見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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六一六

「帰る方法があるのか……?」

 オオムカデンダルが珍しく動揺している。 

「無いと言えば無いが……可能性だけならある」

 何だ。
判りにくいな。

「……どう言う事だ。俺たちは何万回とシミュレーションを繰り返した。だが、全くその可能性は見出だせなかった……それを見付けたと言うのか」

 オオムカデンダルの動揺は、いつしか高揚に変わっていた。
やはりオオムカデンダルたちにとっても、元の世界に帰れる事は一大事なのだろう。

「……ふ。あくまでも可能性の話だ。だが俺には貴様らと違って他に出来る事も無い。その可能性に掛けるしか無い」

 ぶばっ!

 そこまで話して、九条晃が口から血を噴き出した。

「ぐっ……!俺もここまでか……」

 九条晃が力無く呟く。

「数百年も生きて……ただ帰りたかっただけなのに……結局こんな所で死ぬのか……馬鹿馬鹿しい」

 オオムカデンダルは黙って九条晃の言葉を聞いていた。

「何の因果だ……何の運命か。神様が居たら……ぶん殴ってやりたい……」

「ふはは。お前にしてはなかなか面白い事を言うな。だがそれは良いアイデアだ」

 オオムカデンダルが笑う。

「その案、採用しよう」

 九条晃が、ふふっとかすかに笑った。

「おい?アキラ!?」

 ガイが九条晃を揺さぶる。
死んだのか。
不老不死になって、何百年も生きてきたのに死ぬ時はこんな物なのか。
何だか虚しい。

「お、おのれ……」

 ガイがオオムカデンダルを見上げる。

「どけ」

「な、なにを!?」

 オオムカデンダルはガイを無視して九条晃を抱き抱えた。

「レオ。戻るぞ」

 オオムカデンダルはそう言うと、メタルシェルへと九条晃を運び込んだ。
仇敵だと言っていたのに、やはり同じ世界から来た者同士、このまま野ざらしには出来ないと言う事か。

 秘密結社の首領のくせに、こう言う所があるのがズルいなと思う。

「フィエステリアーム。帰るぞ、後は殿下に任せておけ」

「判った」

 腰を抜かして座り込んだ群衆を残して、フィエステリアームもメタルシェルへと向かう。

「待て!アキラをどうする気だ!」

 ガイがフィエステリアームに言った。

「さあ……直接本人に聞いてみればいい」

 フィエステリアームは淡々とそう言うと、そのままメタルシェルへと乗り込んだ。

「くそ……!」

 ガイは舌打ちをしてフィエステリアームの後を追いかける。
他の三人も慌ててその後を追った。
良いのか?

「申し訳ありません。私も失礼します」

 俺はソル皇子にそう言って頭を下げた。

「良い。任せておけ。またケーキを持ってきてたもれ」

「はい。ではまた」

 俺はもう一度頭を下げてから、メタルシェルへと最後に乗り込んだ。
メタルシェルは全員を乗せた後、ミスリル銀山のアジトへと飛び立つ。

 これで一応帝国のネオジョルト討伐軍は壊滅した事になるのか。
だがコイツらを連れていって良いのか。
まあ、オオムカデンダルは気にしないか。
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