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八〇四
ぐわらぐわらっ
がらんぐらんがらん
船は右に左に盛大に揺れる。
その度に船体のどこかしらが破損する音が聞こえた。
急げ。
もう時間が無いぞ。
ごごごごごごごぽぽぽっ
ずぞぞぞぞぞぞぞぼぼぼぼっ
水の音だ。
船内に勢い良く水が入ってきている。
まずい。
俺は狭い船内を必死に走る。
船倉に辿り着いた時、俺は愕然となった。
檻が水に浸かっている。
しかも勢いを増す水流が船倉内で渦を巻いている。
最悪だ。
どこから手を付ければ良い。
俺は迷ったが自分の頬を強く叩いた。
ばしっ!
悩んでいる場合か。
とにかく動け!
俺は水に飛び込むと檻へと近付く。
ぎゅうぎゅうに押し込められた子供たちは、もがく事さえ出来ずに溺れていた。
顔に絶望が表れている。
くそ!
一にも二にも、俺は檻を引き上げる。
間に合うか。
この檻を引き上げて、別の檻を引き上げて、その間に他の子供たちは死んでしまう。
どおんっ!
クラーケンの攻撃が繰り返される。
水の中でさえ、檻は転がり逆さまになる。
とても救助どころでは無い。
先にクラーケンを倒すべきか。
いや、そんな時間は無い。
その間にみんな死んでしまう。
俺は特に考えがあった訳では無い。
ただ、ほとんど無意識に船の壁を破壊した。
ばごおっ!
もうどうせ水の中なのだ。
今さら壁を破壊しようが水中なのだから同じ事だ。
水から逃げようとしても逃げ場などとうに無い。
だったら。
俺はサフィリナックスヒューイットを伸ばすと、檻をいくつかまとめて抱き込んだ。
そこから船外へと身を乗り出す。
見上げると、海面にメタルシェルが見える。
びゅう
左手のヒューイットを伸ばして今度はメタルシェルに巻き付ける。
片手に檻、片手にメタルシェル。
おおおっ!
俺は力を込めて触手を巻き取った。
船倉から檻が出て来る。
俺の体ごと、メタルシェルへと引き上げられて行く。
滅多に使わないが、俺は背中からも触手を伸ばした。
クラゲの触手は何も二本だけでは無い。
あまり使い道が無いだけだ。
残りの檻も掴まえた。
これで全部か。
合わせて九個。
残った触手でメタルシェルの上へと体を引き上げる。
ざばざばざばあああああああっ
未だかつて、これ程クラゲで良かったと思った事は無い。
オオムカデンダルが言うように昆虫型の改造人間だったら、今回はどうにもならなかったかもしれない。
今回ばかりは蜻蛉洲に感謝しよう。
「アニー発進させてくれ。死にかけている子供たちが多い」
「判ったわ。任せて」
アニーがそう答えると、メタルシェルが動き出す。
あの船はもう沈む。
俺が何もしなくても全員溺死だ。
助けようと思っても、さすがにもうどうにもならない。
船の上に残った者たちが、こちらを見上げているのが見えた。
口々に助けを求めている。
諦めろ。
それが貴様らの寿命だ。
人には死に時と言う物がある。
貴様らは長生きし過ぎだ。
耳飾りの男が笑いながらこっちを見ている。
イカレた野郎だ。
そして次の瞬間、クラーケンの触手が甲板を覆うように巻き付くと、船体を抱きかかえたまま水中へと没して行った。
後には海面が渦を巻いているだけだった。
俺はそれを一瞥すると、檻を触手で固定したまま緑の谷へと向かった。
がらんぐらんがらん
船は右に左に盛大に揺れる。
その度に船体のどこかしらが破損する音が聞こえた。
急げ。
もう時間が無いぞ。
ごごごごごごごぽぽぽっ
ずぞぞぞぞぞぞぞぼぼぼぼっ
水の音だ。
船内に勢い良く水が入ってきている。
まずい。
俺は狭い船内を必死に走る。
船倉に辿り着いた時、俺は愕然となった。
檻が水に浸かっている。
しかも勢いを増す水流が船倉内で渦を巻いている。
最悪だ。
どこから手を付ければ良い。
俺は迷ったが自分の頬を強く叩いた。
ばしっ!
悩んでいる場合か。
とにかく動け!
俺は水に飛び込むと檻へと近付く。
ぎゅうぎゅうに押し込められた子供たちは、もがく事さえ出来ずに溺れていた。
顔に絶望が表れている。
くそ!
一にも二にも、俺は檻を引き上げる。
間に合うか。
この檻を引き上げて、別の檻を引き上げて、その間に他の子供たちは死んでしまう。
どおんっ!
クラーケンの攻撃が繰り返される。
水の中でさえ、檻は転がり逆さまになる。
とても救助どころでは無い。
先にクラーケンを倒すべきか。
いや、そんな時間は無い。
その間にみんな死んでしまう。
俺は特に考えがあった訳では無い。
ただ、ほとんど無意識に船の壁を破壊した。
ばごおっ!
もうどうせ水の中なのだ。
今さら壁を破壊しようが水中なのだから同じ事だ。
水から逃げようとしても逃げ場などとうに無い。
だったら。
俺はサフィリナックスヒューイットを伸ばすと、檻をいくつかまとめて抱き込んだ。
そこから船外へと身を乗り出す。
見上げると、海面にメタルシェルが見える。
びゅう
左手のヒューイットを伸ばして今度はメタルシェルに巻き付ける。
片手に檻、片手にメタルシェル。
おおおっ!
俺は力を込めて触手を巻き取った。
船倉から檻が出て来る。
俺の体ごと、メタルシェルへと引き上げられて行く。
滅多に使わないが、俺は背中からも触手を伸ばした。
クラゲの触手は何も二本だけでは無い。
あまり使い道が無いだけだ。
残りの檻も掴まえた。
これで全部か。
合わせて九個。
残った触手でメタルシェルの上へと体を引き上げる。
ざばざばざばあああああああっ
未だかつて、これ程クラゲで良かったと思った事は無い。
オオムカデンダルが言うように昆虫型の改造人間だったら、今回はどうにもならなかったかもしれない。
今回ばかりは蜻蛉洲に感謝しよう。
「アニー発進させてくれ。死にかけている子供たちが多い」
「判ったわ。任せて」
アニーがそう答えると、メタルシェルが動き出す。
あの船はもう沈む。
俺が何もしなくても全員溺死だ。
助けようと思っても、さすがにもうどうにもならない。
船の上に残った者たちが、こちらを見上げているのが見えた。
口々に助けを求めている。
諦めろ。
それが貴様らの寿命だ。
人には死に時と言う物がある。
貴様らは長生きし過ぎだ。
耳飾りの男が笑いながらこっちを見ている。
イカレた野郎だ。
そして次の瞬間、クラーケンの触手が甲板を覆うように巻き付くと、船体を抱きかかえたまま水中へと没して行った。
後には海面が渦を巻いているだけだった。
俺はそれを一瞥すると、檻を触手で固定したまま緑の谷へと向かった。
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