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五三一
敵も必死だ。
壁のように群がって俺の行く手を阻んでくる。
回転は次第に勢いを失い、化け物どもを引き裂けなくなってきている。
べしっ
サフィリナックスヒューイットの先端数センチが、バーデンの頬を叩いた。
「!?」
バーデンの表情が劇的に変化した。
どさっ
俺はそのままバランスを崩して床に落ちた。
そこへ化け物どもが群がってくる。
まるで砂糖に群がる蟻のようだった。
くそ、俺もここまでか。
俺は完全に観念していた。
「ぎいぃぃぃー!」
遠くでバーデンの断末魔が聞こえる。
いや、断末魔であってくれ。
突然ニーズヘッグが暴れだす。
蜻蛉洲の猛毒が効いているのだな。
そうであってくれ。
俺はのたうち回るニーズヘッグに合わせて、床を右に左にと転がされる。
たぶん、外からニーズヘッグに毒を注入しても効かなかった筈だ。
あの馬鹿みたいな再生能力があれば、毒で死んだ部分などたちまち再生するに違いなかった。
本体であるバーデンが無傷なら、何度でも再生するのだろう。
だからこそニーズヘッグは執拗に頭部を守っていたのだ。
バーデンを庇う為に。
くそ、もう駄目だ。
意識が遠くなりつつある。
体に吸着してくる化け物どもに、体は半分取り込まれつつあった。
喰われているのか。
こんな所で死んでいる場合では無いんだがな。
ミーア
妹の顔が思い浮かぶ。
だが、駄目な物は駄目だ。
どんなに頑張ってももう動けない。
「まあ、そう悲観するなよ」
どばあっ!
そう聞こえたと同時に床が盛り上がって破裂した。
いや、床を突き破って何かが侵入してきたのだ。
なんだこりゃ。
これは、手?
巨大な手が床を突き破って現れたのだ。
これはセンチピーダーの手だ。
がしっ
「うお!?」
センチピーダーの巨大な手は、俺を無造作に掴まえるとそのまま天井を突き破った。
「お、おい、熱い。熱いぞ……!」
俺は身を焼かれるような熱さに悶絶した。
しかし、そんな中であっても身じろぎ一つ出来ないのは、センチピーダーに掴まえられているからだけでは無かった。
もともと動く力など残ってはいないのだ。
「我慢しろ。スイッチはとうに切っている。ただの余熱だ」
五〇〇〇度弱の余熱など、とても余熱とは言えない。
改造人間でなければ死んでいる。
「良かったじゃないか。改造人間で」
オオムカデンダルはそう言って笑ったが、笑える温度では無い。
「ニーズヘッグの動きが止まったからな。だから間に合った。レオ、良くやった」
オオムカデンダルはぶっきらぼうにそう言った。
センチピーダーはニーズヘッグを突き破り、外へと飛び出す。
俺は辺りに視線をやる。
元の景観は見る影も無い。
壁のように群がって俺の行く手を阻んでくる。
回転は次第に勢いを失い、化け物どもを引き裂けなくなってきている。
べしっ
サフィリナックスヒューイットの先端数センチが、バーデンの頬を叩いた。
「!?」
バーデンの表情が劇的に変化した。
どさっ
俺はそのままバランスを崩して床に落ちた。
そこへ化け物どもが群がってくる。
まるで砂糖に群がる蟻のようだった。
くそ、俺もここまでか。
俺は完全に観念していた。
「ぎいぃぃぃー!」
遠くでバーデンの断末魔が聞こえる。
いや、断末魔であってくれ。
突然ニーズヘッグが暴れだす。
蜻蛉洲の猛毒が効いているのだな。
そうであってくれ。
俺はのたうち回るニーズヘッグに合わせて、床を右に左にと転がされる。
たぶん、外からニーズヘッグに毒を注入しても効かなかった筈だ。
あの馬鹿みたいな再生能力があれば、毒で死んだ部分などたちまち再生するに違いなかった。
本体であるバーデンが無傷なら、何度でも再生するのだろう。
だからこそニーズヘッグは執拗に頭部を守っていたのだ。
バーデンを庇う為に。
くそ、もう駄目だ。
意識が遠くなりつつある。
体に吸着してくる化け物どもに、体は半分取り込まれつつあった。
喰われているのか。
こんな所で死んでいる場合では無いんだがな。
ミーア
妹の顔が思い浮かぶ。
だが、駄目な物は駄目だ。
どんなに頑張ってももう動けない。
「まあ、そう悲観するなよ」
どばあっ!
そう聞こえたと同時に床が盛り上がって破裂した。
いや、床を突き破って何かが侵入してきたのだ。
なんだこりゃ。
これは、手?
巨大な手が床を突き破って現れたのだ。
これはセンチピーダーの手だ。
がしっ
「うお!?」
センチピーダーの巨大な手は、俺を無造作に掴まえるとそのまま天井を突き破った。
「お、おい、熱い。熱いぞ……!」
俺は身を焼かれるような熱さに悶絶した。
しかし、そんな中であっても身じろぎ一つ出来ないのは、センチピーダーに掴まえられているからだけでは無かった。
もともと動く力など残ってはいないのだ。
「我慢しろ。スイッチはとうに切っている。ただの余熱だ」
五〇〇〇度弱の余熱など、とても余熱とは言えない。
改造人間でなければ死んでいる。
「良かったじゃないか。改造人間で」
オオムカデンダルはそう言って笑ったが、笑える温度では無い。
「ニーズヘッグの動きが止まったからな。だから間に合った。レオ、良くやった」
オオムカデンダルはぶっきらぼうにそう言った。
センチピーダーはニーズヘッグを突き破り、外へと飛び出す。
俺は辺りに視線をやる。
元の景観は見る影も無い。
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