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六五一
俺たちはアジトに戻ると、オオムカデンダルに心臓を渡した。
「生のままかよ」
「新鮮な方が良いんだろ?」
オオムカデンダルが開口一番ボヤいた。
「そうじゃ無くてだな……何か入れ物とか無かったのか?」
「ある訳無いだろ。目の前で心臓えぐって取り出したんだぞ。そのまま手渡されたんだ」
「それにしたってお前……」
「文句言うなよ。俺だって気持ち悪いと思ったんだぞ。仕方が無いからそのまま持ってきたって言うのに」
「判ったって。ありがとよ」
オオムカデンダルは心臓をテーブルの皿の上にとりあえず置いた。
さすがに直にはテーブルに置きたくないらしい。
「さて。本来ならすぐ手術するべきだが、これだけ新鮮ならもう少し後でも大丈夫だろう。なんせまだ鼓動を打っているからな」
マンモンの心臓は皿の上で、ビクンビクンと脈打っている。
出来れば先にこれを片付けてもらいたいんだが。
「手術自体はすぐ終わる。後は晃が目を覚ますかどうかだけだ」
「なに?生き返ると言ったじゃねえか!」
ガイが声を荒らげる。
「話の通りならそうだろうさ。ただ、俺たちもこんなケースは初めてだからな。噂が本当なら生き返るだろう」
「失敗は許さねえからな……?」
「ふふ。俺が心臓移植ごときを失敗する訳無かろう。目をつぶって食事をしながらでも出来る」
自信があるのは判るが言い過ぎだろ。
「管理人準備してくれ」
「判りました」
オオムカデンダルの言葉に管理人が即座に反応する。
テーブルの上の心臓は、皿ごと回収されて運ばれて行った。
「さて、小一時間ほど待っててもらおうか。それまで暫しご歓談を」
オオムカデンダルはそう言うと、自らも広間を出て行った。
小一時間で終わるのか。
まあ、彼ならやるんだろうが。
しかし、特に会話も無い。
このメンツで小一時間は、なかなかキツいな。
「おい」
ガイが俺に呼び掛ける。
「なんだ」
「お前、最初からネオジョルトだったのか」
「まあな」
「俺たちを利用しようと近付いたって訳だ」
そう言う訳でも無かったが、言う必要が無かっただけだ。
だいたい、俺の行動は成り行き任せな部分が多い。
その最大の理由はオオムカデンダルが思い付きで命令するからだが。
「まだプニーフタールを追っているのか?」
「ああ」
「じゃああのムカデが言っていた世界征服はどうなったんだ」
「それはそれでやるんだろう。俺は個人的にプニーフタールを追っているに過ぎない。オオムカデンダルがどの程度プニーフタールを優先的に見ているかは知らん」
「なんだそりゃ」
「ヤツは俺に好きにさせてくれている。プニーフタールを追うなとか、そんな事は言わない。ただ俺は配下だからな。命令があればそっちを優先している。それだけだ」
俺はありのままを語った。
こんな事さえ話すのは初めてだった。
実はコイツらとも、俺はそれほど腹を割って話した事は無いのだな。
「もしも」
ガイが念を押すように言う。
「もしもだ。仮にもしも、俺たちが仲間になったとしたら、俺たちはどうすれば良い」
「それは……オオムカデンダルの命に従って行動する事になるだろう」
「プニーフタールも俺たちは追うのか?」
「それは俺の個人的な目標だ。オオムカデンダルの命が無い間は好きにするが良いさ」
「……世界征服を標榜する割には緩いな」
「まあな。うちはクリーンな風潮だからな」
俺はそう言うと、少し笑った。
「生のままかよ」
「新鮮な方が良いんだろ?」
オオムカデンダルが開口一番ボヤいた。
「そうじゃ無くてだな……何か入れ物とか無かったのか?」
「ある訳無いだろ。目の前で心臓えぐって取り出したんだぞ。そのまま手渡されたんだ」
「それにしたってお前……」
「文句言うなよ。俺だって気持ち悪いと思ったんだぞ。仕方が無いからそのまま持ってきたって言うのに」
「判ったって。ありがとよ」
オオムカデンダルは心臓をテーブルの皿の上にとりあえず置いた。
さすがに直にはテーブルに置きたくないらしい。
「さて。本来ならすぐ手術するべきだが、これだけ新鮮ならもう少し後でも大丈夫だろう。なんせまだ鼓動を打っているからな」
マンモンの心臓は皿の上で、ビクンビクンと脈打っている。
出来れば先にこれを片付けてもらいたいんだが。
「手術自体はすぐ終わる。後は晃が目を覚ますかどうかだけだ」
「なに?生き返ると言ったじゃねえか!」
ガイが声を荒らげる。
「話の通りならそうだろうさ。ただ、俺たちもこんなケースは初めてだからな。噂が本当なら生き返るだろう」
「失敗は許さねえからな……?」
「ふふ。俺が心臓移植ごときを失敗する訳無かろう。目をつぶって食事をしながらでも出来る」
自信があるのは判るが言い過ぎだろ。
「管理人準備してくれ」
「判りました」
オオムカデンダルの言葉に管理人が即座に反応する。
テーブルの上の心臓は、皿ごと回収されて運ばれて行った。
「さて、小一時間ほど待っててもらおうか。それまで暫しご歓談を」
オオムカデンダルはそう言うと、自らも広間を出て行った。
小一時間で終わるのか。
まあ、彼ならやるんだろうが。
しかし、特に会話も無い。
このメンツで小一時間は、なかなかキツいな。
「おい」
ガイが俺に呼び掛ける。
「なんだ」
「お前、最初からネオジョルトだったのか」
「まあな」
「俺たちを利用しようと近付いたって訳だ」
そう言う訳でも無かったが、言う必要が無かっただけだ。
だいたい、俺の行動は成り行き任せな部分が多い。
その最大の理由はオオムカデンダルが思い付きで命令するからだが。
「まだプニーフタールを追っているのか?」
「ああ」
「じゃああのムカデが言っていた世界征服はどうなったんだ」
「それはそれでやるんだろう。俺は個人的にプニーフタールを追っているに過ぎない。オオムカデンダルがどの程度プニーフタールを優先的に見ているかは知らん」
「なんだそりゃ」
「ヤツは俺に好きにさせてくれている。プニーフタールを追うなとか、そんな事は言わない。ただ俺は配下だからな。命令があればそっちを優先している。それだけだ」
俺はありのままを語った。
こんな事さえ話すのは初めてだった。
実はコイツらとも、俺はそれほど腹を割って話した事は無いのだな。
「もしも」
ガイが念を押すように言う。
「もしもだ。仮にもしも、俺たちが仲間になったとしたら、俺たちはどうすれば良い」
「それは……オオムカデンダルの命に従って行動する事になるだろう」
「プニーフタールも俺たちは追うのか?」
「それは俺の個人的な目標だ。オオムカデンダルの命が無い間は好きにするが良いさ」
「……世界征服を標榜する割には緩いな」
「まあな。うちはクリーンな風潮だからな」
俺はそう言うと、少し笑った。
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