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八一七
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「六〇」
カウントダウンが始まった。
俺は王に向かって高速で近付く。
常人にはおそらく見る事も難しい。
そんなスピードだ。
「!?」
しかし、王は違った。
俺の速度を見て明らかに驚いている。
つまり、見えている。
ひゅん
王も高速で動いた。
何発か打ち合う。
「五〇」
カウントダウンが進む。
激しく打ち合う俺たちの姿は、外からはほとんど何をしているか判断出来ないだろう。
「馬鹿な!余の世界に付いて来るのか!?」
王はこれ以上無く驚いた。
しかし、その差はわずかずつ開いて来る。
俺の『サフィリナックスミラージュ』は高速で動ける能力だ。
一方、王の『時間を伸ばす力』は、相手がスローモーションに見える力だ。
先読みする事によって先手を取る。
スローモーションを帳消しにして、なおかつ更に速く動けば、結局普通に戦っているに過ぎない。
そうなのだ。
今、王は元々のレベル三〇〇としての身体能力で渡り合っているのだ。
「四〇」
更にカウントダウンが進んだ。
「やるな。これだけでもたいした物だ。さすがは王だな。誇っても良いぞ」
「く……っ!」
王が劣勢を強いられる。
関節技のダメージが抜けきれていない。
どかっ!
「うおあ!」
均衡は遂に破れた。
俺の渾身の右ストレートを食らって、王は派手に吹き飛んだ。
ズザザザザ
王が大理石の床の上を滑った。
「三〇」
後、三〇秒。
何とか押し切れるか。
俺は自分の限界を感じた。
これ以上は使用後の反動で動くのが難しくなってくる。
この辺りで解除するのが安全だ。
俺はサフィリナックスミラージュを解除した。
残り三〇秒。
このくらい残しておけばまだ何とかなる。
それでも疲労感は大きいが。
「く……貴様!余に付いて来るとはいったい何者なのだ?」
王が余裕の無い顔で言う。
今までの人生の中でこれより驚いた事は無い。
そんな表情だ。
「我々はいずれ世界を支配する。ネオジョルトの怪人サフィリナックス」
「怪人……?」
王が立ち上がる。
「魔族とは違うのか?その力はモンスターではないか!」
王が叫ぶ。
「そんな事はどうでも良い。世界はネオジョルトの下で初めて安寧を得る。王よ、貴様の統治下では無い!」
「余の前で世界征服を語るか!」
王は激昂した。
「滅びよ!暗君!」
俺は腕を構える。
「サフィリナックスブレード!」
前腕を再び光刃と化す。
「殺しては駄目!」
ウロコフネタマイトが叫ぶ。
俺は咄嗟に腕を止めた。
そうだ。
ウロコフネタマイトは最初から「殺すな」と言っている。
俺は思い出して踏みとどまった。
何故殺してはいけないのか。
その理由はウロコフネタマイトにも判らないらしい。
そこに何かタネがあるのか。
その瞬間。
王が自らサフィリナックスブレードに突っ込んで来た。
死ぬ気か!?
俺は慌てて腕を引っ込める。
「ちっ!」
王が舌打ちをした。
今、自殺しようとしたのか?
俺は驚いた。
何故、そんな事を。
ウロコフネタマイトの「殺すな」と関係があるのか。
死ぬ事によって、何かメリットでも有るのか。
判らない。
死ぬメリットとは何だ。
俺は注意深く王を観察する。
だが、今の行動。
判った事がある。
王は追い詰められている。
その為に死のうとしていた。
死ぬ事がメリットなのか、それとも単に諦めなのか。
この王からして諦めなどあるまい。
やはり、死ぬと何かあると考えるのが普通か。
時間を操るスキル。
自殺しようとした事。
結び付きそうで結び付かない。
この事は無視して良いのか。
それとも謎を解かないと勝てないのか。
今、王は追い詰められているのだ。
このまま押し切れば勝つのでは無いか?
俺の考え過ぎか。
判らない。
どうするのが正解なのか。
その時、アニーから通信が入った。
カウントダウンが始まった。
俺は王に向かって高速で近付く。
常人にはおそらく見る事も難しい。
そんなスピードだ。
「!?」
しかし、王は違った。
俺の速度を見て明らかに驚いている。
つまり、見えている。
ひゅん
王も高速で動いた。
何発か打ち合う。
「五〇」
カウントダウンが進む。
激しく打ち合う俺たちの姿は、外からはほとんど何をしているか判断出来ないだろう。
「馬鹿な!余の世界に付いて来るのか!?」
王はこれ以上無く驚いた。
しかし、その差はわずかずつ開いて来る。
俺の『サフィリナックスミラージュ』は高速で動ける能力だ。
一方、王の『時間を伸ばす力』は、相手がスローモーションに見える力だ。
先読みする事によって先手を取る。
スローモーションを帳消しにして、なおかつ更に速く動けば、結局普通に戦っているに過ぎない。
そうなのだ。
今、王は元々のレベル三〇〇としての身体能力で渡り合っているのだ。
「四〇」
更にカウントダウンが進んだ。
「やるな。これだけでもたいした物だ。さすがは王だな。誇っても良いぞ」
「く……っ!」
王が劣勢を強いられる。
関節技のダメージが抜けきれていない。
どかっ!
「うおあ!」
均衡は遂に破れた。
俺の渾身の右ストレートを食らって、王は派手に吹き飛んだ。
ズザザザザ
王が大理石の床の上を滑った。
「三〇」
後、三〇秒。
何とか押し切れるか。
俺は自分の限界を感じた。
これ以上は使用後の反動で動くのが難しくなってくる。
この辺りで解除するのが安全だ。
俺はサフィリナックスミラージュを解除した。
残り三〇秒。
このくらい残しておけばまだ何とかなる。
それでも疲労感は大きいが。
「く……貴様!余に付いて来るとはいったい何者なのだ?」
王が余裕の無い顔で言う。
今までの人生の中でこれより驚いた事は無い。
そんな表情だ。
「我々はいずれ世界を支配する。ネオジョルトの怪人サフィリナックス」
「怪人……?」
王が立ち上がる。
「魔族とは違うのか?その力はモンスターではないか!」
王が叫ぶ。
「そんな事はどうでも良い。世界はネオジョルトの下で初めて安寧を得る。王よ、貴様の統治下では無い!」
「余の前で世界征服を語るか!」
王は激昂した。
「滅びよ!暗君!」
俺は腕を構える。
「サフィリナックスブレード!」
前腕を再び光刃と化す。
「殺しては駄目!」
ウロコフネタマイトが叫ぶ。
俺は咄嗟に腕を止めた。
そうだ。
ウロコフネタマイトは最初から「殺すな」と言っている。
俺は思い出して踏みとどまった。
何故殺してはいけないのか。
その理由はウロコフネタマイトにも判らないらしい。
そこに何かタネがあるのか。
その瞬間。
王が自らサフィリナックスブレードに突っ込んで来た。
死ぬ気か!?
俺は慌てて腕を引っ込める。
「ちっ!」
王が舌打ちをした。
今、自殺しようとしたのか?
俺は驚いた。
何故、そんな事を。
ウロコフネタマイトの「殺すな」と関係があるのか。
死ぬ事によって、何かメリットでも有るのか。
判らない。
死ぬメリットとは何だ。
俺は注意深く王を観察する。
だが、今の行動。
判った事がある。
王は追い詰められている。
その為に死のうとしていた。
死ぬ事がメリットなのか、それとも単に諦めなのか。
この王からして諦めなどあるまい。
やはり、死ぬと何かあると考えるのが普通か。
時間を操るスキル。
自殺しようとした事。
結び付きそうで結び付かない。
この事は無視して良いのか。
それとも謎を解かないと勝てないのか。
今、王は追い詰められているのだ。
このまま押し切れば勝つのでは無いか?
俺の考え過ぎか。
判らない。
どうするのが正解なのか。
その時、アニーから通信が入った。
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