見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

文字の大きさ
775 / 826

七七四

 俺は注意深く辺りを探る。
おかしな所は見逃さない。
しかし、辺りは静まり返るばかりで何も怪しい所は無い。

「どうなってる……」

 俺はもう一度センサー類を確認した。
判らん。
いったい何が起こったと言うのか。

「レオ」

 アニーだ。

「その辺りでおかしな揺らめきを感知してるわ」

 ゆらめき?
何の事だ。

「どう言えば良いのかしら。空間?空間が揺らめいているのよ」

 空間がゆらめく?
今一つピンとこなかった。

「とにかく、そう示しているわ。明らかに魔法の類だと思うんだけど……」

 確かにそうだろう。
魔法抜きには起こり得ない。
じゃあどうする?
どうすれば追えるのか。

 ピーピーピーピー

 テクノセクトがまた反応する。
目の前にセクトビートルが飛んで来た。
俺はセクトビートルが何かを感知していると察した。

「レオ」

 今度は後ろからケンが呼んだ。
男の子はどうした。

「通りかかった宿屋の女将に保護してもらった。女の子は?」

 俺は首を横に振った。

「消えた」

「消えた?何を言っている」

「消えたんだ。忽然と」

「そんな馬鹿な。何の為に張り込んだんだ」

「うるせえ。判ってるよ」

 俺はセクトビートルの反応を見守る。

「それ君の虫だろ?」

「ああ。何かを感じてるようなんだが」

 言い掛けて俺は気配を察知した。

 どんっ

「うおっ!」

 俺はケンを突き飛ばした。

 カカカッ!

 俺とケンの間にナイフが飛んで来た。
普通のナイフじゃない。
投擲用のナイフだ。
両刃で先端が尖っている。
異様に刃の部分が大きい。
重心が刃の部分に偏っていた。
投げやすくなっているのだ。

 ケンが頭を上げる。

「何者だい」

 俺はケンの視線の先を追う。
屋根の上に誰かが立っている。
フード付きのケープを被っている。
あの格好はアサシン系の格好か。

「消しに来たか」

「つまり、ビンゴって事だね」

 これは嗅ぎ回られるのを相手が嫌がっている事の証拠に外ならない。
素早い反応だな。
コイツが犯人か?

「姿を現したのが失敗だったね。大人しくしてよ」

 ケンはそう言うと、矢のように飛び出した。

 だっ!

 一直線に屋根の上のアサシンに飛び掛かる。
たいした跳躍力だ。

「!」

 不意を突かれてアサシンが後ろへ飛び退いた。

「逃げられないよ?」

 ケンは腰から抜刀すると、そのまま下から逆袈裟斬りに切り払った。

 ガキインッ!

 それをとっさに投擲用のナイフで受け止める。
やるな。

「そんな武器で僕の相手は務まらない」

 なおもケンが斬り込んでいく。
俺はアサシンの相手をケンに任せて、引き続き辺りを探った。
単に俺たちを消しに来たのか。
それともこの辺に秘密があるのを知られたくないのか。
どっちか判らないが今はとにかく手掛かりだ。

 ピーピーピーピー

 しつこくセクトビートルが同じ所を飛び回る。
なんだよ。
俺はセクトビートルに手を伸ばした。

「!?」

 手が。
手が消える。

 俺は驚いて手を引っ込めた。
落ち着いてもう一度手を伸ばす。
指先からゆっくりと消えていく。
まるで、ここから先は見えない世界へ続く入り口のようだ。

「ここか……!」

 俺は当たりを引いた事に興奮した。

「おい、ケン!こっちだ!来い!」

 俺はケンを呼んだ。

「今はそれどころじゃ無いよ!」

「良いから来い!そいつは放っておけ!」

「なんなんだよ、もー」

 ケンはボヤきながら降りてきた。

「こっちだ」

 俺はそう言い残して、消える先へと身を踊らせる。

「あ!おい!なんだこりゃ!?」

 慌てふためくケンの声が聞こえる。
俺はそのまま先へと進んだ。
なんなんだここは。
これも魔法なのか。
魔法の隠し通路って所か。

「なんだいこれはっ!」

 後ろからケンの声が聞こえる。
来たか。
しかし、うるさいなコイツ。

「待ちな」

 別の声がした。
アサシンが追ってきている。

「先へ急ぐぞ」

 俺はアサシンを無視して先へと走った。
感想 238

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?

綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。 相手はとある貴族のご令嬢。 確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。 別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。 何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?

​『5階にトラック突撃!?ポンコツ女神の使役権と地球通販を得た医学生、辺境の村でワスプ薙刀と現代医療を駆使し最強防衛ライフを始める』

月神世一
ファンタジー
マンションの5階でカレーを作っていたら、なぜかトラックが突っ込んできた件。 ​外科医を目指す医学生・中村優太(24)は、特製の絶品バターチキンカレーを食べる寸前、マンションの「5階」に突撃してきた理不尽なトラックによって命を落としてしまう。 ​目を覚ますと、そこはコタツでカップ麺を啜るジャージ姿の駄女神・ルチアナの部屋だった。 「飲み会があるから定時で帰りたい」と適当な理由で異世界転移をさせられそうになる優太だったが、怒りのガラポン抽選でユニークスキル【地球ショッピング】と【女神ルチアナこき使い権】を引き当てる! ​かくして、ポンコツ女神を強制連行して剣と魔法の世界『アナステシア』に降り立った優太。 しかし、彼にはただのチートスキルだけではない、元SEALs直伝の「CQB(近接戦闘術)」、有段者の「薙刀術」、そして何より「現代医療の知識」があった――! ​降り立った辺境のポポロ村で彼を待っていたのは、クセが強すぎる住人たち。 ​キャルル: マッハの飛び蹴りを放つ、ファミレス大好きなウサ耳村長。 ​リーザ: タダ飯とポイ活に命を懸ける、図太すぎる地下アイドル人魚。 ​ルナ: 善意で市場や生態系を破壊する、歩く大災害の天然エルフ。 ​ルチアナ: 優太のポイントでソシャゲ課金と酒を目論む、労働拒否の駄女神。 ​優太は【地球ショッピング】で召喚した現代物資と、自身のサバイバル能力&薙刀術で野盗や魔物を無双! さらには特製のスパイスカレーで異世界人の胃袋を完全に掌握していく。 ​そして、村人に危機が迫った時。 優太の「絶対に命を救う」という善意の心が、奇跡の黄金ガチャを引き起こす……! ​「俺は医者だ。この村の命も、平和な日常も、俺の戦術(スキル)で全部守り抜く!」 ​現代の【医療・戦術・料理】×【理不尽ギャグ】×【異世界サバイバル】! 凶悪な「ワスプ薙刀」を振るい、ヤバすぎる仲間たちと送る、最強医学生のドタバタ辺境防衛ライフが今始まる!

『異界酒場 ルーナ』

みぎみみ
ファンタジー
東京・渋谷から少し外れた路地の奥、築五十年のビルの地下一階。看板は小さく、知っている人しか辿り着けない。  カウンター八席、テーブル二卓。深夜零時から夜明けまでの営業。 ルーカス(本名:ルカシュ・ヴァルド)  異世界の小さな王国の第三王子として生まれたが、王位継承争いに巻き込まれ、魔法陣の暴走によって現代日本に転移してきた。外見は三十代前半の白人男性。銀灰色の髪と、光の加減で金色にも見える瞳を持つ。日本語は「声の魔法」で習得した。  他人の「最も深い渇望」が視える力を持つ——それは意識的な欲求ではなく、本人すら気づいていない魂の底の叫び。酒や料理を通じてその渇望に応える。  自分の力を「呪い」だと思っていた時期もある。今はただ、使い道を見つけた、という感覚でいる。

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

ゴミ捨て場領主のクラフト無双 ~最弱魔法【分解と合成】で領地を黄金郷に変えたら、俺を見下していた大貴族令嬢たちが掌を返してすり寄ってきた件~

namisan
ファンタジー
東西南北の大貴族から「毒の川」「凶暴な魔獣」「莫大な借金」を押し付けられ、王国の『ゴミ捨て場』と化したローゼンベルク領。 父と兄を謀殺され、その絶望の領地を押し付けられた無能貴族のアークは、領地の分割を企む高慢な令嬢たち(王女、公爵令嬢、姫将軍など)に嘲笑われていた。 だが、彼には現代の知識と、隠された最強チート能力があった! 触れたものを瞬時に素材に戻し、全く別のモノに作り変える神の御業――【分解と合成】。 「毒の川」を分解して『超高価な宝石と純水』へ! 「魔獣の死骸」と「瓦礫」を合成して『絶対に壊れない防壁』へ! 借金取りには新素材を高値で売りつけ、逆に敵の経済を支配していく。 圧倒的なクラフト能力で、瞬く間にゴミ捨て場を「無敵の黄金郷」へと作り変えていくアーク。 己の敗北を悟り、震え上がる悪徳貴族と高慢な令嬢たち。 さらに、アークの圧倒的な知略と底知れぬ実力は、気高い令嬢たちの本能に深く刻み込まれていく。 「どうか、私をあなたの手駒としてお使いください……っ!」 プライドを完全にへし折られた最高位の美少女たちは、いつしかアークの与える『恩恵』なしでは生きられないほど、彼に絶対の忠誠と依存を誓うようになっていく――。 最弱のゴミ捨て場から始まる、爽快クラフト内政&ざまぁファンタジー、堂々開幕!

私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?

水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。 日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。 そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。 一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。 ◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です! ◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

最後に笑うのは

りのりん
恋愛
『だって、姉妹でしょ お姉様〰︎』 ずるい 私の方が可愛いでしょ 性格も良いし 高貴だし お姉様に負ける所なんて ありませんわ 『妹?私に妹なんていませんよ』