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六四五
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ぼっ
突然燭台に火が灯る。
ぼっ、ぼぼぼぼぼ、ぼぼっ
次々に蝋燭に火が付いた。
たちまち礼拝室は闇から解き放たれる。
「なんだ……?」
カルタスが辺りを警戒した。
「この先の部屋で待っている。早く来るがいい」
マンモンの声が響き渡る。
さすが礼拝室だ。
よく響く。
「だが、先へ行かせたくない者も居るからな。気を付けるがいい」
マンモンがそう告げると、どこからともなくオルガンの音が聞こえてくる。
これは、讃美歌か。
荘厳なオルガンの調べに乗せて、讃美歌の歌声が聞こえてくる。
だがその声は亡者の後悔の声だった。
「良い趣味してるな」
ガイが眉をひそめる。
こんな演出など無駄だ。
精神的に俺たちを動揺させようとしているに過ぎない。
歌声が聞こえたから何だと言うのか。
それが亡者の怨嗟の声だからと言って、どうなる物でもあるまい。
文句があるなら掛かって来い。
マンモン、恐れるに足りるか俺が値踏みしてやる。
「痛いよぅ……」
突然部屋の隅に男の呻く顔が浮かんだ。
「きゃ!」
ルガが驚いてガイの後ろに隠れる。
「苦しいぃ……」
「悔しいぃ……」
「妬ましいぃああ!」
様々な声と一緒に、声の主の顔が宙に浮かぶ。
「な、何だよコイツら……」
さすがにガイもビビっている。
「幽霊……かしら……?」
オレコが慎重に距離をとる。
みんな緊張で動きが固くなっているな。
相手の思うツボじゃないか。
こう言う演出は判っていても効果がある。
実際、ルガで無くともみんな緊張を強いられているのだ。
人間の心を良く判っているな。
しかし、恨み辛みで人間は殺せん。
こんなものはまやかしだし、本物だとしても負け犬の遠吠えなのだ。
気にしたら負けである。
「サフィリナックスサンダー!」
俺は祭壇に向かって手のひらを向ける。
指先から稲妻が飛んで、粉々に祭壇と壁を吹き飛ばした。
ドオォーン!
辺りにパラパラと破片が降った。
「どうした。讃美歌が止まったぞ。続けてみろ」
俺はそう言うと、ズカズカと祭壇へ向かう。
「アンタ、顔色が良くないな」
宙を舞う顔の一つに皮肉を言った。
壊れた祭壇の壁を覗き込む。
「よう。来てやったぜ」
壁の向こうに広い部屋がある。
雰囲気的に主との謁見の為の部屋のようだ。
だだっ広い部屋の上座に立派な椅子が一脚。
そこにさっきの肖像画と同じ顔の男が腰掛けていた。
俺はその男に挨拶をしたのだ。
「ふふふ、とんでもない客人も居たものだな」
バキバキ
ガラガラ
俺は壁の穴を更に広げて、中へと足を踏み入れた。
「亡者どもの顔色が良くなかったぜ。ちゃんとケアしてやってるのか」
「……亡者とはそういう物だ。客人とは言え、あまり調子に乗るなよ」
マンモンが気色ばむ。
今まで散々人間を贄にしてきたクセに、ずいぶんな言い草だな。
人間を餌としか見ていない悪魔め。
調子に乗っているのは貴様の方だ。
「ふん。後悔させてやる」
「面白い」
マンモンは腰掛けたまま指を鳴らした。
パチン!
突然体に火が付いた。
なんだと!
ぼおっ!
何も無い所から突然火が着き、瞬く間に全身に及ぶ。
「ふふふ、火だるまだな」
「レオ!」
カルタスが叫んだ。
「慌てるな。こんなもんが俺に通用するか」
俺は一瞬驚いたが、効果がそれだけだと判ると多少落胆した。
突然燭台に火が灯る。
ぼっ、ぼぼぼぼぼ、ぼぼっ
次々に蝋燭に火が付いた。
たちまち礼拝室は闇から解き放たれる。
「なんだ……?」
カルタスが辺りを警戒した。
「この先の部屋で待っている。早く来るがいい」
マンモンの声が響き渡る。
さすが礼拝室だ。
よく響く。
「だが、先へ行かせたくない者も居るからな。気を付けるがいい」
マンモンがそう告げると、どこからともなくオルガンの音が聞こえてくる。
これは、讃美歌か。
荘厳なオルガンの調べに乗せて、讃美歌の歌声が聞こえてくる。
だがその声は亡者の後悔の声だった。
「良い趣味してるな」
ガイが眉をひそめる。
こんな演出など無駄だ。
精神的に俺たちを動揺させようとしているに過ぎない。
歌声が聞こえたから何だと言うのか。
それが亡者の怨嗟の声だからと言って、どうなる物でもあるまい。
文句があるなら掛かって来い。
マンモン、恐れるに足りるか俺が値踏みしてやる。
「痛いよぅ……」
突然部屋の隅に男の呻く顔が浮かんだ。
「きゃ!」
ルガが驚いてガイの後ろに隠れる。
「苦しいぃ……」
「悔しいぃ……」
「妬ましいぃああ!」
様々な声と一緒に、声の主の顔が宙に浮かぶ。
「な、何だよコイツら……」
さすがにガイもビビっている。
「幽霊……かしら……?」
オレコが慎重に距離をとる。
みんな緊張で動きが固くなっているな。
相手の思うツボじゃないか。
こう言う演出は判っていても効果がある。
実際、ルガで無くともみんな緊張を強いられているのだ。
人間の心を良く判っているな。
しかし、恨み辛みで人間は殺せん。
こんなものはまやかしだし、本物だとしても負け犬の遠吠えなのだ。
気にしたら負けである。
「サフィリナックスサンダー!」
俺は祭壇に向かって手のひらを向ける。
指先から稲妻が飛んで、粉々に祭壇と壁を吹き飛ばした。
ドオォーン!
辺りにパラパラと破片が降った。
「どうした。讃美歌が止まったぞ。続けてみろ」
俺はそう言うと、ズカズカと祭壇へ向かう。
「アンタ、顔色が良くないな」
宙を舞う顔の一つに皮肉を言った。
壊れた祭壇の壁を覗き込む。
「よう。来てやったぜ」
壁の向こうに広い部屋がある。
雰囲気的に主との謁見の為の部屋のようだ。
だだっ広い部屋の上座に立派な椅子が一脚。
そこにさっきの肖像画と同じ顔の男が腰掛けていた。
俺はその男に挨拶をしたのだ。
「ふふふ、とんでもない客人も居たものだな」
バキバキ
ガラガラ
俺は壁の穴を更に広げて、中へと足を踏み入れた。
「亡者どもの顔色が良くなかったぜ。ちゃんとケアしてやってるのか」
「……亡者とはそういう物だ。客人とは言え、あまり調子に乗るなよ」
マンモンが気色ばむ。
今まで散々人間を贄にしてきたクセに、ずいぶんな言い草だな。
人間を餌としか見ていない悪魔め。
調子に乗っているのは貴様の方だ。
「ふん。後悔させてやる」
「面白い」
マンモンは腰掛けたまま指を鳴らした。
パチン!
突然体に火が付いた。
なんだと!
ぼおっ!
何も無い所から突然火が着き、瞬く間に全身に及ぶ。
「ふふふ、火だるまだな」
「レオ!」
カルタスが叫んだ。
「慌てるな。こんなもんが俺に通用するか」
俺は一瞬驚いたが、効果がそれだけだと判ると多少落胆した。
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