見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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五六九

 冒険者たちは街のオヤジやおばちゃんたちに、ボコボコに袋叩きにされた。
俺は何かとんでもないものを見てしまった、そんな気持ちだった。

「な?問題無かっただろ?」

 銀猫が笑った。
いや、これは凄いな。
笑って良いのかどうかは判らないが、確かにあり得ない。

「オニヤンマイザー殿の命で、私が訓練の指揮を預かっている」

 銀猫の仕込みなのか。
それにしたって、ここまでやれるのか。

「と言っても、内容はオニヤンマイザー殿の作った教本通りなんだがな。それに彼らにはアイテムが支給されている」

 アイテム?
なんだそれは。

「全員が耳の中に、通信機なる物を入れてもらっている。取り出せはしないが、必要の無い時には止めておけるからな。普段の生活には支障が無い」

 通信機までとは。
そりゃ、全員が統率とれている筈だ。

「訓練以外にも肉体強化手術と言う物を希望者に行っている。意外な事に希望者多数でな。順次手術を受けてもらっている」

 それは俺が改造人間になる前に、最初に受けたヤツだな。
あれだけでも相当に違う。
その辺の一般人どころか、駆け出しの冒険者には軽く勝ってしまうだろう。

 さっきの連中は見たところ中級者くらいだ。
おおかた上へ上がれなくて、ゴロツキ化したよう連中だろう。
ああ言う手合いは意外と多い。

「見てみな」

 銀猫が街の連中をアゴで示した。

「あのベルトだ。全員同じだろ?」

 本当だ。
バックル部分に何かマークがあしらわれている。

「ネオジョルトの紋章だ。サルバス殿が紋章学に精通しておられるとかで、新たにネオジョルトの紋章を決めたそうだ」

 それをベルトのバックルに施したのか。
一目で身内かどうか判る。
良く見れば、子供から老人までほぼ全員が同じベルトをしていた。
何だか異様な光景に感じられる。

「なるほどの。なかなかに賑わっておるの」

 ローブをまとった男が、突然話し掛けてきた。
フードを目深にかぶっており、顔はハッキリと見えない。
如何にも怪しい奴だな。
俺は軽く身構える。

「まてまて。気が早いぞ」

 どことなく聞き覚えのある声だ。
俺はフードの中を覗きこむ。

「あ」

 俺は短く声を発した。

「誰だ?」

 銀猫が尋ねる。

「殿下……」

 俺は思わず呟いた。

「ふふ、一月ぶりかの。健勝であったか?」

「殿下って……」

 銀猫が面食らう。
帝国を敵視している彼女は、堂々と近付いて来たソル皇子に対して明らかに困惑していた。

「何故こんな所に帝国の皇子が……!?」

「固い事を言うな。余もお前たちの街と言うのが気になっての。どうしてもこの目で見てみたかったのじゃ」

 ソル皇子はそう言うと、目をキラキラさせて街の中を見渡した。
そう言えば、この人も好奇心には勝てないタイプの人だったな。
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