見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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六五三

 結局、彼らはここでは無く街に滞在する事を選んだ。
やはり敵視する相手のど真ん中に居るのは居心地が悪かったのか。
それとも単に借りを作るのが嫌だったのか。

「ふん。貴様らの支配地域がどんな物か見たかっただけだ」

 ガイはそう言うと、それっきり黙りこくった。
街の広場にメタルシェルを着陸させる。
この場所はすっかりメタルシェルを降ろす場所になってしまったな。
お陰でメタルシェルが近付くと、人々はわきまえたように場所を開けた。

「やあ、レオさん。調子はどうだい」

 住民が俺に声を掛ける。

「ああ、ぼちぼちだ。仕事は慣れたのかい?」

「慣れてきたぞ。魚を育てるってのは面白いもんだな」

 男はそう言って笑顔を見せた。

「魚を育てる?」

 ディーレが首をかしげた。

「ああ、養殖と言うんだが巨大な施設に海を作って魚を大量に育てている」

「魚を……!?」

「何を馬鹿な事を……」

 ディーレとガイが疑いの眼差しを俺に向ける。
まあ、信じられないのも無理は無い。

「何だ。アンタたちレオさんと居るのに知らないのか。ここは何でも自給自足出来る。足りない物なんて無いね」

 何故か男は自慢気に胸を叩いた。

「足りない物が無いだと。そんな筈があるか。海も無いのに魚を育てるなんて訳の判らん嘘を言いやがって。そもそも魚は獲る物であって、例え海があっても育てようなんて馬鹿なヤツは居ない。山羊や羊じゃあるまいし」

「ははあ。さてはアンタら余所者だな?ま、良いさ。見れば嫌でも信じるしか無くなる。この街への移住希望者は日に日に増えているからな。アンタらもその口なんだろ?」

「馬鹿言え。俺たちは……」

「まあ、その目で色々見て周んな。きっと驚くぜ」

 男はそう言うと、挨拶して去って行った。
この街がネオジョルトの管理下になってから、住民は皆、一様に活気付いていた。
さっきの男のように、明るくポジティブな人間が増えたように感じる。

 人が財産なんだとオオムカデンダルが言う意味が、今では良く判る。
この街は彼らによって、何倍にも力を着けている。
それが今度はネオジョルトの力になって還ってくると言う訳だ。

 俺は銀猫を尋ねた。
彼らの宿を手配してもらう。

「……で、四部屋で良いのか?」

「ああ。一週間程度の滞在だ。食事付きで頼む。代金は後でネオジョルトに請求してくれ」

「オオムカデンダル様の頼みなら代金は要らないが?」

「まあ取っておけよ。オオムカデンダルはたぶん言い値で払うぞ。アイツ律儀だからな」

「ふふ、判った」

 そう言うと、銀猫は四人を連れて部屋に案内しに行った。

「一週間後に迎えに来る」

 俺は四人の後ろ姿にそう声を掛けた。
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