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七七九
「ええー、そんなの君らしくも無い」
なんだ、俺らしく無いと言うのは。
お前に俺の何が判っていると言うのか。
「俺に任せろ!こうだ!とおっ!ドッカーン!みたいなのを期待していたのに……」
お前から見た俺はそんなイメージなのか。
たぶんオオムカデンダルから見たイメージも、ロクなもんじゃ無いんだろうなと、何故かふと思う。
「ここにこれだけ薬が貯蔵してあるのに、下手な事はしないだろ。大人しく待ってろ」
「ちぇ。意外と冷静だよね君」
ケンはそう言って退屈そうに壁やら地面やらを調べ始めた。
「お前も意外と真面目にやってるじゃないか」
俺はケンを冷やかした。
「暇だからねー」
ケンははばかる事も無くそう言いきった。
総隊長は家柄だけでなったのか?
「はっはっはっはっ。まあ、半分はそうだろうね」
ケンは笑った。
皮肉も通じないとは。
メンタル強いなコイツ。
りんごーん!
りんごーん!
突然鐘の音が鳴り響く。
俺は辺りを見回す。
なんだあれは。
一番奥の、一番広い壁から煙のような物が噴き出している。
「おい」
俺はケンを呼び戻す。
「さっきの鐘の音は……うおっ!」
戻って来たケンも、異常に気付いて驚く。
「なんだいあれ?」
俺に判る筈も無い。
しかし、次第に理解する。
煙の中から人影のような物が現れた。
「スケルトン……!」
ケンが人型の骸骨を見て呟いた。
間違い無い。
スケルトンだ。
手に剣を持っているが、それだけだ。
盾のような物は身に付けていない。
「ただのスケルトンだ。拍子抜けだな」
俺はスケルトンを一瞥してケンを見た。
「ただのスケルトンだって……落ち着きすぎでしょ?」
「怖いのか?」
「僕が?まさか!」
ケンは少しムッとして否定した。
「スケルトンなんて最下級モンスターじゃないか。怖がるなんて馬鹿馬鹿しい。僕が言いたいのはコレが罠だと言う事だよ」
確かに、これはルームガーダーの類だろう。
しかし、外敵を撃退するつもりで設置したトラップなら、モンスターが些か弱すぎる。
「疑われるのも心外だ。僕が排除しよう」
ケンはそう言うと、スタスタとスケルトンに向かって行った。
別に馬鹿にしたつもりも無いのだが、やる気になっているならお願いしよう。
しゃらっ
ケンが抜刀する。
がしゃっ!
スケルトンがケンを標的と認識して、剣を振り上げて襲い掛かる。
がっしゃがっしゃがっしゃ!
骨を鳴らしてスケルトンが走る。
「ガシャガシャうるさい!」
ケンは真っ直ぐに剣を突き出す。
ぼっ!
ぼっ!
ぼっ!
例の衝撃波突きだ。
スケルトンの剣の間合いの外から、一方的に突き崩す。
ガラガラガラガラガシャ
ホンの数秒でスケルトンはバラバラになった。
「スケルトンはね、放っておくと再生するから崩すだけじゃ駄目なんだ。ちゃんと骨を折っておかないとね」
ケンはそう言うと剣を鞘に収めた。
確かに口だけでは無い。
見事な戦いぶりだった。
「手応えが無さ過ぎる」
ケンは鼻を鳴らして戻って来る。
りんごーん!
りんごーん!
まただ。
また鐘の音がした。
しゅー
しゅー
再び煙が噴き出す。
またなのか。
ケンが怪訝そうに眉をしかめて振り返った。
煙の中からまた人影が現れた。
またスケルトンなのか。
しかし、その予想は裏切られた。
「今度はグールか?」
ケンの言葉の通り、現れたのはグールのようだ。
ようだと言うのは、見た目だけでグールを識別するのは中々難しい部分があるからだ。
元々のグールは人間そっくりで、色が黒いと言う程度しか違いが無かった。
下手をすれば、単に力の強い人間とさえ認識される事もある。
ただしどう言う経緯かは知らないが、近年グールはゾンビーのような見た目の物も含むようになっている。
別物のように思うが、両者とも今ではグールと称される事が多い。
それはただの言葉のアヤなのかもしれない。
だがとにかく、コイツは古い方のグールだ。
典型的、伝統的グールと言って良い。
「そのグールは生きた人間を食うタイプだぞ」
俺はケンに助言した。
「判っているとも。勇者の教育はモンスターの知識も英才教育だからね。心配無用!」
そう言ってケンは三度抜刀すると、またモンスターへと向かって行った。
なんだ、俺らしく無いと言うのは。
お前に俺の何が判っていると言うのか。
「俺に任せろ!こうだ!とおっ!ドッカーン!みたいなのを期待していたのに……」
お前から見た俺はそんなイメージなのか。
たぶんオオムカデンダルから見たイメージも、ロクなもんじゃ無いんだろうなと、何故かふと思う。
「ここにこれだけ薬が貯蔵してあるのに、下手な事はしないだろ。大人しく待ってろ」
「ちぇ。意外と冷静だよね君」
ケンはそう言って退屈そうに壁やら地面やらを調べ始めた。
「お前も意外と真面目にやってるじゃないか」
俺はケンを冷やかした。
「暇だからねー」
ケンははばかる事も無くそう言いきった。
総隊長は家柄だけでなったのか?
「はっはっはっはっ。まあ、半分はそうだろうね」
ケンは笑った。
皮肉も通じないとは。
メンタル強いなコイツ。
りんごーん!
りんごーん!
突然鐘の音が鳴り響く。
俺は辺りを見回す。
なんだあれは。
一番奥の、一番広い壁から煙のような物が噴き出している。
「おい」
俺はケンを呼び戻す。
「さっきの鐘の音は……うおっ!」
戻って来たケンも、異常に気付いて驚く。
「なんだいあれ?」
俺に判る筈も無い。
しかし、次第に理解する。
煙の中から人影のような物が現れた。
「スケルトン……!」
ケンが人型の骸骨を見て呟いた。
間違い無い。
スケルトンだ。
手に剣を持っているが、それだけだ。
盾のような物は身に付けていない。
「ただのスケルトンだ。拍子抜けだな」
俺はスケルトンを一瞥してケンを見た。
「ただのスケルトンだって……落ち着きすぎでしょ?」
「怖いのか?」
「僕が?まさか!」
ケンは少しムッとして否定した。
「スケルトンなんて最下級モンスターじゃないか。怖がるなんて馬鹿馬鹿しい。僕が言いたいのはコレが罠だと言う事だよ」
確かに、これはルームガーダーの類だろう。
しかし、外敵を撃退するつもりで設置したトラップなら、モンスターが些か弱すぎる。
「疑われるのも心外だ。僕が排除しよう」
ケンはそう言うと、スタスタとスケルトンに向かって行った。
別に馬鹿にしたつもりも無いのだが、やる気になっているならお願いしよう。
しゃらっ
ケンが抜刀する。
がしゃっ!
スケルトンがケンを標的と認識して、剣を振り上げて襲い掛かる。
がっしゃがっしゃがっしゃ!
骨を鳴らしてスケルトンが走る。
「ガシャガシャうるさい!」
ケンは真っ直ぐに剣を突き出す。
ぼっ!
ぼっ!
ぼっ!
例の衝撃波突きだ。
スケルトンの剣の間合いの外から、一方的に突き崩す。
ガラガラガラガラガシャ
ホンの数秒でスケルトンはバラバラになった。
「スケルトンはね、放っておくと再生するから崩すだけじゃ駄目なんだ。ちゃんと骨を折っておかないとね」
ケンはそう言うと剣を鞘に収めた。
確かに口だけでは無い。
見事な戦いぶりだった。
「手応えが無さ過ぎる」
ケンは鼻を鳴らして戻って来る。
りんごーん!
りんごーん!
まただ。
また鐘の音がした。
しゅー
しゅー
再び煙が噴き出す。
またなのか。
ケンが怪訝そうに眉をしかめて振り返った。
煙の中からまた人影が現れた。
またスケルトンなのか。
しかし、その予想は裏切られた。
「今度はグールか?」
ケンの言葉の通り、現れたのはグールのようだ。
ようだと言うのは、見た目だけでグールを識別するのは中々難しい部分があるからだ。
元々のグールは人間そっくりで、色が黒いと言う程度しか違いが無かった。
下手をすれば、単に力の強い人間とさえ認識される事もある。
ただしどう言う経緯かは知らないが、近年グールはゾンビーのような見た目の物も含むようになっている。
別物のように思うが、両者とも今ではグールと称される事が多い。
それはただの言葉のアヤなのかもしれない。
だがとにかく、コイツは古い方のグールだ。
典型的、伝統的グールと言って良い。
「そのグールは生きた人間を食うタイプだぞ」
俺はケンに助言した。
「判っているとも。勇者の教育はモンスターの知識も英才教育だからね。心配無用!」
そう言ってケンは三度抜刀すると、またモンスターへと向かって行った。
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