見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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四六六

「待たせたな諸君」

 蜻蛉洲が現れた。
群衆は、わっと彼の周りに集まった。

「二列になって並びたまえ。秩序もこれからは必要になってくる」

 蜻蛉洲はそう言って、群衆を並ばせる。

「これより君たちに簡単な適正検査を受けてもらう。これにより我々が職を斡旋する訳だが、気に入らなければ断ってくれても構わない。つまり強制はしない。ただし、その場合は今まで通り自分で何とかしてもらう。出来る者が出来る事をする。やりたい者がやりたい事をする。ただそれだけの事だ」

 蜻蛉洲はそう言ってから面接を始めた。
検査の内容もそう難しい物では無かった。
簡単な聞き取りだ。
何がしたいか。
何が得意か。
賃金はどのくらい必要か。
普通と言えば普通な会話が行われた。

「なるほど。では、君は明日C地区に来たまえ。朝九時だ、遅れるなよ」

「では君はA地区に明日来たまえ。夕方五時からだ。時間厳守で頼む」

 蜻蛉洲はそんな調子で百人強の希望者を、次々に割り振って行った。
さすがに手際が良い。
昼前には全員の対応が終わった。

「続きは明日だな」

 蜻蛉洲はそう言って踵を返した。

「あれで仕事を与えられるのか?」

 俺はそもそもの疑問を蜻蛉洲にぶつけた。

「ふ。仕事はいくらでもある。無ければ作れば良いだけの話だ」

「作るって……順番が逆だろ。必要に迫られて仕事はするもんだ」

 蜻蛉洲はため息をついて俺を見た。
これは呆れている反応だ。

「……人はただ生きていくだけなら飯を食って息を吸っていれば良い。だが、それでは生活とは呼べん。人間には仕事が必要なんだよ。それは間接的に誰かの役に立ち、更には社会の役に立つ。人は自分の仕事に責任を持ち、同時に誇りも持つ。動物と人間はそこが違う」

 何の話をしているんだ。
俺は仕事の話をしているのだ。

「……良いか、良く聞け。この街は独立するのだ。その街の住人が、ダラダラその日暮らしをするだけの者たちで構成されていたら、独立出来ると思うのか?帝国兵がやって来たら戦えるとでも思うのか?この地に軍隊は無い。彼らが自衛するしか無いのだ。その為には金も要る、兵士も要る、そして住民の士気も要るのだ。ここまで言えば、お前でも判るだろう?」

 蜻蛉洲はそう言って、俺の胸を軽く拳で叩いた。

「独立させておいて彼らに自分で何とかしろと言うのは酷だ」

 俺は蜻蛉洲に訴えた。
ネオジョルトがやらせたのだ。
自分たちで金の工面も、防衛も何とかしろと言われても無理な話だ。

「もちろん無理は承知だ。大部分は我々が面倒を見る事になる。だがね、それを最初に言っては人々のメンタルは変わらないのだよ。まず変わる必要がある。だから自分たちの力でやったのだと思える根拠が要る」
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