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手術直後〜翌朝

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 手術後の夕方五時半頃、ナースステーション横の管理室(正式名称知らない)で、私はベッドでぼんやりした状態で点滴を受け始めます。この点滴は、痛み止めの薬剤の入った栄養補給です。この薬のおかげか、切ったところの痛みなどは全然感じません。

 しかーし。
 もんのすごい気持ちの悪さで、私はソワソワしていました。ソワソワってぇのも変な表現ですが、居ても立っても居られない、ってなもんで(←唐突に江戸っ子になる)
 誰か助けて! でも助けてもらうってどうやって? みたいな考えが頭の中をぐるぐる。

 さざなみのように押し寄せる吐き気に苦しんでいる私は、丁度部屋に入って来られた看護師さんに、吐き気を訴えました。すると、看護師さんがピンク色の容器を私に渡してくれました。これは医療用品で、「その中に吐いてください」と言ってくれました。

 このピンク色の容器、調べてみたら『ガーグルベース』というものらしく、300円くらいでAm◯◯onでも◯天でもどこでも購入出来ますw
 結局、私は一晩中、その容器に吐き続けるという。

 しかし、昨晩から絶食してますので何も出ない。いわゆる『えづく』って奴ですわ。
 そのうち、私はうとうとしてきて眠りに落ちましたが、吐き気で目覚めます。

 ちらっと時計を見ると、先程から一時間しか経っていない。起き上がり吐く。再び寝る。目覚める。吐く、の繰り返し。
 大体、一時間おきに目覚めていたみたいです。

 何度目かの目覚めの後、もう朝かな、って時計を見た時に、まだ十時半だった時の私の絶望感たるや。
 大袈裟ですが、人生で一番長い夜を過ごした気もします。

 こうして、眠れない夜を過ごした私は、部屋が少し明るくなって来て、夜が明けたことを知りました。
 明けない夜はない。
 しかし吐き気は続いている。

 六時に、夜勤の看護師さんが様子を見に来てくれた時、まだ吐き気が治らないことを訴えますと、点滴を緩めてくれました。
「点滴のスピードを緩めると、痛みがぶり返すかもしれないので、その時は呼んでくださいね、また調節しますから」と、優しく仰ってくれました。

 入院期間中、私は看護師さんが働いている姿をつぶさに眺めて、『看護師さんって素晴らしいなあ、尊い』と思ったものです。本当に今、思い出しても、感謝の気持ちしかありません。
 ハードなお仕事です。病人相手のお仕事は、嫌なことも多いと思います。

 しかし、皆さんが声を荒げたり、嫌な顔を(マスクで顔半分隠れてるけど)しているところは見たことがないです。いつも明るく声掛けしてくれて、優しくお世話してくださる。凄すぎるプロ意識。
 ダラダラ生きてきた自分を反省します……。

 さて、手術翌日に私は自分の病室に戻りましたが、二ヶ月近く経って、この時はどうやって移動したのか、全然覚えておりません。多分、ストレッチャーで運んでくれたと思うのですが。「自力で移動せんかい」なんて、恐ろしいことは言われてないのは確実w

 結局、この日は朝食も昼食も、夕食も(!)全然食べられませんでした。吐き気が続いていたからです。
 そして、気分がすぐれないまま、もう一晩過ごしたのでした。
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