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六六二
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そうとも知らず、騎馬隊は山道を進んで行く。
この先はモンスターの巣窟だ。
もしも、無事に山頂まで辿り着いても、用件次第では全滅する。
これは確定だ。
何故なら上には蜻蛉洲が居るからだ。
結局、この道を登る意味など彼らには無い。
この道は片道なのだ。
がさがさ
茂みが鳴る。
何か出たか。
ばっ
飛び出してきたのは小型のドラゴンだ。
小型と言っても人間の三、四倍はある。
鱗に覆われた体。
長い首。
大きな目と、突き出たアゴ。
頭からは角と触覚も突き出ていた。
「あれは……ジャバウォック!」
ドラゴンには無い触覚。
これはジャバウォックと呼ばれる幻のモンスターだ。
ハッキリ言って、ミスリル銀山でしか見た事は無い。
普段はどこに生息しているのかも全く判らない。
賢者サルバスでさえ、珍しい珍しいと大喜びしていたのだ。
この山は本当にレアなモンスターを引き寄せる。
「なんだ!?ドラゴンか!?」
「馬鹿な!子供か!?小さいぞ!」
「本隊に伝令を出せ!」
騎馬隊は混乱に陥った。
無理も無い。
多少の覚悟は持って挑んだのだろうが、ミスリル銀山は実際に登ってみるまで何が出てくるのか判らない。
他所からのモンスターを強力に惹き付ける力が、ミスリル銀鉱から放たれている以上、これは誰にも予測不可能だ。
俺が登った時にはロック鳥とバジリスクが出たもんだ。
既に懐かしいな。
騎馬隊から一騎離脱した。
伝令か。
こりゃ、本隊は回れ右だな。
「キシャアアアア!」
ジャバウォックが威嚇の声を発する。
どう見てもドラゴンだが、その力は未知数だ。
目撃例もほとんど無い。
生態も能力も謎が多いのだ。
「ジャバウォックが出たじゃと!」
通信にサルバスが飛び込んでくる。
ややこしいのがまた一人出てきたな。
「ワシも行くぞ!」
「止めとけよじいちゃん、今レオは作戦中なんだよ」
「いやいやいやいや。そんなもんとは重要度が違うわい!ジャバウォックだぞ、今逃したら死ぬまでにもう一度会える気がせん!」
大丈夫だろ。
アンタあと五十年は生きそうだし。
「撃て!撃てええ!」
隊長らしき男が号令を掛ける。
ぼっ!ぼっ!ぼっ!ぼっ!
隊員たちが次々に魔法を放つ。
ファイヤーボールだ。
ぼんっ!
ぼぼぼんっ!
ジャバウォックの体表でファイヤーボールが炸裂する。
「キシャアアアア!」
全然無事だな。
全く効いていない。
ジャバウォックがドラゴンと同種族かどうかは判らないが、見た目から言えばファイヤーボールなど如何にも効きそうに無い。
炎系下位魔法で何とかなると思ったのか。
「くそ!効いていないぞ!」
「怯むな!数で押せ!撃て!」
ぼっ!ぼっ!ぼぼぼっ!
無数のファイヤーボールがジャバウォックに炸裂する。
良い加減にしろよ、山火事になっちまう。
「キシャアアアア!」
ジャバウォックが一際大きく吠えた後、何か喋るように鳴いた。
なんだ?
俺は聴力を上げる。
だが、何を言っているのかは聞き取れなかった。
まあ、モンスターの鳴き声だし当然か。
「あれは古代語だ。呪文を詠唱しとる」
サルバスの声が聞こえた。
古代語?
と言う事は。
「キシャアアアアルルルルググ!」
青白い魔方陣がジャバウォックの頭の前に浮かび上がる。
なんだか不味いぞ。
ビャアアアアアアアアアッ!!
耳障りな音が轟くと同時に、騎馬隊に向かって無数の光の点が飛んだ。
この先はモンスターの巣窟だ。
もしも、無事に山頂まで辿り着いても、用件次第では全滅する。
これは確定だ。
何故なら上には蜻蛉洲が居るからだ。
結局、この道を登る意味など彼らには無い。
この道は片道なのだ。
がさがさ
茂みが鳴る。
何か出たか。
ばっ
飛び出してきたのは小型のドラゴンだ。
小型と言っても人間の三、四倍はある。
鱗に覆われた体。
長い首。
大きな目と、突き出たアゴ。
頭からは角と触覚も突き出ていた。
「あれは……ジャバウォック!」
ドラゴンには無い触覚。
これはジャバウォックと呼ばれる幻のモンスターだ。
ハッキリ言って、ミスリル銀山でしか見た事は無い。
普段はどこに生息しているのかも全く判らない。
賢者サルバスでさえ、珍しい珍しいと大喜びしていたのだ。
この山は本当にレアなモンスターを引き寄せる。
「なんだ!?ドラゴンか!?」
「馬鹿な!子供か!?小さいぞ!」
「本隊に伝令を出せ!」
騎馬隊は混乱に陥った。
無理も無い。
多少の覚悟は持って挑んだのだろうが、ミスリル銀山は実際に登ってみるまで何が出てくるのか判らない。
他所からのモンスターを強力に惹き付ける力が、ミスリル銀鉱から放たれている以上、これは誰にも予測不可能だ。
俺が登った時にはロック鳥とバジリスクが出たもんだ。
既に懐かしいな。
騎馬隊から一騎離脱した。
伝令か。
こりゃ、本隊は回れ右だな。
「キシャアアアア!」
ジャバウォックが威嚇の声を発する。
どう見てもドラゴンだが、その力は未知数だ。
目撃例もほとんど無い。
生態も能力も謎が多いのだ。
「ジャバウォックが出たじゃと!」
通信にサルバスが飛び込んでくる。
ややこしいのがまた一人出てきたな。
「ワシも行くぞ!」
「止めとけよじいちゃん、今レオは作戦中なんだよ」
「いやいやいやいや。そんなもんとは重要度が違うわい!ジャバウォックだぞ、今逃したら死ぬまでにもう一度会える気がせん!」
大丈夫だろ。
アンタあと五十年は生きそうだし。
「撃て!撃てええ!」
隊長らしき男が号令を掛ける。
ぼっ!ぼっ!ぼっ!ぼっ!
隊員たちが次々に魔法を放つ。
ファイヤーボールだ。
ぼんっ!
ぼぼぼんっ!
ジャバウォックの体表でファイヤーボールが炸裂する。
「キシャアアアア!」
全然無事だな。
全く効いていない。
ジャバウォックがドラゴンと同種族かどうかは判らないが、見た目から言えばファイヤーボールなど如何にも効きそうに無い。
炎系下位魔法で何とかなると思ったのか。
「くそ!効いていないぞ!」
「怯むな!数で押せ!撃て!」
ぼっ!ぼっ!ぼぼぼっ!
無数のファイヤーボールがジャバウォックに炸裂する。
良い加減にしろよ、山火事になっちまう。
「キシャアアアア!」
ジャバウォックが一際大きく吠えた後、何か喋るように鳴いた。
なんだ?
俺は聴力を上げる。
だが、何を言っているのかは聞き取れなかった。
まあ、モンスターの鳴き声だし当然か。
「あれは古代語だ。呪文を詠唱しとる」
サルバスの声が聞こえた。
古代語?
と言う事は。
「キシャアアアアルルルルググ!」
青白い魔方陣がジャバウォックの頭の前に浮かび上がる。
なんだか不味いぞ。
ビャアアアアアアアアアッ!!
耳障りな音が轟くと同時に、騎馬隊に向かって無数の光の点が飛んだ。
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