どこの馬の骨か知らねえが、いきなり出てきて何を言ってやがる。勝手に支配者面してんじゃねえよ!」

 体格もいい。
顔も文句なしの悪党面。
絵に描いたような犯罪者組織の構成員だ。
教科書に載せても良いだろう。

「ふむ。不服か。結構」

 蜻蛉洲は少しも取り乱さずにそう言った。
この冷静さが俺は恐ろしい。

「それでどうするかね?」

「知れた事よ。俺たちはそんなの認めねえ!誰かが決めました、ああそうですかなんて言う訳ねえだろ!欲しけりゃ力で取ってみろよ、それがここのルールだぜ?」

 男がそう言うと、他の連中も同意した。

「なるほど。もっともだな。我々も世界征服を目指す支配者として、悪党の力の論理を否定するつもりはない。君たちがそれを望むならいつでも相手をしよう」

 蜻蛉洲はそう言うと、白衣の裾を払って一歩前へと歩み出た。

「待ってくれ。ここは俺に任せてもらおう」

 銀猫が蜻蛉洲を止めた。

「……良いだろう。僕も興味がある」

 蜻蛉洲は銀猫の要求を受け入れた。

「この銀猫が相手だ。文句は無いだろう?」

 銀猫が荒くれ男たちを一瞥する。

「へ……もちろん異論なんてある筈ねえ。あの銀猫なら倒せば全員が納得するだろうしな。だいたい俺は、お前みたいな女が力を振るっているのが気に食わなかったんだ。どうせ色仕掛けで今の地位を築いたんだろうよ」

 男の言葉に銀猫が反応した。
明らかにカチンときている。
大丈夫なのか。

「……その言葉、聞き捨てならんな。お前、覚悟しろよ」

 銀猫が凄んだ。
女だてらに恐ろしい迫力だ。
俺は銀猫の意外な迫力に驚いた。

「やかましいっ!行くぜ野郎ども!殺ったもん勝ちだあっ!」

 一斉に、おおっ!と声が上がる。
なんだと、全員対銀猫か!

 俺は助太刀に入るべく構えた。
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