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七六九
ケンは少し沈黙した。
まあ、ある訳無い。
長い間封印されていたのだ。
如何に勇者の家系と言えども、封印されていた邪神を知る術は無い筈だ。
「……見た事は無いね」
ほら見ろ。
「でも判るよ。あれは邪神だった筈だ」
「どうしてそう言い切れる」
俺は気になって思わずケンの顔を見てしまった。
「ふふふ、勇者の勘さ」
くそ、担がれたか。
「ようやく足を止めてくれたね」
貴様の罠に嵌まったのだと思うと、返事もしたくない。
「でもさ、ただの勘って訳でも無いんだ」
「もう、貴様の暇つぶしに付き合っている暇は無い」
俺は無視して再び歩き出した。
この後どうするか。
それも考えなければならんのに、お前と遊んでいる場合では無いのだ。
「まあ、待ちなよ。勇者には特別な能力が伝わっているんだ。知りたいだろ?」
「どうせ嘘だろう。別に知りたくない」
「嘘じゃないよ。本当だ」
俺はひたすら無視して歩き続ける。
「この道はさっきも通ったね。君、ひょっとして目的も無く歩いてるんじゃないか?」
ああ、そうだよ!
お前を巻きたいだけだ。
「やっぱり、僕と話がしたいんだね。正直に言えば良いのに」
ケンが嬉しそうに言う。
勇者の割に砕け過ぎだろ。
友達居ないのか?
本人は多いと思っていそうだが。
「僕らはね邪悪な物を感じる力があるんだ。邪悪であればあるほど、炎をまとったようなエネルギーを見る事が出来る」
「だったらその力で、この国の悪党を一層したら良いじゃないか。どれだけ罪も無い子供たちが犠牲になっている事か。お前は騎士団の総隊長なんだろ?」
「あちゃあ……痛い所を突いてくるねぇ。意外と君は性格が悪いな」
うるさい。
放っておいてもらおうか。
「そうしたいのは山々なんだがね。それが上手くいかないんだよねぇ」
「なんだ。役立たずだな」
「いや、面目ない。総隊長が故にどうにもならん事もあってさ」
「どう言う事だ」
「……騎士団の総隊長ってさ、言うなれば役人な訳じゃん?体制側ってヤツさ。そうなると上には逆らえないんだよねぇ」
俺は足を止めた。
「じゃあなにか?国の偉いのが関わっていると言うのか?」
俺はケンに向き直ると、ツカツカと迫った。
「おおうっ!?ど、どうした?急に?」
「答えろ。王国が子供たちを拐っているのかと聞いているんだ!」
ケンの表情が変わる。
目がキラリと光った。
「……どうしてそんな事まで知っているんだい?僕はまだ何も言っていないのに」
「さっきから麻薬の密売に絡んでいるのかと俺に迫っていたじゃないか」
「そうは言ったが、子供が誘拐されているなんて一言も言っていないが」
そうだったか?
だが、そんな事はどうでも良い。
「おい、貴様。どこまで知っている。貴様の知っている事を教えてもらおうか」
「おいおい、なんだい急に乱暴だなあ。騎士団の総隊長を捕まえて貴様は無いだろう?侮辱罪で捕まえちゃうぞ?」
「うるさい!そんな些細な事ばかり気にして誰も助けられていないじゃないか!そんな総隊長など辞めてしまえ!この似非勇者め!」
俺は吐き捨てるようにそう言い残して、再び歩き出す。
「凄い剣幕だねぇ。そんなハッキリ本当の事を言う奴なんて初めて会ったよ」
まだ付いて来るか。
「やっぱり君にお願いしたい。どうか手伝ってはもらえまいか?」
なんだと?
「いやあ、君ほど腕が立つ男も見た事無いし、そんなにハッキリ本当の事をぶちまける奴も見た事が無いよ。実に面白い男だ」
面白がるな。
どこぞのムカデを思い出す。
「お前、俺を疑っていたろう」
「ああ、今も疑っているよ。謎しか無いからね。でも信用できると思う」
「何故だ」
「ははっ、君が正直だからかな」
ちっ。
俺は舌打ちをした。
「頼むよ。僕一人では動ける範囲に制限があるんだ」
ケンは前に出ると、俺の顔を窺った。
「だったらアンタの知っている事は全部教えろ。それと、子供たちの救出が先だ」
俺はケンに条件を突き付けた。
まあ、ある訳無い。
長い間封印されていたのだ。
如何に勇者の家系と言えども、封印されていた邪神を知る術は無い筈だ。
「……見た事は無いね」
ほら見ろ。
「でも判るよ。あれは邪神だった筈だ」
「どうしてそう言い切れる」
俺は気になって思わずケンの顔を見てしまった。
「ふふふ、勇者の勘さ」
くそ、担がれたか。
「ようやく足を止めてくれたね」
貴様の罠に嵌まったのだと思うと、返事もしたくない。
「でもさ、ただの勘って訳でも無いんだ」
「もう、貴様の暇つぶしに付き合っている暇は無い」
俺は無視して再び歩き出した。
この後どうするか。
それも考えなければならんのに、お前と遊んでいる場合では無いのだ。
「まあ、待ちなよ。勇者には特別な能力が伝わっているんだ。知りたいだろ?」
「どうせ嘘だろう。別に知りたくない」
「嘘じゃないよ。本当だ」
俺はひたすら無視して歩き続ける。
「この道はさっきも通ったね。君、ひょっとして目的も無く歩いてるんじゃないか?」
ああ、そうだよ!
お前を巻きたいだけだ。
「やっぱり、僕と話がしたいんだね。正直に言えば良いのに」
ケンが嬉しそうに言う。
勇者の割に砕け過ぎだろ。
友達居ないのか?
本人は多いと思っていそうだが。
「僕らはね邪悪な物を感じる力があるんだ。邪悪であればあるほど、炎をまとったようなエネルギーを見る事が出来る」
「だったらその力で、この国の悪党を一層したら良いじゃないか。どれだけ罪も無い子供たちが犠牲になっている事か。お前は騎士団の総隊長なんだろ?」
「あちゃあ……痛い所を突いてくるねぇ。意外と君は性格が悪いな」
うるさい。
放っておいてもらおうか。
「そうしたいのは山々なんだがね。それが上手くいかないんだよねぇ」
「なんだ。役立たずだな」
「いや、面目ない。総隊長が故にどうにもならん事もあってさ」
「どう言う事だ」
「……騎士団の総隊長ってさ、言うなれば役人な訳じゃん?体制側ってヤツさ。そうなると上には逆らえないんだよねぇ」
俺は足を止めた。
「じゃあなにか?国の偉いのが関わっていると言うのか?」
俺はケンに向き直ると、ツカツカと迫った。
「おおうっ!?ど、どうした?急に?」
「答えろ。王国が子供たちを拐っているのかと聞いているんだ!」
ケンの表情が変わる。
目がキラリと光った。
「……どうしてそんな事まで知っているんだい?僕はまだ何も言っていないのに」
「さっきから麻薬の密売に絡んでいるのかと俺に迫っていたじゃないか」
「そうは言ったが、子供が誘拐されているなんて一言も言っていないが」
そうだったか?
だが、そんな事はどうでも良い。
「おい、貴様。どこまで知っている。貴様の知っている事を教えてもらおうか」
「おいおい、なんだい急に乱暴だなあ。騎士団の総隊長を捕まえて貴様は無いだろう?侮辱罪で捕まえちゃうぞ?」
「うるさい!そんな些細な事ばかり気にして誰も助けられていないじゃないか!そんな総隊長など辞めてしまえ!この似非勇者め!」
俺は吐き捨てるようにそう言い残して、再び歩き出す。
「凄い剣幕だねぇ。そんなハッキリ本当の事を言う奴なんて初めて会ったよ」
まだ付いて来るか。
「やっぱり君にお願いしたい。どうか手伝ってはもらえまいか?」
なんだと?
「いやあ、君ほど腕が立つ男も見た事無いし、そんなにハッキリ本当の事をぶちまける奴も見た事が無いよ。実に面白い男だ」
面白がるな。
どこぞのムカデを思い出す。
「お前、俺を疑っていたろう」
「ああ、今も疑っているよ。謎しか無いからね。でも信用できると思う」
「何故だ」
「ははっ、君が正直だからかな」
ちっ。
俺は舌打ちをした。
「頼むよ。僕一人では動ける範囲に制限があるんだ」
ケンは前に出ると、俺の顔を窺った。
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俺はケンに条件を突き付けた。
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