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五八〇
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「邪神を殺す……」
ソル皇子は小さく呟いた。
「まさか本気だったとはの」
「冗談だと思ったか?」
「思うておった。大口をたたくヤツじゃと思うておった。それだけの自信があると言う意思表示なのだとの」
「ふっふっふ。まあ、無理もないか。だが、俺たちは本気だ。理想の世界を創る為には、邪魔な物は排除しなければならんからな。俺たちの力はその為の力だ」
オオムカデンダルが意味ありげにソル皇子を見た。
「……それは判る。力は絶対に必要じゃ。守る為にも、創る為にも、必要な物よ。力の無い者が何か言うても、それはただの絵空事にしか過ぎぬ」
「さすがは皇子。良く判っている。綺麗事しか口にしない偽善者より、よほど好感が持てると言うものだ」
「ふ。お主にそれを言われるとはの」
「その為の悪の秘密結社だろうが。綺麗事を振りかざすだけでは駄目なんだよ。そのうち庶民の勝手な期待や羨望で動けなくなっちまうからな。断固としてやり抜く為にはこっちの方が都合が良いのさ」
「良かろう。反論はしないでおいてやろうかの」
ソル皇子はそう言って笑った。
「結構だ。それで良い」
オオムカデンダルもニヤリと笑う。
「今日は色々と知れて良き日であった。お主の事も知れたしの」
「ケーキの土産だったな。今準備させるから少し待っててくれよな。ついでだ、珈琲も持たせよう」
オオムカデンダルはそう言うと、管理人に命令した。
「こーひーとな?」
ソル皇子が首をかしげる。
「ああ、飲み物さ。ケーキと良く合う。きっと気に入る」
「ふむ。それは楽しみじゃ」
「レオ。皇子をお送りしろ」
「ああ、城の手前までで良いぞ。将軍たちに見られると、また騒ぎになるでの」
俺はオオムカデンダルとソル皇子に言われて、メタルシェルに皇子を乗せた。
当然、土産も満載だ。
こんなに食えるのか。
ちょっとした貿易商の船便くらいある。
俺は余計な心配をしながらメタルシェルを発進させた。
「ふうむ。凄い物よのう」
ソル皇子が窓から外を眺めながら呟いた。
「いつか帝国も、このような物を飛ばせる日が来るのかの」
たぶん来ないと思う。
「お主たちは最初から邪神を倒すつもりでおったのかえ?」
ソル皇子が俺に尋ねた。
「……最初は私が受けた依頼からでしたが、縁あって彼らに助けられました。それからです」
そうなのだ。
最初は彼ら自身の興味から、邪神に関わったのだ。
俺には敵討ちと言う悲願がある。
そうでなくても、邪神を復活させようと言う連中をあのまま放ってはおけない。
俺のこの力は、渡りに船だったのだ。
冒険者の斡旋所の方でも、今のところ大きな動きは無い。
俺の報告も立ち消えになっているか、信用されていないか、そのどちらかだろう。
だが、邪神の一部とは言え、俺たちは戦ったのだ。
そこには将軍たちも居たし、城も破壊された。
斡旋所の人間も、もう信じない訳にはいくまい。
この先どうなるのか。
俺はそんな事を考えながら、適当な広場にメタルシェルを着陸させる。
ソル皇子は小さく呟いた。
「まさか本気だったとはの」
「冗談だと思ったか?」
「思うておった。大口をたたくヤツじゃと思うておった。それだけの自信があると言う意思表示なのだとの」
「ふっふっふ。まあ、無理もないか。だが、俺たちは本気だ。理想の世界を創る為には、邪魔な物は排除しなければならんからな。俺たちの力はその為の力だ」
オオムカデンダルが意味ありげにソル皇子を見た。
「……それは判る。力は絶対に必要じゃ。守る為にも、創る為にも、必要な物よ。力の無い者が何か言うても、それはただの絵空事にしか過ぎぬ」
「さすがは皇子。良く判っている。綺麗事しか口にしない偽善者より、よほど好感が持てると言うものだ」
「ふ。お主にそれを言われるとはの」
「その為の悪の秘密結社だろうが。綺麗事を振りかざすだけでは駄目なんだよ。そのうち庶民の勝手な期待や羨望で動けなくなっちまうからな。断固としてやり抜く為にはこっちの方が都合が良いのさ」
「良かろう。反論はしないでおいてやろうかの」
ソル皇子はそう言って笑った。
「結構だ。それで良い」
オオムカデンダルもニヤリと笑う。
「今日は色々と知れて良き日であった。お主の事も知れたしの」
「ケーキの土産だったな。今準備させるから少し待っててくれよな。ついでだ、珈琲も持たせよう」
オオムカデンダルはそう言うと、管理人に命令した。
「こーひーとな?」
ソル皇子が首をかしげる。
「ああ、飲み物さ。ケーキと良く合う。きっと気に入る」
「ふむ。それは楽しみじゃ」
「レオ。皇子をお送りしろ」
「ああ、城の手前までで良いぞ。将軍たちに見られると、また騒ぎになるでの」
俺はオオムカデンダルとソル皇子に言われて、メタルシェルに皇子を乗せた。
当然、土産も満載だ。
こんなに食えるのか。
ちょっとした貿易商の船便くらいある。
俺は余計な心配をしながらメタルシェルを発進させた。
「ふうむ。凄い物よのう」
ソル皇子が窓から外を眺めながら呟いた。
「いつか帝国も、このような物を飛ばせる日が来るのかの」
たぶん来ないと思う。
「お主たちは最初から邪神を倒すつもりでおったのかえ?」
ソル皇子が俺に尋ねた。
「……最初は私が受けた依頼からでしたが、縁あって彼らに助けられました。それからです」
そうなのだ。
最初は彼ら自身の興味から、邪神に関わったのだ。
俺には敵討ちと言う悲願がある。
そうでなくても、邪神を復活させようと言う連中をあのまま放ってはおけない。
俺のこの力は、渡りに船だったのだ。
冒険者の斡旋所の方でも、今のところ大きな動きは無い。
俺の報告も立ち消えになっているか、信用されていないか、そのどちらかだろう。
だが、邪神の一部とは言え、俺たちは戦ったのだ。
そこには将軍たちも居たし、城も破壊された。
斡旋所の人間も、もう信じない訳にはいくまい。
この先どうなるのか。
俺はそんな事を考えながら、適当な広場にメタルシェルを着陸させる。
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