見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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四六三

「さて、諸君」

 オニヤンマイザーが群衆に向き直った。

「この辺りは今後我らがネオジョルトが管理する。文句のある者はいつでも去ってくれて構わない。もちろん我らに挑戦するのも自由だ。我々から諸君に強要する事はほとんど無い。まあ、全くのゼロとは言わないが、基本的には今まで通りだ。好きに暮らしてくれたまえ」

 オニヤンマイザーは群衆を見渡して、よく通る声でそう語りかけた。

「それから後日、通貨を発行する。新しい金だ。もう少し使いやすくしよう。金の信用は我らネオジョルトが受け持つ。今日からここは独立してもらわねばならんからな」

 なんだと。
通貨の発行?
経済も帝国から独立するのか。
いくらなんでも出来る訳が無い。

「まずは経済だ。ゆくゆくは防衛も自立してもらう。帝国と対等の立場で貿易や外交もおこなう。諸君もそのつもりで居るように」

 群衆からざわめきが起こる。
当たり前だ。
いくらなんでも突飛すぎる。

「諸君らはこのままで良いのか?疎まれつつも搾取され続ける、こんな人生で満足だと?そんな訳は無い。諸君らもやれば出来るのだ。それを恐れるから帝国は何も与えないのだ。諸君らを、愚民のまま搾取し続けようと企んでいるのだからな」

 オニヤンマイザーの演説は続く。
人々はいつの間にか、オニヤンマイザーの言葉に惹き付けられていた。

「働きたい者はいるか?仕事も作ろう。雇用も産み出そう。全部お膳立てはしてやろう。ただし、やるのは諸君らだ」

 群衆の中から、ポツポツと拍手が起こった。
そしてそれは、しばらくすると大きな喝采へと変わっていった。

「希望者は二日後に、またここへ来たまえ。適正を踏まえて仕事を提供しよう。では諸君、また会おう」

 いつしか大喝采の中、オニヤンマイザーは踵を返して群衆に背を向けた。

「……本気なのか?」

 俺はオニヤンマイザーに問い掛けた。

「勿論。しかし、演説は百足には敵わんな」

 オニヤンマイザーは蜻蛉洲秀一へと戻ると、悔しそうにそう呟いた。

「オオムカデンダルに?まさか」

 俺は蜻蛉洲の珍しい冗談に、少し笑いが溢れた。

「ムカつく話だが、ヤツの人心掌握には敵わん。アイツは計算ではなく自然に人を魅了するからな。才能と言う奴だ」

 蜻蛉洲はそう言ったが、本気でムカついていると言う風には見えなかった。
俺は蜻蛉洲の演説にも度肝を抜かれたんだが。

「俺はちゃんと計算してしゃべっている。言った内容も出来るからこそ言ったのだ。この地区はネオジョルトの直轄地だ。モデルケースになってもらう」

 蜻蛉洲はそう言って、銀猫に後は頼んだと言った。

「新通貨の準備はもう出来ている。後は金貸しと両替所を建てる」

 蜻蛉洲はそう言い残してメタルシェルへと乗り込んだ。
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