見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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五四五

 何も無い空間から、突然突き出た巨大な腕。
その手に鷲掴みにされた男とミーア。
何だこの状況は、現実か。

「……ちょうど良い。どの程度のモンか見極めさせてもらうぜ」

 オオムカデンダルはそう言って半身に構えた。

「ムカデンダルブレード」

 オオムカデンダルの腕に光の線が現れる。
腕が剣へと変わったのだ。

 たっ!

 地面を蹴ってオオムカデンダルが飛び上がる。

 ズバッ!

 オオムカデンダルが腕を大きく薙ぐ。
プニーフタールの人指し指がボロリと落ちた。

「女は返してもらうぜ。こっちには本物の家族が居るんでな」

 オオムカデンダルはプニーフタールの手に取り付くと、ミーアを奪い返した。

「くそ!待て!このクソムカデ!」

 男が抵抗する。

「じゃあな、役立たず」

 オオムカデンダルはそう言い残して、ミーアを抱いて飛び降りた。

「くそっ!くそおあっ!」

 男の絶叫を残して、巨大な手はそのまま空中に消えていった。

「やれやれ、世話かけやがって」

 オオムカデンダルは着地するとカルタスたちにミーアを預けた。

「暴れるからしっかり拘束しておけ。逃がすなよ」

「はい。お任せ下さい」

 オレコが頭を下げる。

 終わったのか。
本当に?

「さて、次はお前だ。問題児」

 オオムカデンダルが俺の前に立った。

「……ぐ、ぐぐっ。うぅ」

 俺は未だに体を制御出来ないでいた。
もう、これ以上は駄目だ。
俺はその場に膝をついた。
でもまあ、良い。
ミーアを取り返せたのだから。

「……お、おい!旦那!」

 カルタスがおかしな声を上げた。

「誰が旦那だ」

 オオムカデンダルはそう言いながらカルタスの視線の先を追う。

「……今度は何だよ」

 オオムカデンダルはそれを見ながら呆れたように言った。

 ぐにぐに

 プニーフタールから切り落とした指が、気持ち悪くうごめいている。

「……何だかヤバそうな気配だな。全員退避しろ」

 オオムカデンダルが退避を命じた。
珍しい。
いつでも前進あるのみ、みたいな男が退避だと。

「おら、お前らも逃げろ。死ぬかもしれんぞ……逃げ場があるならだけどな」

 オオムカデンダルが将軍たちに言う。
 珍しくネガティブなトーンでだ。

「なんだと……?」

 ライエル将軍が眉をひそめる。

「馬鹿かお前は。お前らにもまだ話がある」

 メルドルム将軍が声を荒らげた。

「カルタス。お前らもレオを連れて行け。すぐに迎えを呼ぶ」

 オオムカデンダルは将軍たちを無視して、どんどんと話を進めていく。
どうしたと言うのだ。
いつものオオムカデンダルらしくない。

「てめえ!無視するんじゃねえ!」

 メルドルムが叫ぶ。

「うるさい。ほれ早く行け。死んでも責任取らんぞ」

「……メルドルム。撤退だ」

 ライエル将軍がメルドルムに言う。
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