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六五九
「悪いが俺は妹も助けなければならない。仲間の為にもプニーフタールは必ず倒す。邪魔はしないでもらいたい」
これは俺の絶対に譲れない部分だ。
倒すなと言う事には賛同できない。
「倒すなとは言っていない。待ってくれと言っている」
俺にとっては、待つのも苦痛に感じる程だが。
「お前の妹は今ここに居るのだろう?」
「ああ」
「ならば待つくらい出来るだろう」
「記憶が無くなっている。俺の事も兄と認識していない」
俺は晃に鋭い視線を向けた。
別に敵愾心がある訳では無い。
ただ、俺を阻むなと言う気持ちが行動に出てしまっているだけだ。
「……妹はたぶん、インプに操られているんだと思う」
晃が静かに言った。
「インプだと?」
インプと言うのは小さな妖精だ。
そんな者に操られていると言うのか。
「これは聞いた話だが、インプと言うのは悪魔サタンの分岐した姿だと言う。つまりサタンの一部だ」
悪魔サタンだと。
大悪魔、いや、悪魔の中の悪魔じゃないか。
マンモンでさえもサタンと比べる事は出来ない。
それほどの存在だ。
なにせ、神に挑んだと言われる程の悪魔なのだから。
その分身とも言える存在がインプだと。
それがなぜプニーフタールに与しているのか。
「我々はそれぞれ別の思惑の下に集まっていた。利害だけは一致していると言う以外、何の共通項も無い」
晃が話を続ける。
「なんだそれは」
「済まんがそれは俺にも判らん。全員が曲者揃いだからな。その内の何名かはお前たちに倒された。今やつらは優先順位を入れ換えて、ネオジョルト排除を一番に据えている」
「ほう」
オオムカデンダルが嬉しそうに声をあげる。
「キメラ、ワイト、レイス、それに荷担させられたお前の妹。そしてこの俺もお前たちに破れたと言う訳だ」
晃はフッと笑った。
「インプと言うのは?」
「お前が片足もぎ取ったと聞いたが?」
ああ、アイツが。
アイツがインプだったのか。
俺はミーアに対するヤツの態度を思い出し、ムカついた。
「まあ、再起不能とは言えないが、一度破れた事は事実だ。完全では無いとは言え、悪魔サタンだからな。ヤツらには相当衝撃が走ったと思うぞ」
衝撃が走ったくらいでは俺の気は済まん。
確実にトドメを刺さなければ安心は出来ない。
「他にはどんな面子が居るんだ?」
オオムカデンダルが尋ねる。
「後はバルログ、それからリッチ……バルキリーだったと思う」
バルキリー?
バルキリーってあのバルキリーか。
「そうだ。あのバルキリーだ」
何故だ。
バルキリーと言えば、神の尖兵だろう。
それがプニーフタールの手先だと言うのか。
「さっきも言ったように、それぞれの理由は判らん。全員がプニーフタールに何らかの利用価値を見出だしているのだ」
俺は頭が痛くなってきた。
この世は、神も悪魔もごちゃ混ぜなのか。
人間はどうなるのだ。
「ふふ、どうもならん」
オオムカデンダルが笑う。
「神は神、悪魔は悪魔だ。だとすれば人間も人間だろ?人の事は人が決める。神も悪魔もお呼びじゃ無いんだよ」
オオムカデンダルの言葉に、俺は何故か安堵した。
これは俺の絶対に譲れない部分だ。
倒すなと言う事には賛同できない。
「倒すなとは言っていない。待ってくれと言っている」
俺にとっては、待つのも苦痛に感じる程だが。
「お前の妹は今ここに居るのだろう?」
「ああ」
「ならば待つくらい出来るだろう」
「記憶が無くなっている。俺の事も兄と認識していない」
俺は晃に鋭い視線を向けた。
別に敵愾心がある訳では無い。
ただ、俺を阻むなと言う気持ちが行動に出てしまっているだけだ。
「……妹はたぶん、インプに操られているんだと思う」
晃が静かに言った。
「インプだと?」
インプと言うのは小さな妖精だ。
そんな者に操られていると言うのか。
「これは聞いた話だが、インプと言うのは悪魔サタンの分岐した姿だと言う。つまりサタンの一部だ」
悪魔サタンだと。
大悪魔、いや、悪魔の中の悪魔じゃないか。
マンモンでさえもサタンと比べる事は出来ない。
それほどの存在だ。
なにせ、神に挑んだと言われる程の悪魔なのだから。
その分身とも言える存在がインプだと。
それがなぜプニーフタールに与しているのか。
「我々はそれぞれ別の思惑の下に集まっていた。利害だけは一致していると言う以外、何の共通項も無い」
晃が話を続ける。
「なんだそれは」
「済まんがそれは俺にも判らん。全員が曲者揃いだからな。その内の何名かはお前たちに倒された。今やつらは優先順位を入れ換えて、ネオジョルト排除を一番に据えている」
「ほう」
オオムカデンダルが嬉しそうに声をあげる。
「キメラ、ワイト、レイス、それに荷担させられたお前の妹。そしてこの俺もお前たちに破れたと言う訳だ」
晃はフッと笑った。
「インプと言うのは?」
「お前が片足もぎ取ったと聞いたが?」
ああ、アイツが。
アイツがインプだったのか。
俺はミーアに対するヤツの態度を思い出し、ムカついた。
「まあ、再起不能とは言えないが、一度破れた事は事実だ。完全では無いとは言え、悪魔サタンだからな。ヤツらには相当衝撃が走ったと思うぞ」
衝撃が走ったくらいでは俺の気は済まん。
確実にトドメを刺さなければ安心は出来ない。
「他にはどんな面子が居るんだ?」
オオムカデンダルが尋ねる。
「後はバルログ、それからリッチ……バルキリーだったと思う」
バルキリー?
バルキリーってあのバルキリーか。
「そうだ。あのバルキリーだ」
何故だ。
バルキリーと言えば、神の尖兵だろう。
それがプニーフタールの手先だと言うのか。
「さっきも言ったように、それぞれの理由は判らん。全員がプニーフタールに何らかの利用価値を見出だしているのだ」
俺は頭が痛くなってきた。
この世は、神も悪魔もごちゃ混ぜなのか。
人間はどうなるのだ。
「ふふ、どうもならん」
オオムカデンダルが笑う。
「神は神、悪魔は悪魔だ。だとすれば人間も人間だろ?人の事は人が決める。神も悪魔もお呼びじゃ無いんだよ」
オオムカデンダルの言葉に、俺は何故か安堵した。
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