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五五九
「うあっ!」
俺はその場に突っ伏した。
足首が外れた。
文字通り本当に外れた。
おかしな体勢で踏ん張った為に、左膝も完全に壊れた。
動かない。
だが、サフィリナックスヒューイットは届いた。
プニーフタールの胸の辺りに、俺の触手は叩き込まれた。
触手に生える微細な刺胞からは、超速効性の強力な毒が瞬間的に注入される。
プニーフタールは裸で肉体はむき出しだ。
当たりさえすれば、どこからでも毒を注入できる。
これは幸いだった。
もっとも、邪神が服を着ている姿は想像できないが。
「ぐもおあああああああっ!」
プニーフタールがもがき出す。
効いている。
この苦しみ方は効いている。
俺の毒もフィエステリアームの毒も、常に相手を即死させる為にもがき苦しむ様と言う物を見た事が無い。
しかしプニーフタールの場合は、有りすぎる生命力のせいで、逆に苦しみを味わう事になっている。
へっ、ザマミロ。
プニーフタールの体表が、これまで以上に泡立った。
細胞が壊死して溶けていくスピードに、新陳代謝の速度が追い付いていない。
プニーフタールの体表の慌ただしさを見れば、相当無理をして再生している事は一目瞭然だった。
それでも、再生速度は壊死していく速度に追い付いていない。
少しずつ押し切られている。
細胞核まで破壊できれば、プニーフタールは殺せる。
後は俺たちの毒に頑張ってもらうだけだ。
これ以上出来る事はもう何も無い。
ばしゅっ!
俺の背中が破裂した。
火花が噴き出す。
「……ぐっ!」
痛みが走った。
俺もここまでか。
視界がノイズだらけになった。
何も見えない。
ピーピーと警告音が耳の奥で鳴り響く。
鳴りすぎだろう、うるさいよ。
だんだんと意識が遠ざかっていくのが感じられる。
俺はやっぱり死ぬのだな。
未練はある。
死にたくは無い。
だが、覚悟は出来ている。
冒険者は死と隣り合わせだ。
これまでも何度となく死にかけた。
最大のピンチはあの山小屋だ。
いや、ピンチとさえ呼べない。
なぜなら、あの時俺は死んでいる。
今のこの人生は、サービスタイムのような物だ。
そう考えれば、惜しいと言う気持ちよりも『サービスタイムがあって得をしたな』と思わなくも無い。
もう見えないが、オオムカデンダルはどんな顔をしているのだろうか。
蜻蛉洲は、きっと馬鹿なヤツだと呆れているのだろうな。
フィエステリアームとはあまり話をした事は無かったが、最後に俺がダメ押しをしたんだ。
少しは認めてくれるだろうか。
令子は……あんまり何も思い浮かばない。
何を考えているのか判らない人だ。
でも俺を拾って助けてくれたのも彼女だった。
みんな……ミーア……カル……タ……俺は……
ピー……
そうして俺は全ての活動を停止した。
俺はその場に突っ伏した。
足首が外れた。
文字通り本当に外れた。
おかしな体勢で踏ん張った為に、左膝も完全に壊れた。
動かない。
だが、サフィリナックスヒューイットは届いた。
プニーフタールの胸の辺りに、俺の触手は叩き込まれた。
触手に生える微細な刺胞からは、超速効性の強力な毒が瞬間的に注入される。
プニーフタールは裸で肉体はむき出しだ。
当たりさえすれば、どこからでも毒を注入できる。
これは幸いだった。
もっとも、邪神が服を着ている姿は想像できないが。
「ぐもおあああああああっ!」
プニーフタールがもがき出す。
効いている。
この苦しみ方は効いている。
俺の毒もフィエステリアームの毒も、常に相手を即死させる為にもがき苦しむ様と言う物を見た事が無い。
しかしプニーフタールの場合は、有りすぎる生命力のせいで、逆に苦しみを味わう事になっている。
へっ、ザマミロ。
プニーフタールの体表が、これまで以上に泡立った。
細胞が壊死して溶けていくスピードに、新陳代謝の速度が追い付いていない。
プニーフタールの体表の慌ただしさを見れば、相当無理をして再生している事は一目瞭然だった。
それでも、再生速度は壊死していく速度に追い付いていない。
少しずつ押し切られている。
細胞核まで破壊できれば、プニーフタールは殺せる。
後は俺たちの毒に頑張ってもらうだけだ。
これ以上出来る事はもう何も無い。
ばしゅっ!
俺の背中が破裂した。
火花が噴き出す。
「……ぐっ!」
痛みが走った。
俺もここまでか。
視界がノイズだらけになった。
何も見えない。
ピーピーと警告音が耳の奥で鳴り響く。
鳴りすぎだろう、うるさいよ。
だんだんと意識が遠ざかっていくのが感じられる。
俺はやっぱり死ぬのだな。
未練はある。
死にたくは無い。
だが、覚悟は出来ている。
冒険者は死と隣り合わせだ。
これまでも何度となく死にかけた。
最大のピンチはあの山小屋だ。
いや、ピンチとさえ呼べない。
なぜなら、あの時俺は死んでいる。
今のこの人生は、サービスタイムのような物だ。
そう考えれば、惜しいと言う気持ちよりも『サービスタイムがあって得をしたな』と思わなくも無い。
もう見えないが、オオムカデンダルはどんな顔をしているのだろうか。
蜻蛉洲は、きっと馬鹿なヤツだと呆れているのだろうな。
フィエステリアームとはあまり話をした事は無かったが、最後に俺がダメ押しをしたんだ。
少しは認めてくれるだろうか。
令子は……あんまり何も思い浮かばない。
何を考えているのか判らない人だ。
でも俺を拾って助けてくれたのも彼女だった。
みんな……ミーア……カル……タ……俺は……
ピー……
そうして俺は全ての活動を停止した。
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