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七〇〇
金貨十万枚、全てジョルターでだと。
本気か。
「殿下ッ!本気でございますか!?」
ライエル将軍が思わず声を上げる。
「へえ。将軍様もジョルターをご存知とはね」
オオムカデンダルが面白そうに笑った。
「あんなモノ、ただの贋金です!それで西の繁華街を売ってしまわれるなど……!」
「別に構わんじゃろう?それとも何か使い途があるかの?」
ソル皇子がライエル将軍に尋ねた。
「は……いえ……しかし、使い途の問題では無く領土を手放されると言うのは……」
「土地は逃げたりせぬ。依然帝国の領土内に在るのだ。持ち主が変わるだけじゃ」
それが問題なんだろう。
ソル皇子は西の繁華街の価値を知っている。
ネオジョルトの力も理解している。
正面から事を構えて少しも得が無い事は明らかだ。
だったら領内に西の繁華街を置いて姉妹都市契約を結び、莫大な恩恵を受けた方が良い。
全ての物流の交差点が、領内に出来るのだ。
欲張り過ぎて良い事など、一つも無い。
ネオジョルトとギブアンドテイクが正解だ。
それにもし、他国から西の繁華街が狙われたとしてもネオジョルトが代わりに守ってくれる。
帝国は何もしなくて良いのだ。
しかし、ジョルターでか。
俺は唸った。
ソル殿下が第一皇子だったら帝国も安泰だったろうに。
「面白い事を言うな。良いのかい?あんな得体の知れない金で」
「金貨でもらっても、いずれ使い途が無くなっては困るからの。西の繁華街のようにまた出し抜かれては困る」
ソル殿下はそう言うと、ほほほほほと笑った。
ソル殿下はいずれジョルターが金貨にとって変わると見ているのか。
俺でさえ上手くいくか半信半疑だと言うのに。
「まあ、こっちは構わないぜ。帝国がジョルターを大量に保有するのは良い事だ」
「良い事だと」
ライエル将軍が苦虫を噛み潰したように顔をしかめた。
「西の繁華街で造った様々な道具や食材は、明らかに世界一の品質だ。他国も欲しがる品質だぜ?大量に購入するにはジョルターの方が良いだろ?今や金貨よりもジョルターの方が価値が高いからな。少ないジョルターで倍以上買える」
そうなのか。
それは初耳だ。
「さて、早速契約を結ぼう」
オオムカデンダルがソル殿下に言った。
これだけ大枚をはたいたのだ。
皇帝陛下も異論はあるまい。
使い途の無い土地を、破格の値段で売却したのだ。
その上で利益はまだ出る。
領内に大国を飼うようなモノである。
「ほほほほ。良い買い物をしたのう」
「ふふふ。損はさせないさ。お買い得だったとすぐに実感できる」
オオムカデンダルとソル殿下が互いに握手をした。
ライエル将軍だけが心配そうな顔をしていた。
本気か。
「殿下ッ!本気でございますか!?」
ライエル将軍が思わず声を上げる。
「へえ。将軍様もジョルターをご存知とはね」
オオムカデンダルが面白そうに笑った。
「あんなモノ、ただの贋金です!それで西の繁華街を売ってしまわれるなど……!」
「別に構わんじゃろう?それとも何か使い途があるかの?」
ソル皇子がライエル将軍に尋ねた。
「は……いえ……しかし、使い途の問題では無く領土を手放されると言うのは……」
「土地は逃げたりせぬ。依然帝国の領土内に在るのだ。持ち主が変わるだけじゃ」
それが問題なんだろう。
ソル皇子は西の繁華街の価値を知っている。
ネオジョルトの力も理解している。
正面から事を構えて少しも得が無い事は明らかだ。
だったら領内に西の繁華街を置いて姉妹都市契約を結び、莫大な恩恵を受けた方が良い。
全ての物流の交差点が、領内に出来るのだ。
欲張り過ぎて良い事など、一つも無い。
ネオジョルトとギブアンドテイクが正解だ。
それにもし、他国から西の繁華街が狙われたとしてもネオジョルトが代わりに守ってくれる。
帝国は何もしなくて良いのだ。
しかし、ジョルターでか。
俺は唸った。
ソル殿下が第一皇子だったら帝国も安泰だったろうに。
「面白い事を言うな。良いのかい?あんな得体の知れない金で」
「金貨でもらっても、いずれ使い途が無くなっては困るからの。西の繁華街のようにまた出し抜かれては困る」
ソル殿下はそう言うと、ほほほほほと笑った。
ソル殿下はいずれジョルターが金貨にとって変わると見ているのか。
俺でさえ上手くいくか半信半疑だと言うのに。
「まあ、こっちは構わないぜ。帝国がジョルターを大量に保有するのは良い事だ」
「良い事だと」
ライエル将軍が苦虫を噛み潰したように顔をしかめた。
「西の繁華街で造った様々な道具や食材は、明らかに世界一の品質だ。他国も欲しがる品質だぜ?大量に購入するにはジョルターの方が良いだろ?今や金貨よりもジョルターの方が価値が高いからな。少ないジョルターで倍以上買える」
そうなのか。
それは初耳だ。
「さて、早速契約を結ぼう」
オオムカデンダルがソル殿下に言った。
これだけ大枚をはたいたのだ。
皇帝陛下も異論はあるまい。
使い途の無い土地を、破格の値段で売却したのだ。
その上で利益はまだ出る。
領内に大国を飼うようなモノである。
「ほほほほ。良い買い物をしたのう」
「ふふふ。損はさせないさ。お買い得だったとすぐに実感できる」
オオムカデンダルとソル殿下が互いに握手をした。
ライエル将軍だけが心配そうな顔をしていた。
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