786 / 826
七八五
バチィッ!
破裂音が響き渡る。
男は無事だ。
「ちぇっ……」
ケンが悔しそうに男を見た。
「中々面白い技だな。だがネタがバレてはもう使えまい。防ぐのもそう難しく無い」
プロテクションで防げるなら、魔法職にはもう通用しない。
意外と厄介だな。
プロテクションは強固な防御法だ。
魔法も直接攻撃も、だいたい防いでしまう上にかなり頑強だ。
術者のレベルが高ければ、それだけプロテクションも堅くなる。
破り方も到ってシンプルだ。
防御力を上回れば良い。
しかしそれが難しい。
プロテクションは魔法力に対してパフォーマンスが優秀過ぎる。
一の魔力で十の効果があると言えば判ってもらえるだろう。
高位のプロテクションは破るだけでも大変なのだ。
「……仕方が無い。破ってやるぞ」
ケンが覚悟を決めたのが伝わる。
「待て」
俺はケンを止めた。
「なんだい?交代ならお断りだぞ」
「替われ馬鹿。こんな所で奥の手出してどうするんだ」
ケンが驚く。
「何で判った!?」
「判らいでか。釣られやがって。お前の手の内全部晒させるつもりだぞ」
ケンはハッとなる。
「そうか……面目ない」
意外と素直だな。
「けど、破れない事にはどうにもならないよ。未だかつてプロテクションの有効な打開策は開発されていない。力業ってのが今も常識だ」
確かにそうだが。
「だったら余計にここは俺の出番だ。お前は少し回復していろ」
「……判った。お言葉にに甘えさせてもらおうかな」
ケンはそう言うと簡単に引き下がった。
一応、信用はされているらしい。
「なんだ。もう代わるのか。勇者を引っ込めるなんてもう後が無い証拠だな。まあ、せいぜい休ませて時間を稼ぐが良い」
男がしたり顔で言う。
見てろよこの野郎。
吠え面かかせてやるぜ。
俺は軽くステップを刻むと、タイミングを計った。
トン、トン、トン、ダッ!
三回刻んで四回目で地面を蹴った。
ぎゅおっ!
一気に男に迫る。
「!?」
男の目が見開かれる。
遅いぜ。
バチインッ!
甲高い音が辺りに響く。
プロテクションが俺のパンチを弾いた。
まだまだ。
ガンガンガンガン!
どかっ!ばきっ!ばこっ!
ガインッ!ガキンッ!
がっ!ごっ!ごっ!がっ!
息もつかせぬ連続攻撃で男のプロテクションに猛攻を加える。
堪らず男は逃走する。
逃げるのか。
俺は素早く後を追う。
「凄いな……」
ケンが呟いた。
「くっ……!」
男が振り返って俺を見る。
逃がさん。
追いすがって跳び蹴りを放つ。
ガキインッ!
拍子に男は吹き飛んだ。
「ぐわあっ!」
更に追撃。
ガキインッ!
ガキインッ!
ガキインッ!
変身前でもこれだけ動ける。
全体的にレベルが上がっているのを感じる。
「くっ!何者だ、貴様っ!」
ようやく俺に関心を持ったか。
だがもう遅い。
「勇者の知り合いだ。もっとも知り合いになったのは、ついさっきだがな」
「知り合いだと……!くそ、何という馬鹿げた馬鹿力だ!」
誰が馬鹿だ、この野郎。
「それより良いのか?プロテクション張りっぱなしで。永遠に蹴鞠にしてやるぞ」
「く、くそ!」
男が苦し紛れにファイヤーボールを放った。
ボオオゥッ!
ボボオンッ!
俺は片手でそれを受け止めた。
「なんて事だ……」
男が狼狽する。
「お前、ひょっとして魔法職でも無いな?たいして強く無いだろう」
「な、何を馬鹿な……!」
この土壇場でファイヤーボール。
しかもたいした威力も無い。
プロテクションと違ってファイヤーボールは術者の力がダイレクトに影響する。
あんなレベルのファイヤーボールなど、他の職種の冒険者でも出来る奴には出来る。
「お前の召喚術もこのトラップあっての物だしな。さてはお前、本当は罠師なんじゃ無いのか?」
男の目が驚きを物語る。
同じくケンも驚いた。
「罠師だって?」
罠師。
文字通り罠を仕掛ける専門家だ。
数は多くないが一定数存在する。
弱いとも言えないが、積極的に攻撃する事は出来ず、常に罠へと誘い込んで戦うスタイルの為に冒険者には不向きとされる。
その為にパーティーは組まず、ソロでやるか冒険者以外の道で生計を建てる者がほとんどだ。
「罠師だったのか……思いもよらなかった」
ケンが感心したように呟いた。
破裂音が響き渡る。
男は無事だ。
「ちぇっ……」
ケンが悔しそうに男を見た。
「中々面白い技だな。だがネタがバレてはもう使えまい。防ぐのもそう難しく無い」
プロテクションで防げるなら、魔法職にはもう通用しない。
意外と厄介だな。
プロテクションは強固な防御法だ。
魔法も直接攻撃も、だいたい防いでしまう上にかなり頑強だ。
術者のレベルが高ければ、それだけプロテクションも堅くなる。
破り方も到ってシンプルだ。
防御力を上回れば良い。
しかしそれが難しい。
プロテクションは魔法力に対してパフォーマンスが優秀過ぎる。
一の魔力で十の効果があると言えば判ってもらえるだろう。
高位のプロテクションは破るだけでも大変なのだ。
「……仕方が無い。破ってやるぞ」
ケンが覚悟を決めたのが伝わる。
「待て」
俺はケンを止めた。
「なんだい?交代ならお断りだぞ」
「替われ馬鹿。こんな所で奥の手出してどうするんだ」
ケンが驚く。
「何で判った!?」
「判らいでか。釣られやがって。お前の手の内全部晒させるつもりだぞ」
ケンはハッとなる。
「そうか……面目ない」
意外と素直だな。
「けど、破れない事にはどうにもならないよ。未だかつてプロテクションの有効な打開策は開発されていない。力業ってのが今も常識だ」
確かにそうだが。
「だったら余計にここは俺の出番だ。お前は少し回復していろ」
「……判った。お言葉にに甘えさせてもらおうかな」
ケンはそう言うと簡単に引き下がった。
一応、信用はされているらしい。
「なんだ。もう代わるのか。勇者を引っ込めるなんてもう後が無い証拠だな。まあ、せいぜい休ませて時間を稼ぐが良い」
男がしたり顔で言う。
見てろよこの野郎。
吠え面かかせてやるぜ。
俺は軽くステップを刻むと、タイミングを計った。
トン、トン、トン、ダッ!
三回刻んで四回目で地面を蹴った。
ぎゅおっ!
一気に男に迫る。
「!?」
男の目が見開かれる。
遅いぜ。
バチインッ!
甲高い音が辺りに響く。
プロテクションが俺のパンチを弾いた。
まだまだ。
ガンガンガンガン!
どかっ!ばきっ!ばこっ!
ガインッ!ガキンッ!
がっ!ごっ!ごっ!がっ!
息もつかせぬ連続攻撃で男のプロテクションに猛攻を加える。
堪らず男は逃走する。
逃げるのか。
俺は素早く後を追う。
「凄いな……」
ケンが呟いた。
「くっ……!」
男が振り返って俺を見る。
逃がさん。
追いすがって跳び蹴りを放つ。
ガキインッ!
拍子に男は吹き飛んだ。
「ぐわあっ!」
更に追撃。
ガキインッ!
ガキインッ!
ガキインッ!
変身前でもこれだけ動ける。
全体的にレベルが上がっているのを感じる。
「くっ!何者だ、貴様っ!」
ようやく俺に関心を持ったか。
だがもう遅い。
「勇者の知り合いだ。もっとも知り合いになったのは、ついさっきだがな」
「知り合いだと……!くそ、何という馬鹿げた馬鹿力だ!」
誰が馬鹿だ、この野郎。
「それより良いのか?プロテクション張りっぱなしで。永遠に蹴鞠にしてやるぞ」
「く、くそ!」
男が苦し紛れにファイヤーボールを放った。
ボオオゥッ!
ボボオンッ!
俺は片手でそれを受け止めた。
「なんて事だ……」
男が狼狽する。
「お前、ひょっとして魔法職でも無いな?たいして強く無いだろう」
「な、何を馬鹿な……!」
この土壇場でファイヤーボール。
しかもたいした威力も無い。
プロテクションと違ってファイヤーボールは術者の力がダイレクトに影響する。
あんなレベルのファイヤーボールなど、他の職種の冒険者でも出来る奴には出来る。
「お前の召喚術もこのトラップあっての物だしな。さてはお前、本当は罠師なんじゃ無いのか?」
男の目が驚きを物語る。
同じくケンも驚いた。
「罠師だって?」
罠師。
文字通り罠を仕掛ける専門家だ。
数は多くないが一定数存在する。
弱いとも言えないが、積極的に攻撃する事は出来ず、常に罠へと誘い込んで戦うスタイルの為に冒険者には不向きとされる。
その為にパーティーは組まず、ソロでやるか冒険者以外の道で生計を建てる者がほとんどだ。
「罠師だったのか……思いもよらなかった」
ケンが感心したように呟いた。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
救国の代償で白髪になった聖女、一度のミスを理由に「無能の戦犯」として追放される ~隣国の覇王に拾われ、愛され、奇跡の力を見せつける~
スカッと文庫
ファンタジー
聖女アリシアは、百年に一度の大氾濫から国を守るため、禁忌の魔力全解放を行い、単身で数万の魔物を殲滅した。その代償として、彼女の美しい金髪は真っ白な「白雪色」に染まり、魔力は一時的に枯渇してしまう。
しかし、その功績はすべて現場にいなかった「偽聖女セシリア」に奪われ、アリシアは「結界を一部損壊させた戦犯」「魔力を失った役立たず」として、婚約者の王太子ギルバートから国外追放を言い渡される。
「失敗したゴミに、この国の空気は吸わせない」
泥の中に捨てられたアリシア。しかし、彼女を拾ったのは、敵対国として恐れられていた帝国の「武徳皇帝」ラグナールだった。彼はアリシアの白髪が「高純度の神聖魔力による変質」であることを瞬時に見抜き、彼女を帝国の宝として迎える。
数ヶ月後。アリシアが帝国の守護聖女として輝きを取り戻した頃、王国では「一度きりの奇跡」だったセシリアの魔力が尽き、本当の滅亡が始まっていた。
「今さら結界が解けたと泣きつかれても、もう私の魔力は一滴も残っていません」
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。