見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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六三六

 !?

 俺は一瞬理解できなかった。
しかしすぐに理解し、そして腰を抜かしそうになった。

「な、ナンだありゃあ……」

 俺が言いそうになった言葉をカルタスが言った。
墓地を抜ける先に生い茂る木々。
その高く生い茂る木々の更に上。
顔がある。
ただ顔があるだけでは俺も驚きはしない。

 巨大だ。
そしてその顔の下。
体が無い。
いや、どう言えば良いのか。

 顔があってその下にはいきなり細い足のようなモノが生えている。
首など無い。
首も無く、いきなり顔から虫のような細い足が生えている。

 人間なのか。
いや、あんな人間など居ない。
じゃあいったい何なのか。
顔だけ見れば普通の女性だ。
物静かで物憂げな若い女性に見える。

「マジで何なの……」

 さすがにカルタスも気味が悪そうにソレを凝視していた。
あまりに不気味すぎて目を反らせない。
全員が息を呑んでいた。

「あんなモンスター知っているか?」

 俺はみんなに尋ねた。

「……知る訳無ぇだろ」

 ガイが自信無さげに言う。
他の三人は首を横に振るばかりだ。

 ガサッ
ガササッ

 木々の枝葉を鳴らしながら、ソレがこちらに向かってくる。
クソッ、見れば見るほど不気味だ。
こっちへ来るんじゃ無え。

 低く平べったいなら、まだ虫らしくてマシだが、何なんだあの高さは。
余計に気持ち悪い。
整った女性の顔がまた更に気持ち悪い。
虫っぽくてもやっぱり気持ち悪いだろうな。

 ビビっている場合では無い。
オオムカデンダルも見ている。
後ろへは下がれない。
ネオジョルトに後退は無いのだ。

「ああ……」

 女が切なそうな声を発する。

 げえっ

 その瞬間に口から吐瀉物がぶちまけられた。
見た目の印象と行動に差があり過ぎる。

「ぐあっ!くっせえ!」

 カルタスが堪らず声をあげる。
確かに酷い悪臭だ。
生身の奴らは堪ったもんじゃ無いだろう。

 口からぶちまけられた吐瀉物は、酷い悪臭を放っていた。
なんだこれは、肥溜めか。

 モゾ……

 おい止せ。
やめろ。

 吐瀉物が確かに動いた。
嫌な予感がする。

 モゾ……モゾモゾ

 やっぱり動いている。
そして。

 「うう……ううう」

 それは立ち上がり呻き声をあげた。
人間か?

「ああ……助けて……」

 !?

 俺は腰を抜かしそうになった。
しゃべったぞ。
呻いたとかでも無い。
しっかりとしゃべった。

「お、おい……人間なのか?」

 カルタスが大剣を構えながら後ずさる。
そりゃそうだ。
人間ならおいそれとは斬れない。
ましてやカルタスは人間は斬りたくないと明言している。

「た、助け……て。痛……い……よお」

 その後ろで、次々に人が立ち上がってこちらに助けを求めて歩いて来る。

 どう言う事なんだ。

「消化されてるな……」

 ガイが言う。

「消化?」

「この悪臭は胃酸だ。それで溶かされた肉の臭いも混じっている」

 それはつまり。

「コイツに食われた人間だろうよ。本当に人間かどうかまでは保証しかねるが」

 ガイはそう言って戦闘態勢を維持した。

 人間だと。
どうする。斬るか。
俺は迷った。
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