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七七六
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ケンが再び抜刀する。
「何故、騎士団の総隊長殿がこんな所へ?」
アサシンが言った。
「悪党を取り締まるのも仕事の内なんでね。宮仕えは厳しいね」
「……気配を消すのはアサシンの専売特許だ。こうも読まれては商売あがったりだ」
「ではもっと精進したまえ。僕だけでなく、彼にも読まれているぞ」
アサシンが俺を見る。
「何者だ。貴様」
びゅっ!
アサシンが言い終わるのと同時に、ケンが飛び込みざま剣を振った。
「それはこっちのセリフだし、彼を気にする余裕は君には無いよ」
アサシンのケープがバッサリと切れた。
顔が半分覗いて、アサシンが後ろへ下がった。
意外とやるな。
ケンの太刀筋は悪くなかった。
あれをかわすとは。
ピッ
テクノセクトから発信があった。
マッピングの途中経過だ。
思ったよりも広いな。
かなりの広範囲を調べているが、まだ両端に辿り着けていない。
しかも、まだ地下階層があるようだ。
かなり大掛かりだな。
俺はマップの中で生命反応のある所を抽出する。
鬼が出るか蛇が出るか。
行ってみる必要がある。
「おい。早く片付けろ。行くぞ」
「え、ちょ、もうかい?」
ケンは少し慌てて俺とアサシンを見比べた。
「もう、仕方が無いなあ」
そう言うとケンは初めて構えらしい構えを取った。
「こんな所で技なんか見せたくないんだけど」
ケンはそう言いながら俺をチラリと盗み見た。
やはり、俺に見せたくないと意識していたのか。
無理もない。
どこの何者かも判らん男に、手の内を全て明かすのは良くないと誰でも判断する。
「少しだけだよ」
ボッ!
空気が圧縮されるような音がした。
「うあっ!」
同時にアサシンが吹き飛んだ。
速いな。
高速で繰り出した剣撃が衝撃となって相手を斬ったのだ。
帝国のマザ将軍が使った技と同じ原理の技だ。
この程度の技なら俺たちは全員出来る。
おそらく、一番見られても構わない技からチョイスしたのだろう。
アサシンは胸をバッサリと切られていた。
傷が深い。
致命傷だな。
「いやぁ。必殺技を使っちゃった。しまったなあ」
ケンはそう言って頭を掻いた。
嘘をつけ。
見せても良い、見せ技だろうが。
だが、この切れ味は純粋に称賛に値する。
衝撃だけでここまで綺麗に斬られたら、アサシンにもどうする事も出来まい。
俺は何も反応せずに岩陰から姿を現して歩き出した。
「おい、待ってくれよ。何も感想は無いのかい?」
「何のだ」
「いや、僕の技さ。見事な物だろう?」
「まあな。確かに見事だった。勇者ってのは本当らしいな」
「え!そこ!?」
相変わらずケンは賑やかしい。
俺は牢の前を通過して奥へと進む。
先に生命反応を全て見ておこう。
フロアの責任者のような奴が居る筈だ。
仲間を呼ばれたりすると面倒だ。
俺はテクノセクトが送ってくるデータを元に先へと進む。
「はあー、凄いねぇ。初めて来るのにもう道を知っているなんて。やっぱりあの虫たちなんだな」
ケンが感心したように言う。
俺は黙って手を広げ、ケンを制止した。
敵が居る。
少し通路が広くなっていて、何名かが車座になって座っていた。
酒盛りでもしているのか。
「完全に油断しているね。どうする?次は君が手の内を見せてくれても良いんだよ?」
ケンが悪戯っぽく言う。
仕方が無い。
あまり参考にはならんと思うが、期待されているなら見せてやろう。
公平にやっておかないと、コイツは文句を言い続けるだろうしな。
俺は歩いて堂々と敵に近付いた。
「ええっ!いくら何でもそのまま行くの!?」
ケンが驚く。
「なんだ!?テメエはっ!」
敵も気付いた。
ひゅっ!
俺は腰からショートソードを抜くと、間髪入れずにそれを投げ付ける。
どかっ!
「ぐっ!」
見事に男の胸にショートソードが突き刺さる。
まず一人。
「お、おい!」
男たちは混乱に陥る。
だっ
俺は一気に飛び掛かると敵の中心に着地する。
「馬鹿な、敵の真ん中に!?」
驚くケンをよそに、俺は回転しながら全員を打ち倒した。
十一名か。
少ないな。
「ここには居ないな。次へ行こう」
俺は男の胸からショートソードを引き抜いてそう言った。
「何故、騎士団の総隊長殿がこんな所へ?」
アサシンが言った。
「悪党を取り締まるのも仕事の内なんでね。宮仕えは厳しいね」
「……気配を消すのはアサシンの専売特許だ。こうも読まれては商売あがったりだ」
「ではもっと精進したまえ。僕だけでなく、彼にも読まれているぞ」
アサシンが俺を見る。
「何者だ。貴様」
びゅっ!
アサシンが言い終わるのと同時に、ケンが飛び込みざま剣を振った。
「それはこっちのセリフだし、彼を気にする余裕は君には無いよ」
アサシンのケープがバッサリと切れた。
顔が半分覗いて、アサシンが後ろへ下がった。
意外とやるな。
ケンの太刀筋は悪くなかった。
あれをかわすとは。
ピッ
テクノセクトから発信があった。
マッピングの途中経過だ。
思ったよりも広いな。
かなりの広範囲を調べているが、まだ両端に辿り着けていない。
しかも、まだ地下階層があるようだ。
かなり大掛かりだな。
俺はマップの中で生命反応のある所を抽出する。
鬼が出るか蛇が出るか。
行ってみる必要がある。
「おい。早く片付けろ。行くぞ」
「え、ちょ、もうかい?」
ケンは少し慌てて俺とアサシンを見比べた。
「もう、仕方が無いなあ」
そう言うとケンは初めて構えらしい構えを取った。
「こんな所で技なんか見せたくないんだけど」
ケンはそう言いながら俺をチラリと盗み見た。
やはり、俺に見せたくないと意識していたのか。
無理もない。
どこの何者かも判らん男に、手の内を全て明かすのは良くないと誰でも判断する。
「少しだけだよ」
ボッ!
空気が圧縮されるような音がした。
「うあっ!」
同時にアサシンが吹き飛んだ。
速いな。
高速で繰り出した剣撃が衝撃となって相手を斬ったのだ。
帝国のマザ将軍が使った技と同じ原理の技だ。
この程度の技なら俺たちは全員出来る。
おそらく、一番見られても構わない技からチョイスしたのだろう。
アサシンは胸をバッサリと切られていた。
傷が深い。
致命傷だな。
「いやぁ。必殺技を使っちゃった。しまったなあ」
ケンはそう言って頭を掻いた。
嘘をつけ。
見せても良い、見せ技だろうが。
だが、この切れ味は純粋に称賛に値する。
衝撃だけでここまで綺麗に斬られたら、アサシンにもどうする事も出来まい。
俺は何も反応せずに岩陰から姿を現して歩き出した。
「おい、待ってくれよ。何も感想は無いのかい?」
「何のだ」
「いや、僕の技さ。見事な物だろう?」
「まあな。確かに見事だった。勇者ってのは本当らしいな」
「え!そこ!?」
相変わらずケンは賑やかしい。
俺は牢の前を通過して奥へと進む。
先に生命反応を全て見ておこう。
フロアの責任者のような奴が居る筈だ。
仲間を呼ばれたりすると面倒だ。
俺はテクノセクトが送ってくるデータを元に先へと進む。
「はあー、凄いねぇ。初めて来るのにもう道を知っているなんて。やっぱりあの虫たちなんだな」
ケンが感心したように言う。
俺は黙って手を広げ、ケンを制止した。
敵が居る。
少し通路が広くなっていて、何名かが車座になって座っていた。
酒盛りでもしているのか。
「完全に油断しているね。どうする?次は君が手の内を見せてくれても良いんだよ?」
ケンが悪戯っぽく言う。
仕方が無い。
あまり参考にはならんと思うが、期待されているなら見せてやろう。
公平にやっておかないと、コイツは文句を言い続けるだろうしな。
俺は歩いて堂々と敵に近付いた。
「ええっ!いくら何でもそのまま行くの!?」
ケンが驚く。
「なんだ!?テメエはっ!」
敵も気付いた。
ひゅっ!
俺は腰からショートソードを抜くと、間髪入れずにそれを投げ付ける。
どかっ!
「ぐっ!」
見事に男の胸にショートソードが突き刺さる。
まず一人。
「お、おい!」
男たちは混乱に陥る。
だっ
俺は一気に飛び掛かると敵の中心に着地する。
「馬鹿な、敵の真ん中に!?」
驚くケンをよそに、俺は回転しながら全員を打ち倒した。
十一名か。
少ないな。
「ここには居ないな。次へ行こう」
俺は男の胸からショートソードを引き抜いてそう言った。
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