見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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六五〇

 俺はマンモンから心臓を受け取った。
血が滴ってる上に、ドクンドクンと脈打っている。
脈打つ度に血管から血が噴き出す。
ハッキリ言って気持ちが悪い。

「……これずっと動いてるのか?」

「新鮮な方が良いのだろう?まあ、止めようとしても止まらぬがな」

 凄いな。
不老不死の九条晃にはピッタリとも言えるが。

「今、心臓を受け取った。これから帰還する」

「判った」

 俺はオオムカデンダルに報告すると、みんなを連れて屋敷を後にした。

「なあ、何かアッサリ終わったな」

 メタルシェルの中でカルタスが言う。
俺たちじゃ無かったら、今頃まだ最初の屋敷に居るだろう。

「力があるからそう感じるだけだ。非力では何も成し遂げられん」

 オオムカデンダルが言った。
まだ通信を切らないのか。
本当は暇なんじゃないだろうな。

「おい。本当にその心臓をアキラにやるつもりか?」

 ガイがオオムカデンダルに尋ねた。

「ここまで苦労して手に入れたのに、やらないつもりか?」

「……いや」

 自分で言っておいて、ガイは口ごもった。

「そんな事より晃が目覚めたら、お前らちゃんと説得しろよ」

「……それなんだけど、アナタ最初はアキラが仲間になったらアタシたちにも仲間になれと言ったわよね」

「ああ」

「アキラが仲間にならなかったらアタシたちに説得しろよと。これじゃどっちにしてもアタシたちは仲間になる前提なんじゃないの?」

 ディーレがオオムカデンダルを問い詰める。

「バレたか」

 オオムカデンダルが悪びれもせずに笑った。
言われてみれば確かにそうだ。
ディーレが言わなければ気付かなかった。

 蘇生させるだの、心臓が必要だの、挙げ句の果てにはマンモンを倒せだの、滅茶苦茶な事ばかり言われてまったく気が付かなかった。

 こうやって相手を騙すのか。
恐ろしい男だ。

「まあ、良いじゃないか。お前たちもアキラと一緒なら断る理由もあるまい。今更帝国にも居場所は無いぞ」

「……俺たちはまだ、ネオジョルト討伐の任を破棄していないが?」

 ガイが言った。

「止めとけ。俺に勝てると思うのか?」

「……そんな事はやってみなけりゃ判らん」

 ガイが食い下がる。

「その度に誰かが死んだら甦らせるのは俺たちしか居ないんだぞ」

「……そ、それは」

 ガイがたじろぐ。

「その話はアキラが目覚めてからでも良いでしょ」

 ディーレが話に割って入った。

「ふふふ。まあ、それで良い」

 オオムカデンダルは笑って話を打ち切った。

 それよりも。

 問題はまだある。
オオムカデンダルは神と戦うつもりだと言う事。
それからプニーフタールを俺は諦めた訳では無いと言う事。

 ミーアを救う事も忘れてはいない。

 どこから手を付けるか。
俺は神などより、妹とプニーフタールの方が気掛かりだった。
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