473 / 826
四七三
どこまで本気なのか。
紙と糸。
それに生地。
考えてみればどれも人々の生活に最も近い部分だ。
ただ紙がそこまで重要かと言われれば、少し考える。
本にするか手紙にするか。
あとはスクロールや手記をつけるくらいか。
人類にとっては確かに大事だが、庶民の暮らしにはどうかとも思う。
「ふふ。なかなか良い視点だな。紙はこれからだ」
蜻蛉洲が言った。
これからとは?
「紙がどれほど便利かは、これから知ることになる。そしてそれを知ったら元の生活には戻れない」
紙が?
判らんな。
「ただ、今のままでは駄目だ。もっと高い品質でなければな。そしてそれを大量に生産出来なければな。しかも安価に。誰でも買える日用品でなくては」
言っている事は判るが、何故紙なのかは俺には判らなかった。
まあ、いいさ。
俺が考えても彼らの考えには到底及ばないのだ。
彼らがそうだと言うのなら、俺はそれに従うまでだ。
とても秘密結社内で交わされる幹部の話とは思えんな。
もっと魔法とか兵力とか、そう言う話がメインになるものとばかり思っていた。
「ふ。そんなものよりも千倍役に立つ話だ」
秋津洲が鼻で笑った。
「お前はどうする?まあ、何もしなくても構わんが、希望があるならどこか視察でもすれば良い」
オオムカデンダルが俺に言った。
視察か。
確かに自分の組織が何をしようとしているのか知る事は必要だろう。
けど、畑仕事に製造業じゃあな。
その仕事は俺の知る限り、商人や役人の仕事なんだが。
俺は田舎の出だ。
牧畜なんかが馴染みはあるが、帝国のお膝元で牧畜は出来ないだろう。
都会には餌も草原も無いからだ。
第一、牛なんか飼ったら付近の住民から死ぬほど文句を言われかねない。
奴らの臭さは軽い兵器だ。
「それはいずれやる。今は簡単なもので、優先順位の高いものからやっている。いずれ漁業も林業も、養殖業もやる」
秋津洲が言っているそばから、俺は訳が判らなくなった。
こんな場所で漁業?
港町でも無ければ無理だろ。
海でも作る気なのか。
俺は思わず笑った。
「阿保か。作るのは魚だ」
言わなければ良かった。
後悔したがもう遅い。
魚は作れるのか。
そうなのか。
知らなかった。
普通は作れないがな。
「軌道に乗るまでどのくらいだ?」
オオムカデンダルが尋ねた。
「予測でしかないが、上手くいけば半年。遅くても九ヶ月だ」
秋津洲が答える。
半年だと。
半年で効果が表れるのか。
ジョルターと、この雇用の効果が。
俺は正直驚いた。
「……俺は全部視察してみようと思う。正直何が行われようとしているのか。さっぱりだ」
俺は正直に言った。
オオムカデンダルが何故か嬉しそうに笑う。
「ふふ。それでいい。良く見てこい。我々が何をしようとしているのかをな」
紙と糸。
それに生地。
考えてみればどれも人々の生活に最も近い部分だ。
ただ紙がそこまで重要かと言われれば、少し考える。
本にするか手紙にするか。
あとはスクロールや手記をつけるくらいか。
人類にとっては確かに大事だが、庶民の暮らしにはどうかとも思う。
「ふふ。なかなか良い視点だな。紙はこれからだ」
蜻蛉洲が言った。
これからとは?
「紙がどれほど便利かは、これから知ることになる。そしてそれを知ったら元の生活には戻れない」
紙が?
判らんな。
「ただ、今のままでは駄目だ。もっと高い品質でなければな。そしてそれを大量に生産出来なければな。しかも安価に。誰でも買える日用品でなくては」
言っている事は判るが、何故紙なのかは俺には判らなかった。
まあ、いいさ。
俺が考えても彼らの考えには到底及ばないのだ。
彼らがそうだと言うのなら、俺はそれに従うまでだ。
とても秘密結社内で交わされる幹部の話とは思えんな。
もっと魔法とか兵力とか、そう言う話がメインになるものとばかり思っていた。
「ふ。そんなものよりも千倍役に立つ話だ」
秋津洲が鼻で笑った。
「お前はどうする?まあ、何もしなくても構わんが、希望があるならどこか視察でもすれば良い」
オオムカデンダルが俺に言った。
視察か。
確かに自分の組織が何をしようとしているのか知る事は必要だろう。
けど、畑仕事に製造業じゃあな。
その仕事は俺の知る限り、商人や役人の仕事なんだが。
俺は田舎の出だ。
牧畜なんかが馴染みはあるが、帝国のお膝元で牧畜は出来ないだろう。
都会には餌も草原も無いからだ。
第一、牛なんか飼ったら付近の住民から死ぬほど文句を言われかねない。
奴らの臭さは軽い兵器だ。
「それはいずれやる。今は簡単なもので、優先順位の高いものからやっている。いずれ漁業も林業も、養殖業もやる」
秋津洲が言っているそばから、俺は訳が判らなくなった。
こんな場所で漁業?
港町でも無ければ無理だろ。
海でも作る気なのか。
俺は思わず笑った。
「阿保か。作るのは魚だ」
言わなければ良かった。
後悔したがもう遅い。
魚は作れるのか。
そうなのか。
知らなかった。
普通は作れないがな。
「軌道に乗るまでどのくらいだ?」
オオムカデンダルが尋ねた。
「予測でしかないが、上手くいけば半年。遅くても九ヶ月だ」
秋津洲が答える。
半年だと。
半年で効果が表れるのか。
ジョルターと、この雇用の効果が。
俺は正直驚いた。
「……俺は全部視察してみようと思う。正直何が行われようとしているのか。さっぱりだ」
俺は正直に言った。
オオムカデンダルが何故か嬉しそうに笑う。
「ふふ。それでいい。良く見てこい。我々が何をしようとしているのかをな」
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
はらぺこ令嬢は侯爵様を満たしたい
有栖
ファンタジー
エルヴィラはいつもお腹を空かせている子供だった。あまりに大食いするので心配した両親が医者に連れていくと、それは彼女が持つ魔力量のせいだとわかる。彼女は多すぎる魔力を維持するため、いつも疲れるほど食べ続けていなければならなかった。しかしひとつだけ、有り余る魔力を放出する方法があった。料理だ。彼女が作る料理には、魔力がたっぷりこめられているのである。そんな彼女の元へある日、知らせが訪れる。
※食事の描写は普通の日本のお料理になっています
ゴミ捨て場領主のクラフト無双 ~最弱魔法【分解と合成】で領地を黄金郷に変えたら、俺を見下していた大貴族令嬢たちが掌を返してすり寄ってきた件~
namisan
ファンタジー
東西南北の大貴族から「毒の川」「凶暴な魔獣」「莫大な借金」を押し付けられ、王国の『ゴミ捨て場』と化したローゼンベルク領。
父と兄を謀殺され、その絶望の領地を押し付けられた無能貴族のアークは、領地の分割を企む高慢な令嬢たち(王女、公爵令嬢、姫将軍など)に嘲笑われていた。
だが、彼には現代の知識と、隠された最強チート能力があった!
触れたものを瞬時に素材に戻し、全く別のモノに作り変える神の御業――【分解と合成】。
「毒の川」を分解して『超高価な宝石と純水』へ!
「魔獣の死骸」と「瓦礫」を合成して『絶対に壊れない防壁』へ!
借金取りには新素材を高値で売りつけ、逆に敵の経済を支配していく。
圧倒的なクラフト能力で、瞬く間にゴミ捨て場を「無敵の黄金郷」へと作り変えていくアーク。
己の敗北を悟り、震え上がる悪徳貴族と高慢な令嬢たち。
さらに、アークの圧倒的な知略と底知れぬ実力は、気高い令嬢たちの本能に深く刻み込まれていく。
「どうか、私をあなたの手駒としてお使いください……っ!」
プライドを完全にへし折られた最高位の美少女たちは、いつしかアークの与える『恩恵』なしでは生きられないほど、彼に絶対の忠誠と依存を誓うようになっていく――。
最弱のゴミ捨て場から始まる、爽快クラフト内政&ざまぁファンタジー、堂々開幕!
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
『異界酒場 ルーナ』
みぎみみ
ファンタジー
東京・渋谷から少し外れた路地の奥、築五十年のビルの地下一階。看板は小さく、知っている人しか辿り着けない。
カウンター八席、テーブル二卓。深夜零時から夜明けまでの営業。
ルーカス(本名:ルカシュ・ヴァルド)
異世界の小さな王国の第三王子として生まれたが、王位継承争いに巻き込まれ、魔法陣の暴走によって現代日本に転移してきた。外見は三十代前半の白人男性。銀灰色の髪と、光の加減で金色にも見える瞳を持つ。日本語は「声の魔法」で習得した。
他人の「最も深い渇望」が視える力を持つ——それは意識的な欲求ではなく、本人すら気づいていない魂の底の叫び。酒や料理を通じてその渇望に応える。
自分の力を「呪い」だと思っていた時期もある。今はただ、使い道を見つけた、という感覚でいる。
異世界魔法、観察してみたら
猫チュー
ファンタジー
異世界に転生した少年レイは、ある日、前世の記憶を取り戻す。
未知でありながら日常の一部となっている魔法に強い興味を抱いた彼は、村の魔法オババに師事し、修行の日々を送る。
やがてレイは、この世界の魔法が、地球で学んだ知識と多くの共通点を持つことに気づいていく。
師の元を離れ、世界を知っていく中で、少年は魔法を観察し、考え、少しずつ理解を深めていく。
これは、少年レイが世界を、魔法を、科学していく物語。
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。