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六四二
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やがてみんなが後に続く。
この先は言ってみれば地獄の底だ。
悪魔の中の悪魔。
七つの罪源の一つ『強欲」を司る原始の悪魔。
その力は上級六大悪魔に数えられるバフォメットをも凌ぐ。
楽勝とはいかない迄も、泥試合には持ち込みたい。
殴り合いなら勝機はある筈だ。
雑木林を抜けた頃、目の前に大邸宅が現れた。
これか。
俺は雨の中に不気味にそびえ立つ屋敷を見据える。
豪邸と言って良いだろう。
皇族に遠慮したギリギリの豪華さを保っている。
皇帝の居城を除けば、間違いなく最も立派な建造物だと思えた。
富裕層たちの地区に建つ、巨大な大聖堂よりも立派なのが何とも皮肉めいている。
「これか……」
カルタスが溜め息にも似た吐息を漏らす。
「立派すぎるだろ。これだから悪党は」
「悪党どころか悪魔だけどね」
ガイの言葉をルガが訂正した。
「なんだ、ずいぶん元気じゃないか」
ガイが不思議そうにルガを見る。
「まあね。もう怖くないよ。この面子なら戦える」
ガイが横目で俺をチラリと見た。
俺は気付かない振りをして再び足を踏み出した。
「とんでもない魔力と邪気を感じるわ……」
ディーレが呟く。
「俺の側を離れるんじゃないぞ」
カルタスがトラゴスを振り返って言った。
「はい」
「今さら安全な所なんて無いわ。カルタスの側が一番マシかもね」
オレコがトラゴスを見て言う。
「マシってなんだよ!」
「だったらちゃんと守ってあげなさいよ」
「るせえ。判ってるよ」
賑やかだな。
どうせバレてるだろうから、俺もうるさい事は言いたくない。
緊張するよりは良いのかもしれない。
ギイイィィィィ……
近付くと、勝手に入り口の扉が左右に開いた。
何てデカイ扉なのか。
分厚く重々しい扉だ。
それが独りでに開くとは。
どうやらもう始まっているらしい。
「入って来いとよ」
ガイが言う。
「この頑丈そうな扉を見てみろよ。出さないつもりだぜ」
カルタスが半笑いで言った。
「出るよ。マンモンを倒して出る!」
ルガが決意表明のように力強くそう言った。
カツン
一歩踏み出して中へと入る。
ぞわぞわぞわ
一気に空気が変わる。
この世の雰囲気とはまるで違った。
入り口から豪奢な造りになっているが、とてもそんな素敵なモノでは無かった。
「……判る。判るぞ、こんな雰囲気は感じた事が無い」
バルバの声が緊張しているのが判る。
さて、家主はどこだ。
いきなり玄関で出迎えてくれる訳では無さそうだ。
居間か、寝室か、書斎か。
まさか、台所って事は無いだろうが。
「俺が先を歩く、異変を感じたらすぐに対応しろ」
俺はそう言って、みんなよりも十メートルほど先を歩いた。
俺に何かあっても、コイツらなら何とかする筈だ。
おおおおおぉぉぉぉ……
屋敷全体が震えている。
どこから何が起きるのか予測出来ない。
ビッ……キッ
小さな金属音がした。
「あ!危ない!」
ルガが叫んだ。
ガッシャアアアアアンン!
同時に頭上から巨大なシャンデリアが落下してきた。
それが俺の頭部へとドンピシャで直撃し、床の上で派手に砕け散った。
数百キロは有ろうかと言う巨大なシャンデリアだ。
使われている時はさぞや燦然と光を放ち、辺りを煌々と照らした事だろう。
一瞬で全員が凍り付く。
「……問題ない。行くぞ」
俺はそう言って静かに歩きだす。
「……丈夫過ぎだろ、アイツ」
ガイが呆れたように言った。
この先は言ってみれば地獄の底だ。
悪魔の中の悪魔。
七つの罪源の一つ『強欲」を司る原始の悪魔。
その力は上級六大悪魔に数えられるバフォメットをも凌ぐ。
楽勝とはいかない迄も、泥試合には持ち込みたい。
殴り合いなら勝機はある筈だ。
雑木林を抜けた頃、目の前に大邸宅が現れた。
これか。
俺は雨の中に不気味にそびえ立つ屋敷を見据える。
豪邸と言って良いだろう。
皇族に遠慮したギリギリの豪華さを保っている。
皇帝の居城を除けば、間違いなく最も立派な建造物だと思えた。
富裕層たちの地区に建つ、巨大な大聖堂よりも立派なのが何とも皮肉めいている。
「これか……」
カルタスが溜め息にも似た吐息を漏らす。
「立派すぎるだろ。これだから悪党は」
「悪党どころか悪魔だけどね」
ガイの言葉をルガが訂正した。
「なんだ、ずいぶん元気じゃないか」
ガイが不思議そうにルガを見る。
「まあね。もう怖くないよ。この面子なら戦える」
ガイが横目で俺をチラリと見た。
俺は気付かない振りをして再び足を踏み出した。
「とんでもない魔力と邪気を感じるわ……」
ディーレが呟く。
「俺の側を離れるんじゃないぞ」
カルタスがトラゴスを振り返って言った。
「はい」
「今さら安全な所なんて無いわ。カルタスの側が一番マシかもね」
オレコがトラゴスを見て言う。
「マシってなんだよ!」
「だったらちゃんと守ってあげなさいよ」
「るせえ。判ってるよ」
賑やかだな。
どうせバレてるだろうから、俺もうるさい事は言いたくない。
緊張するよりは良いのかもしれない。
ギイイィィィィ……
近付くと、勝手に入り口の扉が左右に開いた。
何てデカイ扉なのか。
分厚く重々しい扉だ。
それが独りでに開くとは。
どうやらもう始まっているらしい。
「入って来いとよ」
ガイが言う。
「この頑丈そうな扉を見てみろよ。出さないつもりだぜ」
カルタスが半笑いで言った。
「出るよ。マンモンを倒して出る!」
ルガが決意表明のように力強くそう言った。
カツン
一歩踏み出して中へと入る。
ぞわぞわぞわ
一気に空気が変わる。
この世の雰囲気とはまるで違った。
入り口から豪奢な造りになっているが、とてもそんな素敵なモノでは無かった。
「……判る。判るぞ、こんな雰囲気は感じた事が無い」
バルバの声が緊張しているのが判る。
さて、家主はどこだ。
いきなり玄関で出迎えてくれる訳では無さそうだ。
居間か、寝室か、書斎か。
まさか、台所って事は無いだろうが。
「俺が先を歩く、異変を感じたらすぐに対応しろ」
俺はそう言って、みんなよりも十メートルほど先を歩いた。
俺に何かあっても、コイツらなら何とかする筈だ。
おおおおおぉぉぉぉ……
屋敷全体が震えている。
どこから何が起きるのか予測出来ない。
ビッ……キッ
小さな金属音がした。
「あ!危ない!」
ルガが叫んだ。
ガッシャアアアアアンン!
同時に頭上から巨大なシャンデリアが落下してきた。
それが俺の頭部へとドンピシャで直撃し、床の上で派手に砕け散った。
数百キロは有ろうかと言う巨大なシャンデリアだ。
使われている時はさぞや燦然と光を放ち、辺りを煌々と照らした事だろう。
一瞬で全員が凍り付く。
「……問題ない。行くぞ」
俺はそう言って静かに歩きだす。
「……丈夫過ぎだろ、アイツ」
ガイが呆れたように言った。
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