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第3話 信忠、二条城から去る

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光秀軍が本能寺を攻める頃
秀満軍は信忠の居る二条城前に
到着して日の出を待っていた。

二条城内では秀満軍の謀反を
察知する者は居なかった。
信忠はグッスリ眠っていて
見まわりをする兵も少なかった。
何故なら二条城付近には織田家に
尽くす家臣を配置していた為
安全だと思い込み油断していた。

秀満軍は完全に油断している
信忠軍の内情を事前に調べてあり
勝利を確信していた。
二条城内に有能な武将は信忠
ただ一人で兵数も僅か500である。
確実な勝利を確信している秀満軍は
日の出を待ちわびていた。
秀満は日の出と共に刀を抜き

『全軍突撃じゃ~!
信忠を討ち取れ!』

と叫ぶと秀満軍は突撃していく。
秀満軍は簡単に正門を突破して
城内に入ると信忠が居る三階を目指す。
一階に居る信忠軍は僅か100に対し
秀満軍は2000であっという間に
一階を制圧し二階を目指した。

一階を制圧された信忠軍はようやく
謀反に気づき二階で迎撃態勢を整える。
秀満軍は二階も容易く制圧出来ると
思っていたが苦戦させられていた。 

秀満は軍の中心で指揮をしている為
前線の様子と苦戦している
原因が分からなかった。
秀満は状況を確認する為に
前線に出て見ると驚愕する。

そこには上杉家と停戦した功績の
褒美として安土城倉庫から物資を頂き
北陸の領地に帰っているはずの
柴田勝家が立ち塞がっていたのだった。
勝家の背後には信忠も居た。

秀満は勝家と信忠に見つからない様に
軍の中心に戻ると攻戦から防戦に
切り替える指示をだした。
秀満は勝家を恐れて震え出していた。 

勝家には3つの異名がある。

【鬼柴田、かかれ柴田、瓶割り柴田】

である、どの異名も無骨な性格で
勇猛な姿から付けられていた。

勝家は織田家一の猛将で重臣だ。
勝家の突撃と信忠の徹底防戦が
組み合わさっては兵数の差で
押し切り勝つのは難しい。

現時点で信忠、勝家軍は僅か
400の兵で5倍の秀満軍2000の兵と
互角以上に戦い秀満軍は2階から1階に
押し戻されてきていた。

信忠、勝家軍は秀満軍が攻戦から
防戦布陣に切り替わる時を見計らい
一点突破の突撃を仕掛けた。

『者ども!ワシの突撃に続け~!
ウォラァ!どけぇーい』

と勝家が雄叫びを上げながら
手薄になった秀満軍の中央に突進する。
勝家は大きな金棒を振り回し次々と
秀満軍の兵を左右に吹き飛ばしながら
二条城外への道を切り開いていった。
信忠も刀を振り回しながら勝家の後に
続き二条城から脱出した。

勝家と信忠は急ぎ二条城の馬蔵から
二頭の馬を出すとすぐにまたがり
2人は信長が居る本能寺を目指した。
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