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五〇三
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「サフィリナックスミラージュ!」
俺は取って置きの奥の手を使った。
もうこんな所で使ってしまうのかと自分でも思う。
だが、仕方がない。
殺らなければ今殺られるだけだ。
使えばその時が、ホンの数秒遠くなる。
その数秒にどんな意味があるのか。
「……多少は数を減らせるさ」
俺は自問して自答した。
『十』
視界に数字が表示される。
十だと。
この前、初めて使用した時には三からカウントダウンが始まっていた筈だ。
ひょっとして、俺が多少レベルアップしているせいで、耐用時間が増えたのか。
詳しい事は判らなかったが、今はそんな事はどうでも良い。
増えてるならば有難い、ただそれだけだ。
俺はガタつく体を無理に走らせる。
カウントダウンの最中にも、警告の文字はうるさく主張し続けた。
「ヤツを灰塵へと帰さしめよ!」
バーデンが斉射を命じた。
ひょおっ!ひゅん!ひゅん!ひゅん!ひゅん!
放たれた矢が、空一面を埋め尽くす。
こんなの絶対にかわせない。
だが俺は矢が地面に降りてくる前に、城門まで辿り着いていた。
「なに!?」
バーデンが気色ばむ。
『九』
俺は城壁を垂直に駆け上がる。
勢いが付いているせいで、壁から落ちる事は無い。
「うわあ!」
「ば、馬鹿な!?」
兵士たちは驚きのあまり、一気に混乱へと陥った。
この至近距離である。
真下から駆け上がってくる標的を、正確に射る事は難しい。
俺は城壁から砦に侵入すると、真っ直ぐにバーデンへと走った。
途中の兵士など居ないも同然だった。
直線上に存在していた兵士たちは、全て吹き飛んだ。
ただ走るだけでも、相当な威力の体当たりになっている。
肉眼で俺の姿を追える者はおそらく居まい。
近距離ならばなおさらだ。
『八』
いくぜ、バーデン!
今度こそぶっ飛ばしてやる。
俺はバーデンの横っ面目掛けて、思い切り殴り付けた。
どかあっ!
まともに食らってバーデンは、もんどりうって床に転げた。
どか!ゴロゴロ…!
「ぐっ……!なんだ、この速さは!」
バーデンはよろけながらも直ぐに立ち上がった。
さすがだな。
『七』
俺はステップを切ると、更に右からバーデンに迫る。
「くっ!」
渾身の右パンチ!
バーデンは避けようと後ろに下がったが、スピードが全く合っていない。
がっ!
再びパンチを食らってバーデンはよろめいた。
しかし、ダウンは拒否している。
俺の動きに追い付いて来れないまでも、反応していたように見える。
コイツ、見えているのか。
『六』
構わず俺は攻め立てた。
時間はわずかしか無いのだ。
悠長に分析している時間など無い。
俺はそのまま走り寄って、飛び膝蹴りを放つ。
ジャンピングニー
がいんっ!
硬い音がして、俺のジャンピングニーは藍眼鉱のラージーシルドに防がれた。
コイツ、やはり見えている。
俺は取って置きの奥の手を使った。
もうこんな所で使ってしまうのかと自分でも思う。
だが、仕方がない。
殺らなければ今殺られるだけだ。
使えばその時が、ホンの数秒遠くなる。
その数秒にどんな意味があるのか。
「……多少は数を減らせるさ」
俺は自問して自答した。
『十』
視界に数字が表示される。
十だと。
この前、初めて使用した時には三からカウントダウンが始まっていた筈だ。
ひょっとして、俺が多少レベルアップしているせいで、耐用時間が増えたのか。
詳しい事は判らなかったが、今はそんな事はどうでも良い。
増えてるならば有難い、ただそれだけだ。
俺はガタつく体を無理に走らせる。
カウントダウンの最中にも、警告の文字はうるさく主張し続けた。
「ヤツを灰塵へと帰さしめよ!」
バーデンが斉射を命じた。
ひょおっ!ひゅん!ひゅん!ひゅん!ひゅん!
放たれた矢が、空一面を埋め尽くす。
こんなの絶対にかわせない。
だが俺は矢が地面に降りてくる前に、城門まで辿り着いていた。
「なに!?」
バーデンが気色ばむ。
『九』
俺は城壁を垂直に駆け上がる。
勢いが付いているせいで、壁から落ちる事は無い。
「うわあ!」
「ば、馬鹿な!?」
兵士たちは驚きのあまり、一気に混乱へと陥った。
この至近距離である。
真下から駆け上がってくる標的を、正確に射る事は難しい。
俺は城壁から砦に侵入すると、真っ直ぐにバーデンへと走った。
途中の兵士など居ないも同然だった。
直線上に存在していた兵士たちは、全て吹き飛んだ。
ただ走るだけでも、相当な威力の体当たりになっている。
肉眼で俺の姿を追える者はおそらく居まい。
近距離ならばなおさらだ。
『八』
いくぜ、バーデン!
今度こそぶっ飛ばしてやる。
俺はバーデンの横っ面目掛けて、思い切り殴り付けた。
どかあっ!
まともに食らってバーデンは、もんどりうって床に転げた。
どか!ゴロゴロ…!
「ぐっ……!なんだ、この速さは!」
バーデンはよろけながらも直ぐに立ち上がった。
さすがだな。
『七』
俺はステップを切ると、更に右からバーデンに迫る。
「くっ!」
渾身の右パンチ!
バーデンは避けようと後ろに下がったが、スピードが全く合っていない。
がっ!
再びパンチを食らってバーデンはよろめいた。
しかし、ダウンは拒否している。
俺の動きに追い付いて来れないまでも、反応していたように見える。
コイツ、見えているのか。
『六』
構わず俺は攻め立てた。
時間はわずかしか無いのだ。
悠長に分析している時間など無い。
俺はそのまま走り寄って、飛び膝蹴りを放つ。
ジャンピングニー
がいんっ!
硬い音がして、俺のジャンピングニーは藍眼鉱のラージーシルドに防がれた。
コイツ、やはり見えている。
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