見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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五九一

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 だっ!

 俺は四人を連携させない為に、隙を与えず攻撃を開始した。

「むんっ!」

 まず中央のガイに掴みかかる。
それを邪魔しようと残りが群がった。

「邪魔をするなっ!」

 俺は力任せにそれらをはね飛ばす。
そして、掴まえたガイを両手で頭上に持ち上げた。

「うおお!?」

「ガイ!?」

 ディーレが叫ぶ。
それを無視して力一杯地面に叩き付ける。

 ボディースラムだ。
そのまま腹を踏みつける。

 だんっ!だんっ!だんっ!

「ぐあっ!」

 三連続で踏みつけた。
たまらずガイが転げて逃げる。

「逃がすか!」

「やめろ!」

 横からバルバが腰に組み付いてきた。
それを上から捕まえると、今度はバラバの腹に膝蹴りを食らわせる。

「うっ!」

 動きが一瞬止まる。
その瞬間に首に手を回してホールドすると、脳天を打ち付けるようにして後ろへ倒れ込む。

 DDTだ。

 ごっ!

 改造人間の力で打ち付けられたバルバは、仮面の登頂部に亀裂が入った。
目の部分まで一部が破損する。
そこからバルバの目が覗いた。

 集まるとそれなりに強いが、一人一人はまだ俺の敵では無いな。

「くっ!なんてパワーだ……」

 ガイが苦しげに立ち上がる。

「マ、マスクが……」

 バルバも仮面を押さえて立ち上がる。
このまま全員制圧だな。
拘束して誰かに迎えに来てもらおう。

 俺は戦いの目処を付けると、締めに入った。

「はあっ!」

 手のひらを彼らに向かって向ける。
五本の指先から稲妻が放たれた。
それは放物線を描いて、上から四人に降り注いだ。

 サフィリナックスサンダー

 新たに解放された技だ。
俺自身のレベルが上がった事により、使用可能となった能力だ。
見た目は稲妻だが、破壊エネルギーが稲妻状になって放たれた破壊光線であり、感電などの効果は無い。

 サフィリナックスサンダーは、着弾すると爆発した。

 ドォンッ!ドォンッ!ドガァン!ドォンッ!

「うわあああっ!」

「きゃあああっ!」

 四人が悲鳴をあげて吹き飛んだ。
死なない程度にはダメージを受けた筈だ。

「く……くそっ!」

「ここまで差があるのか……」

 四人の後悔が聞こえてくる。
済まないな。
俺も負ける訳にはいかないのだ。

「やれやれ。だから用心しろと言ったんだ」

 四人とは違う何者かの声が聞こえた。
センサーに何者かの反応がある。

「誰だ」

 サフィリナックスサンダーの爆煙の向こうから、人影が表れた。

「俺は彼らの後見人だ」

 なんだと。

「アキラ!」

 ルガが名前を呼んだ。
声に力が戻った。

 なるほど、コイツが黒幕か。
四人に希望が甦るのを感じる。
精神的な支えにもなっているな。

「初めまして、だな。レオ君」

 俺の名を知っている。
当然か。
調べはついているのだな。

「お前は……?」

「俺の名は、九条晃。ベクターシードとも言う」

 ベクターシード?
聞き覚えがあるな。
何だったか、いったいどこで聞いたんだか。
俺は必死に記憶を辿った。

「せっかくここまでお膳立てしたのに、このまま潰されては敵わないからな……だからここからは俺が相手だ」

 九条晃と名乗った男は、ブレスレットを軽く押さえた。

「装着!」

 カッ!

 まばゆい光に包まれて、晃は四人と同じく変身した。

「また、変身か……」

 俺は呟いた。
だが風格と言い、構えと言い、コイツは四人とは明らかに違う。
冒険者や将軍たちとも違う、何と言うか異質の強さを感じた。
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