見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

文字の大きさ
625 / 826

六二五

「もちろん」

 オオムカデンダルが、ふふんと鼻を鳴らす。

「なんだ?」

 ガイが訝しむ。

「マンモンて知っているか?」

「!?」

 ガイだけでは無い。
四人全員が固まった。
いや、正確にはオレコとカルタスも固まった。
有名なのか。
同じ冒険者なのに俺だけ知らないなんて、少し体裁が悪いな。
黙っていよう。

「……マンモンだと?正気か」

 ガイが吐き捨てるように言う。

「知り合いか?」

「そんな訳無いだろ!」

 オオムカデンダルの言葉に、ガイは声を荒らげた。
何なんだ。

「……アナタ、マンモンが何か知っていて言っているのかしら?」

 ディーレが尋ねる。

「じいちゃんには説明してもらったがな。実際に見た事は無い」

 オオムカデンダルが肩をすくめた。

「俺たちだって無えよ」

 ガイが脱力するように言う。

「だったら別にビビる事は無いじゃないか」

「……お前、説明を受けたんだよな?判ってるのか」

「七つの大罪は知っているぞ。俺たちの世界にもそう言うのはあったからな。実際に居るとは思わなかったが」

 オオムカデンダルは淡々と答える。

「……七つの大罪の一つ、『強欲』を司る悪魔だよ。ヴァンパイアなんかとは次元が違う」

 ガイが呆れたと言うように言った。

「それは知っているが、次元が違うかどうかはやってみなけりゃ判るまい」

「判るだろ!ゴブリンやコボルトとは訳がちがうんだぞ!」

「悪魔だって死ぬだろ」

「知らん!」

 ガイは怒ってそっぽを向いた。

「何だよ。口先だけか。しょうがないレオ、お前行ってこい」

 は?

「コイツらビビって使いモンになんねえよ。お前が行ってマンモン倒して来いよ」

 確かに俺はマンモンがどんなもんかも知らないが、今の話の感じだと、だいぶ無理な事を言っているんだろうなと言う事は判る。

 が、俺に選択肢や拒否権など無い。

「……判った」

 四人が一斉に俺を見る。

「判ったって……お前」

「俺に拒否権など無い。やれと言われればやるしか無い。やれるだけはやろう」

「ふふふ。さすがは行動隊長だ。頼りにしているぞ」

 オオムカデンダルが笑う。

「おい……本気で行く気か?」

 カルタスが心配そうに言った。
これでも気を使ってくれているのだ。
見かけによらず優しいヤツだ。

「……アタシも行くわ」

 オレコが言う。

「聞いた感じかなりヤバそうだぞ。無理するな」

「危険だから何もしないじゃ、何の為にここに置いてもらっているのか判らないわ」

「なら俺も行くぞ」

「カルタス様が行くなら私も行きます」

 カルタスとトラゴスが追従する。

「待て待て待て」

 バルバが話に割って入ってきた。

「拙僧も参ろう」

「バルバ……!」

 ガイが驚いてバルバを見る。

「アキラの為の話であれば、我らが行かない訳にはいかん」

「じゃあボクも」

「アタシも良いかしら」

 ルガとディーレも名乗りをあげた。

「お、おい」

「アンタはどうするの?待ってても良いけど?」

「ふ、ふざけるな!行くに決まってるだろ!」

 ガイはディーレに乗せられた。

「はい決まり。四人追加で」

「待てよ。多すぎるぞ」

 俺は四人を押し止めた。

「マンモン退治に人数制限があるなんて聞いてないけど?」

「そう言う事じゃない。目立つだろと言っている」

「良いんじゃないか?連れて行け。メタルシェルなら問題ない」

 オオムカデンダルはそう言うと、いつものようにクルクルと椅子を回転させた。
感想 238

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

元婚約者だったお兄様が後悔したと私に言ってくるのですが…

クロユキ
恋愛
親同士が親友だったと将来お互い結婚をして子供が生まれたら婚約を結ぶ約束をした。 お互い家庭を持ち子供が生まれたが一家族の子供は遅い出産だったが歳が離れていても関係ないとお互いの家族は息子と娘に婚約を結ばせた。 ジョルジュ十歳、オリビア0歳で親同士が決めた婚約をした。 誤字脱字があります。 更新が不定期ですがよろしくお願いします。

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」

まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。 目が覚めたら、婚約破棄されていた。 理由は「地味で面白みがない」から。 泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。 最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。 でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。 厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。 そして就任スピーチで宣言した。 「500人全員の名前を、覚えます」 冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。 悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。 元婚約者は——後悔し始めていた。 婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。 なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。