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四七七
銀猫はこれを正面から受けて立つ。
いくらなんでも、ちょっと正気とは思えなかった。
どう考えても無理だ。
「おおっ!」
兵士が剣を抜いて銀猫に斬りかかる。
だが銀猫は、これを下がらずに前に出た。
リーチの長い剣に対して後ろに下がっては、ナイフで攻撃するチャンスは回ってこない。
だからあえて前に出る。
ドカッ!
ナイフが兵士の脇腹に刺さった。
防具の隙を狙った正確な攻撃だ。
動きの止まった兵士の体を、銀猫は足で蹴飛ばした。
敵は次から次へと襲ってくるのだ。
止まってなどいられない。
思っていた以上にやるな。
身体能力も個人で到達できるレベルを越えているように思う。
やはり、バンパイア細胞とやらの影響なのか。
銀猫はたった一人で兵士を倒し続けた。
しかし、さすがに息は上がっている。
相手はゴロツキなどではない。
十分に訓練を積んだ正規兵なのだ。
それをこれだけ倒した事を称賛したい。
バーデンはまだ動かない。
これだけ部下がやられるのを見ても何とも思わないのか。
それとも銀猫の方に興味があるのか。
とにかく、これ以上は銀猫も限界だ。
敵の大将が動かない以上、これ以上は見守る意味がない。
そうか。
俺は気付いた。
銀猫が疲れるのを待っているのか。
その為に、これだけ部下を犠牲にしても良いと言う考えは理解できないが。
しかし、そうでも無ければこの静観を説明できない。
どういう男なんだ、バーデン将軍は。
俺は銀猫が限界を迎える前に、屋根から飛び降りた。
がっ!
着地しながら兵士を蹴り飛ばす。
不意を突かれて兵士が二人吹き飛んだ。
「レオ」
銀猫が俺を見る。
疲労の色が濃いな。
「お前はもう下がれ」
「何を言う。俺はこの街を任されたのだ。退けん」
銀猫は俺の言葉を拒否した。
「やっと出てきたな」
バーデンがニヤリと笑う。
バレていたのか。
「ふ。あれで隠れたつもりか」
さすがに将軍だ。
少し甘く見ていたのかもしれない。
消えておくべきだった。
「だが、それでも二人だな。どうする?この戦力差を」
バーデンが不敵に笑って俺を見る。
「戦力差?別に。まだ俺が勝っている」
俺はそう言って残りの兵士たちを見た。
まだまったく減ってはいない。
五十人ほど銀猫が倒したくらいだ。
一人で五十人やったなら、十分に化け物のレベルだ。
「ふふ。話には聞いていたがそれほどか。それほど自信があるか。ハッタリで無ければ良いがな」
バーデンが、どこか嬉しそうに言った。
なんだ、気味が悪いな。
「では続きと行こう」
バーデンはそう言うと再び、やれ、と言った。
「来い!」
銀猫が叫ぶ。
お前はもう良いと言っているのに、やる気だけは見習いたいもんだ。
いくらなんでも、ちょっと正気とは思えなかった。
どう考えても無理だ。
「おおっ!」
兵士が剣を抜いて銀猫に斬りかかる。
だが銀猫は、これを下がらずに前に出た。
リーチの長い剣に対して後ろに下がっては、ナイフで攻撃するチャンスは回ってこない。
だからあえて前に出る。
ドカッ!
ナイフが兵士の脇腹に刺さった。
防具の隙を狙った正確な攻撃だ。
動きの止まった兵士の体を、銀猫は足で蹴飛ばした。
敵は次から次へと襲ってくるのだ。
止まってなどいられない。
思っていた以上にやるな。
身体能力も個人で到達できるレベルを越えているように思う。
やはり、バンパイア細胞とやらの影響なのか。
銀猫はたった一人で兵士を倒し続けた。
しかし、さすがに息は上がっている。
相手はゴロツキなどではない。
十分に訓練を積んだ正規兵なのだ。
それをこれだけ倒した事を称賛したい。
バーデンはまだ動かない。
これだけ部下がやられるのを見ても何とも思わないのか。
それとも銀猫の方に興味があるのか。
とにかく、これ以上は銀猫も限界だ。
敵の大将が動かない以上、これ以上は見守る意味がない。
そうか。
俺は気付いた。
銀猫が疲れるのを待っているのか。
その為に、これだけ部下を犠牲にしても良いと言う考えは理解できないが。
しかし、そうでも無ければこの静観を説明できない。
どういう男なんだ、バーデン将軍は。
俺は銀猫が限界を迎える前に、屋根から飛び降りた。
がっ!
着地しながら兵士を蹴り飛ばす。
不意を突かれて兵士が二人吹き飛んだ。
「レオ」
銀猫が俺を見る。
疲労の色が濃いな。
「お前はもう下がれ」
「何を言う。俺はこの街を任されたのだ。退けん」
銀猫は俺の言葉を拒否した。
「やっと出てきたな」
バーデンがニヤリと笑う。
バレていたのか。
「ふ。あれで隠れたつもりか」
さすがに将軍だ。
少し甘く見ていたのかもしれない。
消えておくべきだった。
「だが、それでも二人だな。どうする?この戦力差を」
バーデンが不敵に笑って俺を見る。
「戦力差?別に。まだ俺が勝っている」
俺はそう言って残りの兵士たちを見た。
まだまったく減ってはいない。
五十人ほど銀猫が倒したくらいだ。
一人で五十人やったなら、十分に化け物のレベルだ。
「ふふ。話には聞いていたがそれほどか。それほど自信があるか。ハッタリで無ければ良いがな」
バーデンが、どこか嬉しそうに言った。
なんだ、気味が悪いな。
「では続きと行こう」
バーデンはそう言うと再び、やれ、と言った。
「来い!」
銀猫が叫ぶ。
お前はもう良いと言っているのに、やる気だけは見習いたいもんだ。
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