見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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五五〇

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「食事用?食らうのか?」

 サルバスは驚いた様子でウロコフネタマイトを見た。

「ああ見えて令子さんは大食漢ですからね。あ、いや、漢は違うな」

 蜻蛉洲はそんな事を良いながらモニター越しにウロコフネタマイトを凝視する。

 じゅうっ

 焼けるような音がした。
プニーフタールから白煙が立ち上る。

 ぎゅばっ

 ウロコフネタマイトの胸から腹にかけて装甲が開くと、中から何やら露出した。
一見、花のように見える。
その花弁が突き出ると、まさしく花のように開いた。
中央から雄しべと雌しべのような突起物が伸びている。

 だが、それは見た目だけだ。
それはウネウネとうごめきながら、伸びてプニーフタールを絡めとる。
正直グロテスクだ。

 その間も、その花のような器官と前面の装甲の隙間から、ジワジワと消化液が滲み出てくる。それがプニーフタールに落ちると白煙が立ち上るのだ。

「……溶けておるのか」

 サルバスが言う。

「……」

 蜻蛉洲はそれには答えず、険しい顔をしたままモニターを凝視している。

「おい、よそ見をするな!」

 ライエルが叫んだ。
オオムカデンダルの背後から、プニーフタールの舌が飛び掛かった。

 ぱしっ

 オオムカデンダルは振り向きもせず、腕だけ伸ばして舌を捕まえる。

「心配してくれてありがとよ」

 オオムカデンダルはそう言うと、それを今度は蜻蛉洲に投げた。
蜻蛉洲もそれを右手でキャッチする。

「欲しいんだろ。サンプル」

「勿論だ」

 蜻蛉洲は無表情のまま、それをさっさと金属製の筒に押し込んだ。
そして、何事も無かったかのように再びモニターを凝視する。

 珍しいな。
普段の蜻蛉洲なら大喜びする筈なんだが。

「……これは、効いていないな」

 蜻蛉洲が呟いた。

「効いていない?」

 サルバスが眉をひそめる。

「消化液が消化するそばから、細胞が再生している。再生スピードの方が早い」

 つまり、溶けてはいるが超回復していると言う事か。
結果として効いていないと。

 超回復とか超再生とか、もう慣れてきたな。
俺は特に驚かなかった。
斬った部分は再生していたし、斬られた部分はそのまま活動している。
溶解は増えないだけマシと言うだけだ。

 ヴァンパイアもニーズヘッグも、超再生していた。
このレベルのモンスターで持っている能力なら、邪神の一部なら当然持っている能力だろう。

 問題は、これでどうやっても倒せないと言う事が判明した事だ。
蜻蛉洲は腕組みをしてモニターを見つめている。
何か対策を考えているのか。

「……無駄だと思うが一応武器を試しておこう。ひょっとして、と言う事もあるかもしれないからな」

 蜻蛉洲は立ち上がると用意した武器を手に取った。
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