見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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六三五

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 顔が縦に割れて左右に別れる。
自分の顔がそんな風に割れる所を見るのは何とも複雑な心境だ。
せめて、俺はこんな風にならないように気を付けよう。

 俺は天井を見上げると、そこに開いた穴から外へと飛び出した。

「お、無事か」

 カルタスが俺を見付けてニカッと笑う。

「よし、すぐに先へ進もう」

 俺は変身したまま再び先頭を歩き出す。
しかし、わずかに進んだだけで目の前にはおびただしい数の墓地が現れた。
とことん薄気味の悪い場所だな。

 衣装小屋の裏手に広大な墓地とか、何を考えて建てられたのか。

「ここを通るの?」

 ルガが明らかな嫌悪感を見せる。

「仕方が無い。本命の邸宅はこの先だ」

 嫌だと言っていたらこの先一ミリも進めまい。
ここは基本的に大悪魔マンモンが住まう呪われた敷地なのだ。
この程度の不気味さは、小鳥が遊ぶ遊歩道だと思わなければ。

 俺は広大な墓地の真ん中を歩いた。
左右にはたくさんの墓石が立ち並ぶ。

 ぼこっ

 目の前で土が盛り上がった。
モグラ……じゃないよな。
俺は足を止めた。

 ぼこっ、ぼここっ

 それを皮切りにあちこちで同じように土が盛り上がる。
もう判っている。
ゾンビが出てくるんだろ?

 地面の盛り上がりを突き抜けて、右手が地面から生えてきた。
おいでなすったな。
この広大な墓地に、いったい何体の死体が眠っているのか。
それが全部ゾンビとなって襲ってくるのか。

「かなりの数になるな……」

 カルタスが呟いた。

「バスターガン!」

 ルガの声と共に光線が飛ぶ。

 ビシュ!ビシュ!

 二発三発とルガの持つ銃から光線が発射された。
狙い過たず、それが全てゾンビの眉間に命中した。

 ドサッ
ドサッドサッ

 眉間を撃ち抜かれてゾンビが片っ端から地面に倒れる。

「どうした?急にやる気になったか」

 俺はルガに言った。

「ゾンビは殴れるし、ただのアンデッドモンスターだからね!」

 ルガは元気良くそう言うと、次々にゾンビを射殺する。
射殺と言う言い方は合ってるのか。

 なるほど。
殴れるヤツは怖くないのか。
判るような判らんような、まあ良い。
戦力になってくれるのなら文句は無い。
なにせこの数だ。
文字通り猫の手も借りたいくらいだ。

 俺も押し寄せるゾンビの群れを、片っ端から斬り捨てる。

 ドオンッ!ドオンッ!

 カルタスの砲撃もひっきりなしに火を噴いた。
命中したゾンビは跡形も無く吹っ飛ぶ。
あれじゃ復活のしようも無いな。
全員が一丸となってゾンビを撫で斬りにする。
手応えは無いが、数が数だけにどうしても思うように先へは進めない。

「おい、何体殺った?」

「判らん」

 カルタスの問いに俺はぶっきらぼうに答えた。
本当に何体斬ったのか判らない。
軽く五、六十は斬っていると思うがそれ以上は数えるだけ無駄だった。

「おい、こっちはそろそろ減ってきたぞ」

 ガイが言った。
ようやくか。
ならばこっちもそろそろ終わるか。

 俺は気合いを入れ直して、更にゾンビに襲い掛かる。

「こっちも終わりそうだな」

 カルタスが余裕を見せ始める。
これで終わってくれれば良いんだが。

「な、あれ!あれ見て!」

 ルガが驚いて声をあげる。
止めてくれ、そう言う言葉は聞きたく無い。
俺はそう思いながらルガが指す方を見た。
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