478 / 826
四七八
しおりを挟む
俺はなるべく銀猫に負担がかからないように、銀猫よりも前に出た。
かかってくる兵士を手当たり次第にぶん殴る。
二人まとめて、三人まとめて、吹っ飛ばした。
とは言え、三千人も倒すつもりはない。
その前に、この将軍を馬から下ろさなければ。
「アンタはやらないのか?」
俺はバーデン将軍を見上げて言った。
「私が?」
バーデンはそう言うと、俺を値踏みするように視線を送った。
「もう少し楽しみたい」
楽しみたいだと。
住民の制圧が目的だろ?
楽しんでいるのか。
コイツはやはり気味が悪い。
何か得体の知れない物がある。
早目に引きずり下ろした方が良いな。
俺はそう思った。
後になるほど面倒になりそうだ。
かかってくる兵士を、あえてバーデン目掛けて吹っ飛ばす。
殴り、蹴り、投げ飛ばし、全てバーデンに向かって兵士を吹き飛ばした。
しかし。
バーデンは身じろぎ一つしない。
かわし、受け止め、振り払う。
これでは、いつまで経っても馬上から下りてきそうにない。
だったらこれなら。
今度は馬を狙う。
素早く踏み込むと馬の脚を蹴った。
ヒヒイーンッ!
いなないて馬が起き上がる。
後ろ足で立ち上がり、俺を目掛けて前足を振り下ろした。
ダァーン!
俺は飛び退いてこれをかわした。
「はっはっは!そんな事では馬にも勝てんぞ」
バーデンが馬上から高笑いした。
なんてこった。
馬が凄いのか、バーデンの馬術が巧みなのか。
これは手加減してたら、馬から下ろす事もままならない。
手を抜いていた訳では無いが、残念ながら生身の俺では荷が勝ちすぎているらしい。
俺は少し下がると間合いを取った。
「ん?」
バーデンが眉をひそめる。
「変身」
俺は小さな声で呟くと、その場でクルリと回転した。
おおっ、とどよめきが起きる。
俺は一瞬でサフィリナックスの姿に変わっていた。
「……ほお」
バーデンが小さな声で感嘆した。
これで馬からも下ろせなければ、俺は故郷に帰るしかない。
「それが噂の鎧か」
バーデンが言う。
どうやら鎧を着込んでいると思われているようだ。
まあ、それ以外に理解のしようは無い。
俺でさえ自分の体が何故変わるのか、説明できないのだから。
「ふふふ。面白い、私はそれを見に来たのだ」
見に来た?
ただの興味本位と言う事か。
将軍のくせに何を言っている。
「他の将軍たちが噂にしているのを聞いて、私だけが蚊帳の外でな。どれ一つ自分でも見ておくかと思っていたのだ。ここの制圧任務は良い機会だった。無理を言って任務を変わってもらっただけの価値がある」
変わってもらってまで来たと言うのか。
どうりで、いきなり将軍が出てくるなんておかしいと思ったぜ。
かかってくる兵士を手当たり次第にぶん殴る。
二人まとめて、三人まとめて、吹っ飛ばした。
とは言え、三千人も倒すつもりはない。
その前に、この将軍を馬から下ろさなければ。
「アンタはやらないのか?」
俺はバーデン将軍を見上げて言った。
「私が?」
バーデンはそう言うと、俺を値踏みするように視線を送った。
「もう少し楽しみたい」
楽しみたいだと。
住民の制圧が目的だろ?
楽しんでいるのか。
コイツはやはり気味が悪い。
何か得体の知れない物がある。
早目に引きずり下ろした方が良いな。
俺はそう思った。
後になるほど面倒になりそうだ。
かかってくる兵士を、あえてバーデン目掛けて吹っ飛ばす。
殴り、蹴り、投げ飛ばし、全てバーデンに向かって兵士を吹き飛ばした。
しかし。
バーデンは身じろぎ一つしない。
かわし、受け止め、振り払う。
これでは、いつまで経っても馬上から下りてきそうにない。
だったらこれなら。
今度は馬を狙う。
素早く踏み込むと馬の脚を蹴った。
ヒヒイーンッ!
いなないて馬が起き上がる。
後ろ足で立ち上がり、俺を目掛けて前足を振り下ろした。
ダァーン!
俺は飛び退いてこれをかわした。
「はっはっは!そんな事では馬にも勝てんぞ」
バーデンが馬上から高笑いした。
なんてこった。
馬が凄いのか、バーデンの馬術が巧みなのか。
これは手加減してたら、馬から下ろす事もままならない。
手を抜いていた訳では無いが、残念ながら生身の俺では荷が勝ちすぎているらしい。
俺は少し下がると間合いを取った。
「ん?」
バーデンが眉をひそめる。
「変身」
俺は小さな声で呟くと、その場でクルリと回転した。
おおっ、とどよめきが起きる。
俺は一瞬でサフィリナックスの姿に変わっていた。
「……ほお」
バーデンが小さな声で感嘆した。
これで馬からも下ろせなければ、俺は故郷に帰るしかない。
「それが噂の鎧か」
バーデンが言う。
どうやら鎧を着込んでいると思われているようだ。
まあ、それ以外に理解のしようは無い。
俺でさえ自分の体が何故変わるのか、説明できないのだから。
「ふふふ。面白い、私はそれを見に来たのだ」
見に来た?
ただの興味本位と言う事か。
将軍のくせに何を言っている。
「他の将軍たちが噂にしているのを聞いて、私だけが蚊帳の外でな。どれ一つ自分でも見ておくかと思っていたのだ。ここの制圧任務は良い機会だった。無理を言って任務を変わってもらっただけの価値がある」
変わってもらってまで来たと言うのか。
どうりで、いきなり将軍が出てくるなんておかしいと思ったぜ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる