見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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四七八

 俺はなるべく銀猫に負担がかからないように、銀猫よりも前に出た。
かかってくる兵士を手当たり次第にぶん殴る。
二人まとめて、三人まとめて、吹っ飛ばした。

 とは言え、三千人も倒すつもりはない。
その前に、この将軍を馬から下ろさなければ。

「アンタはやらないのか?」

 俺はバーデン将軍を見上げて言った。

「私が?」

 バーデンはそう言うと、俺を値踏みするように視線を送った。

「もう少し楽しみたい」

 楽しみたいだと。
住民の制圧が目的だろ?
楽しんでいるのか。
コイツはやはり気味が悪い。
何か得体の知れない物がある。

 早目に引きずり下ろした方が良いな。

 俺はそう思った。
後になるほど面倒になりそうだ。
かかってくる兵士を、あえてバーデン目掛けて吹っ飛ばす。
殴り、蹴り、投げ飛ばし、全てバーデンに向かって兵士を吹き飛ばした。

 しかし。
バーデンは身じろぎ一つしない。
かわし、受け止め、振り払う。
これでは、いつまで経っても馬上から下りてきそうにない。

 だったらこれなら。
今度は馬を狙う。
素早く踏み込むと馬の脚を蹴った。

 ヒヒイーンッ!

 いなないて馬が起き上がる。
後ろ足で立ち上がり、俺を目掛けて前足を振り下ろした。

 ダァーン!

 俺は飛び退いてこれをかわした。

「はっはっは!そんな事では馬にも勝てんぞ」

 バーデンが馬上から高笑いした。
なんてこった。
馬が凄いのか、バーデンの馬術が巧みなのか。
これは手加減してたら、馬から下ろす事もままならない。
手を抜いていた訳では無いが、残念ながら生身の俺では荷が勝ちすぎているらしい。

 俺は少し下がると間合いを取った。

「ん?」

 バーデンが眉をひそめる。

「変身」

 俺は小さな声で呟くと、その場でクルリと回転した。
おおっ、とどよめきが起きる。
俺は一瞬でサフィリナックスの姿に変わっていた。

「……ほお」

 バーデンが小さな声で感嘆した。
これで馬からも下ろせなければ、俺は故郷に帰るしかない。

「それが噂の鎧か」

 バーデンが言う。
どうやら鎧を着込んでいると思われているようだ。
まあ、それ以外に理解のしようは無い。
俺でさえ自分の体が何故変わるのか、説明できないのだから。

「ふふふ。面白い、私はそれを見に来たのだ」

 見に来た?
ただの興味本位と言う事か。
将軍のくせに何を言っている。

「他の将軍たちが噂にしているのを聞いて、私だけが蚊帳の外でな。どれ一つ自分でも見ておくかと思っていたのだ。ここの制圧任務は良い機会だった。無理を言って任務を変わってもらっただけの価値がある」

 変わってもらってまで来たと言うのか。
どうりで、いきなり将軍が出てくるなんておかしいと思ったぜ。
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