777 / 826
七七六
ケンが再び抜刀する。
「何故、騎士団の総隊長殿がこんな所へ?」
アサシンが言った。
「悪党を取り締まるのも仕事の内なんでね。宮仕えは厳しいね」
「……気配を消すのはアサシンの専売特許だ。こうも読まれては商売あがったりだ」
「ではもっと精進したまえ。僕だけでなく、彼にも読まれているぞ」
アサシンが俺を見る。
「何者だ。貴様」
びゅっ!
アサシンが言い終わるのと同時に、ケンが飛び込みざま剣を振った。
「それはこっちのセリフだし、彼を気にする余裕は君には無いよ」
アサシンのケープがバッサリと切れた。
顔が半分覗いて、アサシンが後ろへ下がった。
意外とやるな。
ケンの太刀筋は悪くなかった。
あれをかわすとは。
ピッ
テクノセクトから発信があった。
マッピングの途中経過だ。
思ったよりも広いな。
かなりの広範囲を調べているが、まだ両端に辿り着けていない。
しかも、まだ地下階層があるようだ。
かなり大掛かりだな。
俺はマップの中で生命反応のある所を抽出する。
鬼が出るか蛇が出るか。
行ってみる必要がある。
「おい。早く片付けろ。行くぞ」
「え、ちょ、もうかい?」
ケンは少し慌てて俺とアサシンを見比べた。
「もう、仕方が無いなあ」
そう言うとケンは初めて構えらしい構えを取った。
「こんな所で技なんか見せたくないんだけど」
ケンはそう言いながら俺をチラリと盗み見た。
やはり、俺に見せたくないと意識していたのか。
無理もない。
どこの何者かも判らん男に、手の内を全て明かすのは良くないと誰でも判断する。
「少しだけだよ」
ボッ!
空気が圧縮されるような音がした。
「うあっ!」
同時にアサシンが吹き飛んだ。
速いな。
高速で繰り出した剣撃が衝撃となって相手を斬ったのだ。
帝国のマザ将軍が使った技と同じ原理の技だ。
この程度の技なら俺たちは全員出来る。
おそらく、一番見られても構わない技からチョイスしたのだろう。
アサシンは胸をバッサリと切られていた。
傷が深い。
致命傷だな。
「いやぁ。必殺技を使っちゃった。しまったなあ」
ケンはそう言って頭を掻いた。
嘘をつけ。
見せても良い、見せ技だろうが。
だが、この切れ味は純粋に称賛に値する。
衝撃だけでここまで綺麗に斬られたら、アサシンにもどうする事も出来まい。
俺は何も反応せずに岩陰から姿を現して歩き出した。
「おい、待ってくれよ。何も感想は無いのかい?」
「何のだ」
「いや、僕の技さ。見事な物だろう?」
「まあな。確かに見事だった。勇者ってのは本当らしいな」
「え!そこ!?」
相変わらずケンは賑やかしい。
俺は牢の前を通過して奥へと進む。
先に生命反応を全て見ておこう。
フロアの責任者のような奴が居る筈だ。
仲間を呼ばれたりすると面倒だ。
俺はテクノセクトが送ってくるデータを元に先へと進む。
「はあー、凄いねぇ。初めて来るのにもう道を知っているなんて。やっぱりあの虫たちなんだな」
ケンが感心したように言う。
俺は黙って手を広げ、ケンを制止した。
敵が居る。
少し通路が広くなっていて、何名かが車座になって座っていた。
酒盛りでもしているのか。
「完全に油断しているね。どうする?次は君が手の内を見せてくれても良いんだよ?」
ケンが悪戯っぽく言う。
仕方が無い。
あまり参考にはならんと思うが、期待されているなら見せてやろう。
公平にやっておかないと、コイツは文句を言い続けるだろうしな。
俺は歩いて堂々と敵に近付いた。
「ええっ!いくら何でもそのまま行くの!?」
ケンが驚く。
「なんだ!?テメエはっ!」
敵も気付いた。
ひゅっ!
俺は腰からショートソードを抜くと、間髪入れずにそれを投げ付ける。
どかっ!
「ぐっ!」
見事に男の胸にショートソードが突き刺さる。
まず一人。
「お、おい!」
男たちは混乱に陥る。
だっ
俺は一気に飛び掛かると敵の中心に着地する。
「馬鹿な、敵の真ん中に!?」
驚くケンをよそに、俺は回転しながら全員を打ち倒した。
十一名か。
少ないな。
「ここには居ないな。次へ行こう」
俺は男の胸からショートソードを引き抜いてそう言った。
「何故、騎士団の総隊長殿がこんな所へ?」
アサシンが言った。
「悪党を取り締まるのも仕事の内なんでね。宮仕えは厳しいね」
「……気配を消すのはアサシンの専売特許だ。こうも読まれては商売あがったりだ」
「ではもっと精進したまえ。僕だけでなく、彼にも読まれているぞ」
アサシンが俺を見る。
「何者だ。貴様」
びゅっ!
アサシンが言い終わるのと同時に、ケンが飛び込みざま剣を振った。
「それはこっちのセリフだし、彼を気にする余裕は君には無いよ」
アサシンのケープがバッサリと切れた。
顔が半分覗いて、アサシンが後ろへ下がった。
意外とやるな。
ケンの太刀筋は悪くなかった。
あれをかわすとは。
ピッ
テクノセクトから発信があった。
マッピングの途中経過だ。
思ったよりも広いな。
かなりの広範囲を調べているが、まだ両端に辿り着けていない。
しかも、まだ地下階層があるようだ。
かなり大掛かりだな。
俺はマップの中で生命反応のある所を抽出する。
鬼が出るか蛇が出るか。
行ってみる必要がある。
「おい。早く片付けろ。行くぞ」
「え、ちょ、もうかい?」
ケンは少し慌てて俺とアサシンを見比べた。
「もう、仕方が無いなあ」
そう言うとケンは初めて構えらしい構えを取った。
「こんな所で技なんか見せたくないんだけど」
ケンはそう言いながら俺をチラリと盗み見た。
やはり、俺に見せたくないと意識していたのか。
無理もない。
どこの何者かも判らん男に、手の内を全て明かすのは良くないと誰でも判断する。
「少しだけだよ」
ボッ!
空気が圧縮されるような音がした。
「うあっ!」
同時にアサシンが吹き飛んだ。
速いな。
高速で繰り出した剣撃が衝撃となって相手を斬ったのだ。
帝国のマザ将軍が使った技と同じ原理の技だ。
この程度の技なら俺たちは全員出来る。
おそらく、一番見られても構わない技からチョイスしたのだろう。
アサシンは胸をバッサリと切られていた。
傷が深い。
致命傷だな。
「いやぁ。必殺技を使っちゃった。しまったなあ」
ケンはそう言って頭を掻いた。
嘘をつけ。
見せても良い、見せ技だろうが。
だが、この切れ味は純粋に称賛に値する。
衝撃だけでここまで綺麗に斬られたら、アサシンにもどうする事も出来まい。
俺は何も反応せずに岩陰から姿を現して歩き出した。
「おい、待ってくれよ。何も感想は無いのかい?」
「何のだ」
「いや、僕の技さ。見事な物だろう?」
「まあな。確かに見事だった。勇者ってのは本当らしいな」
「え!そこ!?」
相変わらずケンは賑やかしい。
俺は牢の前を通過して奥へと進む。
先に生命反応を全て見ておこう。
フロアの責任者のような奴が居る筈だ。
仲間を呼ばれたりすると面倒だ。
俺はテクノセクトが送ってくるデータを元に先へと進む。
「はあー、凄いねぇ。初めて来るのにもう道を知っているなんて。やっぱりあの虫たちなんだな」
ケンが感心したように言う。
俺は黙って手を広げ、ケンを制止した。
敵が居る。
少し通路が広くなっていて、何名かが車座になって座っていた。
酒盛りでもしているのか。
「完全に油断しているね。どうする?次は君が手の内を見せてくれても良いんだよ?」
ケンが悪戯っぽく言う。
仕方が無い。
あまり参考にはならんと思うが、期待されているなら見せてやろう。
公平にやっておかないと、コイツは文句を言い続けるだろうしな。
俺は歩いて堂々と敵に近付いた。
「ええっ!いくら何でもそのまま行くの!?」
ケンが驚く。
「なんだ!?テメエはっ!」
敵も気付いた。
ひゅっ!
俺は腰からショートソードを抜くと、間髪入れずにそれを投げ付ける。
どかっ!
「ぐっ!」
見事に男の胸にショートソードが突き刺さる。
まず一人。
「お、おい!」
男たちは混乱に陥る。
だっ
俺は一気に飛び掛かると敵の中心に着地する。
「馬鹿な、敵の真ん中に!?」
驚くケンをよそに、俺は回転しながら全員を打ち倒した。
十一名か。
少ないな。
「ここには居ないな。次へ行こう」
俺は男の胸からショートソードを引き抜いてそう言った。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
二百年の眠り姫は、五人の薔薇騎士と龍に溺愛される
七海美桜
恋愛
旧タイトル:五人のイケメン薔薇騎士団団長に溺愛されて200年の眠りから覚めた聖女王女は困惑するばかりです!
フーゲンベルク大陸で、長く大陸の大半を治めていたバッハシュタイン王国で、最後の古龍への生贄となった第三王女のヴェンデルガルト。しかしそれ以降古龍が亡くなり王国は滅びバルシュミーデ皇国の治世になり二百年後。封印されていたヴェンデルガルトが目覚めると、魔法は滅びた世で「治癒魔法」を使えるのは彼女だけ。亡き王国の王女という事で城に客人として滞在する事になるのだが、治癒魔法を使える上「金髪」である事から「黄金の魔女」と恐れられてしまう。しかしそんな中。五人の美青年騎士団長たちに溺愛されて、愛され過ぎて困惑する毎日。彼女を生涯の伴侶として愛する古龍・コンスタンティンは生まれ変わり彼女と出逢う事が出来るのか。龍と薔薇に愛されたヴェンデルガルトは、誰と結ばれるのか。
この作品は、小説家になろうにも掲載しています。
男装の薬師は枯れぬ花のつぼみを宿す
天岸 あおい
ファンタジー
久遠の花と呼ばれる優秀な薬師の一族。
そんな彼らを守り続けていた、守り葉と呼ばれし者たち。
守り葉として育てられた子供・みなもだったが、ある日隠れ里を襲われ、生き別れた姉・いずみや仲間たちとの再会を夢見て薬師として生きながら、行方を捜していた。
そんなみなもの元へ現れた、瀕死の重傷を負った青年レオニード。
彼との出会いがみなもの運命の歯車を動かしていく―――。
男装の麗人で、芯が強くて自分の手を汚すことを厭わない主人公と、そんな一筋縄ではいかない主人公を一途に想う、寡黙で真面目な青年の物語。
R18ではありませんが、後半は大人向けの展開になっています。
※他サイトで公開していたものを改題・改稿しております。
※今作は非BLです。期間限定で掲載致します。
【完結】1王妃は、幸せになれる?
華蓮
恋愛
サウジランド王国のルーセント王太子とクレスタ王太子妃が政略結婚だった。
側妃は、学生の頃の付き合いのマリーン。
ルーセントとマリーンは、仲が良い。ひとりぼっちのクレスタ。
そこへ、隣国の皇太子が、視察にきた。
王太子妃の進み道は、王妃?それとも、、、、?
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。