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五四〇
何故、いや、敵の手にあったのだからそう言う事なのだろう。
いやしかし、だが、待ってくれ。
思考がまとまらない。
何とか外へ出ようともがく。
しかし、操縦席に埋もれたままピクピクするのが精一杯だ。
くそ、なんなんだ。
どう言う事なんだ。
「……悪いが知らんな。勝手にすれば良い」
オオムカデンダルが興味無さそうに言う。
そうしてまた歩みを進める。
待ってくれ、それはミーアなんだ。
俺の妹だ。
オオムカデンダル、聞こえないのか。
俺は必死に声を送った。
だが、声は震える息になってオオムカデンダルには届かない。
「……うん?なに?」
オオムカデンダルが急に誰かと話し始めた。
管理人か。
「……へぇ、なるほどね」
オオムカデンダルが誰かと通信している間に、何とかしなければ。
俺は動かない体を尚も動かす。
疲労感が半端じゃない。
疲労だけで死ぬかと思う程の苦しさだ。
それでも俺は歯を食いしばって体を動かす。
「……何を言っている」
男が怪訝そうにオオムカデンダルを見つめた。
ヤツは通信と言う物を知らない。
オオムカデンダルが誰かと会話しているなどとは夢にも思うまい。
「一つ良いかい?」
オオムカデンダルが男に尋ねた。
「……なんだ」
「その女の子、どうしても置いて行ってくれない?うちの連中が研究のサンプルとして是非欲しいと言っているんだが」
オオムカデンダルは困ったもんだと言う風に肩をすくめた。
「駄目だと言っただろう。彼女は大切な私の家族なんでね」
「よく言うぜ。家族に剣を突き付けておいて、そりゃあ無いだろう」
「家族だからさ。他人にはしない」
適当な事を言いやがって。
俺の怒りは頂点に達していた。
何が家族だ。
貴様なんぞ俺たち兄妹に必要ない。
俺たちは今まで二人っきりで生きてきたのだ。
貴様なんぞに、貴様なんぞに、俺たちの何が判ると言うのだ。
俺はついに、体を操縦席から乗り出す事に成功した。
そのままズルズルと重さに任せて下へと落下する。
どさっ!
痛くなどない。
俺は必死に這いずって、ミーアに近付く。
「おい!レオ!」
カルタスがすぐに気付いた。
走ってやって来た。
「大丈夫か?無理するな!」
「か……かた……」
「なに?」
「肩を……」
カルタスは何も言わずに肩を貸してくれた。
そして俺の見る方向にオオムカデンダルたちが居るのを確認すると、そのまま同じ方向へ歩き出す。
「そうか。残念だがしょうがない」
オオムカデンダルはため息を吐くと一度下を向いた。
「だったら……」
オオムカデンダルは言いかけて、突然動き出す。
この動きだ。
虚を突かれるような動き。
相手は反応が遅れる。
だが待ってくれ。
俺はオオムカデンダルを止めなければ。
いやしかし、だが、待ってくれ。
思考がまとまらない。
何とか外へ出ようともがく。
しかし、操縦席に埋もれたままピクピクするのが精一杯だ。
くそ、なんなんだ。
どう言う事なんだ。
「……悪いが知らんな。勝手にすれば良い」
オオムカデンダルが興味無さそうに言う。
そうしてまた歩みを進める。
待ってくれ、それはミーアなんだ。
俺の妹だ。
オオムカデンダル、聞こえないのか。
俺は必死に声を送った。
だが、声は震える息になってオオムカデンダルには届かない。
「……うん?なに?」
オオムカデンダルが急に誰かと話し始めた。
管理人か。
「……へぇ、なるほどね」
オオムカデンダルが誰かと通信している間に、何とかしなければ。
俺は動かない体を尚も動かす。
疲労感が半端じゃない。
疲労だけで死ぬかと思う程の苦しさだ。
それでも俺は歯を食いしばって体を動かす。
「……何を言っている」
男が怪訝そうにオオムカデンダルを見つめた。
ヤツは通信と言う物を知らない。
オオムカデンダルが誰かと会話しているなどとは夢にも思うまい。
「一つ良いかい?」
オオムカデンダルが男に尋ねた。
「……なんだ」
「その女の子、どうしても置いて行ってくれない?うちの連中が研究のサンプルとして是非欲しいと言っているんだが」
オオムカデンダルは困ったもんだと言う風に肩をすくめた。
「駄目だと言っただろう。彼女は大切な私の家族なんでね」
「よく言うぜ。家族に剣を突き付けておいて、そりゃあ無いだろう」
「家族だからさ。他人にはしない」
適当な事を言いやがって。
俺の怒りは頂点に達していた。
何が家族だ。
貴様なんぞ俺たち兄妹に必要ない。
俺たちは今まで二人っきりで生きてきたのだ。
貴様なんぞに、貴様なんぞに、俺たちの何が判ると言うのだ。
俺はついに、体を操縦席から乗り出す事に成功した。
そのままズルズルと重さに任せて下へと落下する。
どさっ!
痛くなどない。
俺は必死に這いずって、ミーアに近付く。
「おい!レオ!」
カルタスがすぐに気付いた。
走ってやって来た。
「大丈夫か?無理するな!」
「か……かた……」
「なに?」
「肩を……」
カルタスは何も言わずに肩を貸してくれた。
そして俺の見る方向にオオムカデンダルたちが居るのを確認すると、そのまま同じ方向へ歩き出す。
「そうか。残念だがしょうがない」
オオムカデンダルはため息を吐くと一度下を向いた。
「だったら……」
オオムカデンダルは言いかけて、突然動き出す。
この動きだ。
虚を突かれるような動き。
相手は反応が遅れる。
だが待ってくれ。
俺はオオムカデンダルを止めなければ。
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