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五一六
「はっはっはっはっ。やるのか?ま、お主ならやるじゃろな。期待しておったわい」
「じーちゃんも好きだろ?こっち来るか?」
「いんや。ワシはもう歳をとりすぎた。観る方を選ばせてもらおうかの。ここは特等席だし、その方が楽しいわい」
サルバスはそう言って高笑いした。
この状況を理解しているのか理解に苦しむが、賢者を名乗るサルバスには大きなお世話であろう。
「さてと。とりあえず突っ掛かってみるか」
オオムカデンダルはそう言って手首をブラブラとさせた。
準備運動のつもりらしい。
だっ!
唐突にオオムカデンダルが駆け出す。
目標は言うまでも無い。
ニーズヘッグだ。
ニーズヘッグが食べこぼした兵士たちの腕や頭が、ボロボロと降ってくる。
どんな光景だ。
地獄の光景もここまで酷くは無いに違いない。
俺は何とか震える脚を掴まえながら立ち上がった。
まだ歩けない。
くそっ、震えよ止まれ。
俺は自らの脚を叩いた。
その間にもオオムカデンダルはニーズヘッグに接近する。
もう真下にまで入り込んでいた。
「むぅん!」
気合いを込めてオオムカデンダルがニーズヘッグにパンチを叩き込む。
しかし柔らかくめり込むばかりで、全く効いているようには見えない。
「くそ、柔らかいな。逆に面倒だ」
オオムカデンダルがそう言って一旦離れる。
びょお
ニーズヘッグの不気味な手が、オオムカデンダルに伸びてきた。
オオムカデンダルはそれを難なくかわすと、左右に走った。
無数の手が次々にオオムカデンダルを襲う。
明らかにオオムカデンダルの事を意識して捕まえようとしている。
いくらオオムカデンダルと言えども、あれに捕まったらおしまいだろう。
食われてしまってはどうしようもない。
相手は龍なのだ。
脱する術など無い。
「おい、レオ!どうなってる!?」
カルタスの声が聞こえる。
向こうにもこっちの音声は届いている。
オオムカデンダルが居る事も知っている筈だ。
「……バーデンが化け物に変わった」
「なんだと!?」
でかい声でカルタスの声が帰ってきた。
「あの巨大な化け物はバーデンなのか!?」
「……ついでに言うとあれは龍なんだそうだ。サルバス様がそう言っていた」
「龍……!」
「……まだあるぞ。オオムカデンダルが龍に突っ掛かってる」
「……!」
もはやカルタスからもオレコからも返事は無かった。
返す言葉が見つからないとはこの事だろう。
「……俺たちもそっちに行った方が良いのか?」
ようやくカルタスの声が帰ってきた。
「いや、来なくて良い。龍と戦おうなんて正気じゃない。オオムカデンダルは特別だ」
「でも、オオムカデンダル様が戦っているのなら私たちだけ逃げると言う訳にも……」
オレコが震えるような声で言った。
お前は真面目だな。
「じーちゃんも好きだろ?こっち来るか?」
「いんや。ワシはもう歳をとりすぎた。観る方を選ばせてもらおうかの。ここは特等席だし、その方が楽しいわい」
サルバスはそう言って高笑いした。
この状況を理解しているのか理解に苦しむが、賢者を名乗るサルバスには大きなお世話であろう。
「さてと。とりあえず突っ掛かってみるか」
オオムカデンダルはそう言って手首をブラブラとさせた。
準備運動のつもりらしい。
だっ!
唐突にオオムカデンダルが駆け出す。
目標は言うまでも無い。
ニーズヘッグだ。
ニーズヘッグが食べこぼした兵士たちの腕や頭が、ボロボロと降ってくる。
どんな光景だ。
地獄の光景もここまで酷くは無いに違いない。
俺は何とか震える脚を掴まえながら立ち上がった。
まだ歩けない。
くそっ、震えよ止まれ。
俺は自らの脚を叩いた。
その間にもオオムカデンダルはニーズヘッグに接近する。
もう真下にまで入り込んでいた。
「むぅん!」
気合いを込めてオオムカデンダルがニーズヘッグにパンチを叩き込む。
しかし柔らかくめり込むばかりで、全く効いているようには見えない。
「くそ、柔らかいな。逆に面倒だ」
オオムカデンダルがそう言って一旦離れる。
びょお
ニーズヘッグの不気味な手が、オオムカデンダルに伸びてきた。
オオムカデンダルはそれを難なくかわすと、左右に走った。
無数の手が次々にオオムカデンダルを襲う。
明らかにオオムカデンダルの事を意識して捕まえようとしている。
いくらオオムカデンダルと言えども、あれに捕まったらおしまいだろう。
食われてしまってはどうしようもない。
相手は龍なのだ。
脱する術など無い。
「おい、レオ!どうなってる!?」
カルタスの声が聞こえる。
向こうにもこっちの音声は届いている。
オオムカデンダルが居る事も知っている筈だ。
「……バーデンが化け物に変わった」
「なんだと!?」
でかい声でカルタスの声が帰ってきた。
「あの巨大な化け物はバーデンなのか!?」
「……ついでに言うとあれは龍なんだそうだ。サルバス様がそう言っていた」
「龍……!」
「……まだあるぞ。オオムカデンダルが龍に突っ掛かってる」
「……!」
もはやカルタスからもオレコからも返事は無かった。
返す言葉が見つからないとはこの事だろう。
「……俺たちもそっちに行った方が良いのか?」
ようやくカルタスの声が帰ってきた。
「いや、来なくて良い。龍と戦おうなんて正気じゃない。オオムカデンダルは特別だ」
「でも、オオムカデンダル様が戦っているのなら私たちだけ逃げると言う訳にも……」
オレコが震えるような声で言った。
お前は真面目だな。
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