見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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七二五

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 オニヤンマイザーは、あっと言う間にワイバーンに迫った。
ワイバーンもオニヤンマイザーに気が付いた。
輪になって飛んでいたものが、ばっと散会した。

「まずはお前だ」

 オニヤンマイザーは一匹に狙いを定めると、高速で接近する。
正面からか。
オニヤンマイザーは臆する事無くワイバーンに挑み掛かる。

 イイィィンッ!

 ワイバーンが甲高く吼える。

 ガッ!

 そのワイバーンに容赦なくオニヤンマイザーがキックを見舞った。
飛龍を蹴るなんて初めて見た。
ワイバーンは巨体に見合わず小回りが利く。
体を柔らかく使って方向を転換する。
空の王者は伊達では無い。

 キシャアアアアッ!

 今度はワイバーンがオニヤンマイザーに襲い掛かった。

「まだ僕の番だ」

 オニヤンマイザーはそう言って何かを発射した。

 ドラダダダダダダダダダ!

 ぐおおおおおおん!

 雨のように連続で降り掛かる攻撃を受けて、ワイバーンがいななく。
ワイバーンから白い煙が上がった。

「酸か……アシッドバルカン……」

 俺は呟いた。
俺に最近解禁された武装の一つだ。
使った事は無いが、一目見て理解した。
強力な酸を弾丸にして、高速で連続発射する。
硬い鱗を持つワイバーンには有効かもしれない。

 グアオオオオオォォンッ!

 怒りを込めてワイバーンが吼えた。
顔から白い煙を立てながら、猛然とオニヤンマイザーに襲い掛かる。

「おっと」

 難なくかわしたオニヤンマイザーを、背後から別のワイバーンが捕まえた。

「む?」

 連携したのか。
そんな馬鹿な。

 いや、龍族は総じて知能が高い。
学者によっては、人間よりも遥かに知能が高いと言う者まで居る。
この程度の連携は当たり前なのかもしれない。

 きいいいいいいん
ドカアアッ!

 そのまま地面に着地する。
オニヤンマイザーを叩き付けるように、足から乱暴に着地した。

「はっはっはっはっはっ」

 オオムカデンダルが笑う。
仲間を笑うとは、なんて奴だ。

「やれやれ……僕は百足と違って格闘戦は好きじゃ無いんだ。汚れるじゃないか」

 オニヤンマイザーが冷静に言った。
何とも無いらしい。

「オニヤンバイト」

 オニヤンマイザーがそう言うと、彼の口が左右に割れた。
その先端はノコギリの刃のように、ギザギザと鋭く尖っていた。

 ガシュ!

 噛み付いた。
飛龍に噛み付く。
そんな事も人類史上、初めての事じゃ無かろうか。
しかし足先まで鱗に覆われた飛龍に、噛み付きなど通用するのか。

 ギシャアアアアアッ!

 ワイバーンが咆吼して、激しく翼を暴れさせた。

 通用しているな。
通用するのか。
俺は呆気にとられた。

「鬼ヤンマの噛み付く力はとても強力だ。硬い甲虫だろうが、自分より相手が大きかろうが、全く関係なく食らう。例え相手がスズメバチだろうが捕食するほど獰猛だ。ましてやオニヤンマイザーはその能力を強化して取り込んでいるからな。ワイバーンなど蜻蛉洲にとっては蝶も同然だ」

 オオムカデンダルが、さも当然と言う風に言った。
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